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一文字の力。表現のうらわざ。「言葉の技術」教えます。

考える短歌―作る手ほどき、読む技術―

俵万智/著

713円(税込)

本の仕様

発売日:2004/09/20

読み仮名 カンガエルタンカツクルテホドキヨムギジュツ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 考える人から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 172ページ
ISBN 978-4-10-610083-3
C-CODE 0292
整理番号 83
ジャンル 詩歌
定価 713円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2012/08/31

どうすれば気持ちを正確に伝えることができるのか。短歌上達の秘訣は、優れた先人の作品に触れることと、自作を徹底的に推敲吟味すること。ちょっとした言葉遣いに注意するだけで、世界は飛躍的に広がる。今を代表する歌人・俵万智が、読者からの投稿を元に「こうすればもっと良くなる」を添削指導。この実践編にプラスし、先達の作品鑑賞の面からも、表現の可能性を追究する。短歌だけに留まらない、俵版「文章読本」。

著者プロフィール

俵万智 タワラ・マチ

1962(昭和37)年大阪府生まれ。歌人。早稲田大学第一文学部卒業。学生時代に、佐佐木幸綱氏の影響を受け、短歌を始める。1986年に角川短歌賞、1988年に現代歌人協会賞を受賞。『サラダ記念日』『プーさんの鼻』『考える短歌』など、歌集・著書多数。

目次

はじめに
第一講 「も」があったら疑ってみよう
鑑賞コーナー(1) 必然性のある「も」
第二講 句切れを入れてみよう
思いきって構造改革をしよう
鑑賞コーナー(2) 潔い句切れ
第三講 動詞が四つ以上あったら考えよう
体言止めは一つだけにしよう
鑑賞コーナー(3) 動詞を重ねるには
鑑賞コーナー(4) 体言止めの実際
第四講 副詞には頼らないでおこう
数字を効果的に使おう
鑑賞コーナー(5) 数字の重み
第五講 比喩に統一感を持たせよう
現在形を活用しよう
鑑賞コーナー(6) 比喩の力
鑑賞コーナー(7) 現在形の迫力
第六講 あいまいな「の」に気をつけよう
初句を印象的にしよう
鑑賞コーナー(8) 初句あれこれ
第七講 色彩をとりいれてみよう
固有名詞を活用しよう
鑑賞コーナー(9) 様々な色、それぞれの意味
鑑賞コーナー(10) 固有名詞の効果
第八講 主観的な形容詞は避けよう
会話体を活用しよう
鑑賞コーナー(11) 主観をどう表現するか
鑑賞コーナー(12) 会話の応用

インタビュー/対談/エッセイ

波 2004年10月号より 俵万智版「文章読本」  俵万智『考える短歌─作る手ほどき、読む技術─』

新潮新書編集部

 何でもそうですが、習い事というのは、どんな師匠に巡り会えるかで上達の度合いが変わってきます。「趣味なんだから、好きにやればいい」というのも一つの考え方ですが、でも、どうせやるなら上手くなるに越したことはありません。
そして短歌は、俳句と並んで入りやすい趣味の一つです。紙と鉛筆さえあれば、誰でも、どこでもできます。しかし、サークルにでも属さない限り、自分の作品を客観視したり、講評を受けたりする機会はほとんどないのではないでしょうか。
歌を作る動機は人それぞれで、その気持ちは自分だけのものです。だからこそ、その想いを、できる限り正確に伝えたいと願うはずです。ましてや、短歌は三十一文字という限定された字数の世界。あれもこれも、と入れ込む余裕はありません。
『考える短歌』は、最も的確で、最も効果的な「言葉選び」の技術を伝授しようとするものです。現代を代表する歌人・俵万智さんが、読者の方からの投稿を元に、具体的に問題点を指摘し、解決策を提示します。
たった一文字の差が、歌全体に大きく影響を与える。そのことに、少なからず驚かれると思います。本文から、添削例を一つ取ってみましょう。

生き残る魚卵のごとく難しい友となるのも友でいるのも
堺市 一條智美

この歌について、次のような添削が入ります。
添削(1)――「も」があったら疑ってみよう
一首が完成したと思ったとき、もし助詞の「も」が含まれていたら、とりあえず疑ってみてほしい。それは、ほんとうに効果的な「も」なのか、どうか。「も」は、同様のことが他にもあることを示したり、同類の事柄を並べたりするのに使われる。
特に、同様のことが他にもあるという意味で、無防備に使ってしまうと、焦点が絞りきれず、印象があまくなってしまうことが多い。「が」や「は」よりも、ソフトな感じがするので、つい使ってしまいがちだが、それが短歌のなかでは、表現のあいまいさをもたらしてしまうのだ。
意味的に、確かに「も」である場合でも、「が」や「は」や「を」などに置き換えたほうが、スッキリすることもある。

生き残る魚卵のごとく難しい友となるのも友でいるのも

友情を深めることの難しさを、魚の卵の厳しい生存競争でたとえた一首。極端にも見える比喩が、作者の初々しさや切実さを、かえって生々しく伝えてくれる。下の句のリズムのよさや、「なる」と「いる」という言葉の工夫も、なかなかのものだ。
これでも充分に思いは伝わるが、さらに欲張って、「も」に注目してみよう。二つの似たことを並べているのだから、「も」で間違いではないのだが、これを「は」にしてみると、どうなるだろうか。

生き残る魚卵のごとく難しい友となるのは友でいるのは

添削前だと、「も」で並べられたぶん、友となることと友でいることとが、同じような印象だった。
が、「は」に変えた結果、一つめの「友となるのは」が、ため息まじりに言いさした感じとなり、二つめの「友でいるのは」のほうは、よりくっきりと、いっそう難しいという印象が強まった。
「なる」と「いる」の、似て非なるところを、読む者も考えさせられる。それにともなって、「いる」の迫力も増すのではないだろうか。

いかがでしょう。これが、「一文字の力」です。たった一字ですが、徹底的に吟味することでどれだけ意味が強靱になったか、お分かりいただけたと思います。
他にも、不用意に使う副詞への戒め、体言止めの効果と罠、言葉を選ぶ際に注意すべきこと等々、全八講、十五の具体的テーマがあなたの理解を助けます。
加えて、歌人によるプロの歌を鑑賞するコーナーも併設、多角的に表現の奥深さを味わえる構成となっています。
本書で指摘されていることは、短歌だけでなく、ふだん文章を書くうえで、すべて当てはまることばかりです。俵版「文章読本」とも言える本書。読めば、「日本語の技術」が身に付くこと請け合いです。

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