ホーム > 書籍詳細:黒いスイス

黒いスイス

福原直樹/著

748円(税込)

発売日:2004/03/19

  • 新書
  • 電子書籍あり

民族浄化、ナチス協力、地下核実験計画、マネーロンダリング……。「美しい理想の国」のウソを暴く!

永世中立国で世界有数の治安のよさ。米国などを抜き、常に「住んでみたい国」の上位に名を連ねる国、スイス。しかしその実態は――。「優生学」的立場からロマ族を抹殺しようと画策、映画“サウンド・オブ・ミュージック”とは裏腹にユダヤ難民をナチスに渡していた過去、永世中立の名の下に核配備計画が進行、“銀行の国”でまかり通るためのマネーロンダリング……。独自の視点と取材で次々驚くべき真相を明かす。

目次
はじめに
第1章 ロマ(ジプシー)の子供を誘拐せよ
モーゼル氏の悲劇
背景にある「優生学」思想
ナチズムの影響は?
【コラム】スイス国民
第2章 「悪魔」のスタンプ
旅券に押された赤い「J」
スイス人は悪魔だ
隠された成立の経緯
完璧なユダヤ人難民のコントロール
未だ解明されぬ全容
【コラム】第二次大戦とスイス
第3章 それぞれの戦い――「祖国」と「人道」の狭間
スイス人義勇兵たちのその後
ヒトラーを撃て
スイス版「命のビザ」
第4章 中立国の核計画
ウラン貯蔵庫の存在
ヒロシマ、ナガサキで得た「教訓」
ウラン購入に裏で奔走
冷戦激化に焦燥
進む核配備計画
核拡散防止条約と西ドイツの脅威
核実験可能な水準に到達
【コラム】スイスの軍備
第5章 理想の国というウソI――「相互監視」社会
住民の「目」
ある住民投票
政府が堂々と監視・盗聴
【コラム】外国人とスイス
第6章 理想の国というウソII――民主主義社会
「スイス民主主義」の伝統
ネオナチの若者たち
毒をもって毒を制す
「アルコール中毒患者にビールを与えるような療法」
【コラム】スイスの歴史
第7章 理想の国というウソIII――「ある政治家との対話」
国境線をはさんでのピンポン
コソボ人は出て行け
極右党?
ブロハー氏との対話
難民たちの行き着く果て
【コラム】スイスの政治
第8章 マネーロンダリング
スイス捜査当局の資料
ここはロンダリング天国?
ある銀行員の「告白」
「税金逃れは駐車違反と同じ」
「外圧」とスイスの言い分
【コラム】スイスの銀行
あとがき

スイス全図

参考文献

書誌情報

読み仮名 クロイスイス
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610059-8
C-CODE 0225
整理番号 59
ジャンル 政治、外交・国際関係
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/08/31

蘊蓄倉庫

アルプスの地下に核実験場?

 スイスと聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか? ――「アルプスの少女ハイジ」に出てくるような美しい自然に溢れた国、あるいは映画「サウンド・オブ・ミュージック」で描かれていた永世中立を貫く平和な治安のよい国……、といったあたりでは。
 しかしそんなイメージとは裏腹に、語られざるタブーの数々を暴いたのが本書。 例えば、永世中立の名の下、スイス政府は極秘に核開発計画を進めていた事実を明らかにする。観光地インターラーケンに程近い町ウィミス、実はここには巨大なウラン貯蔵施設があったのだ。そして行く行くはアルプスの麓に核実験場を作る予定だったと……。
 驚くことに、ウラン貯蔵庫が目の前にある事実をウィミスの地元住民は全く知らされていなかった。勿論スイス国民の大多数も、自国が核開発をしていたなど知る由もない。
「美しい理想の国」のウソを暴く! 独自の視点と取材で描いたパワーレポートです。

掲載:2004年3月25日

著者プロフィール

福原直樹

フクハラ・ナオキ

1957(昭和32)年東京生まれ。毎日新聞外信部ブリュッセル(ベルギー)支局長。北海道大学法学部卒。1982年に毎日新聞社に入社。東京本社社会部で警視庁や運輸省担当などを歴任。1994年より外信部に移り、6年間、ジュネーブ(スイス)特派員を務める。

この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。

感想を送る

新刊お知らせメール

福原直樹
登録
政治
登録
外交・国際関係
登録

書籍の分類