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戦後日本は満州国の再現だった。満鉄調査部、商工省、戦後の経済安定本部、そして保守合同まで――その中心には岸信介がいた……。

満州と自民党

小林英夫/著

734円(税込)

本の仕様

発売日:2005/11/20

読み仮名 マンシュウトジミントウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 191ページ
ISBN 978-4-10-610142-7
C-CODE 0221
整理番号 142
ジャンル 政治、歴史・地理、ビジネス・経済
定価 734円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2012/08/31

戦後の高度成長は、満州国で行われていた統制経済が元になっていた。かつて満州における経済システムを一手に作り上げた知の集団・満鉄調査部、官僚として赴いた岸信介、椎名悦三郎、星野直樹、あるいは日産コンツェルンの鮎川義介……彼らは戦後も国家建設の夢を捨てがたく、日本経済のグランドデザインを描き続けたのである。そして、彼らの見果てぬ夢は、やがて政治の世界でも保守合同を実現させていく――。

著者プロフィール

小林英夫 コバヤシ・ヒデオ

1943(昭和18)年東京生まれ。早稲田大学アジア太平洋研究センター教授。専攻は、日本近現代経済史、アジア経済論。著書に『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』『「日本株式会社」を創った男――宮崎正義の生涯』『満鉄――「知の集団」の誕生と死』『戦後アジアと日本企業』など。

目次

プロローグ
第一章 偉大なる遺産
一 モニュメント
満鉄留魂祭
満鉄とは何か
Mのマークと鉄道レールのロゴ
「満鉄の歌」
留魂碑の碑誌
二 満鉄・満州国略史
譲渡された東清鉄道
ロシア革命の影響で
国家政策としての統制経済
満州の立役者、岸の登場
満州国統治の内幕
「満州国は私の作品」
四〇年の歴史の終焉
三 西欧文明への窓口
西より光は来る
コミュニズムと接する最前線
四 満鉄を満鉄たらしめたもの
高度成長のプランナー
東アジア協同体の模索
資源開発の尖兵
第二章 敗戦、引揚げ、民主化
一 引揚げ
葫蘆島埠頭の光景
日本人引揚げ団体と留用問題
慙愧の念とともに
二 焼け野原と民主化の嵐
変わり果てた祖国
漂っていた精神的な開放感
三 満州人脈の再編
消えたリーダーたち
そして残された引揚げ者は
社会運動家へ
四 再起できた者とできなかった者
一人だけ無罪放免に
腹心として仕えた男
星野直樹と鮎川義介
再起にかける際の歳の差
第三章 経済安定本部と満州組の活動
一 敗戦直後の「経済参謀本部」
復活した政治家・吉田茂
企画院の復活か
傾斜生産方式という名の物動計画
大来佐武郎と有沢広巳
金融機関も戦前からの連続
二 経済安定本部にいた元満鉄職員
「満鉄調査部をモデルに」
安本の中枢ポジションを占める
戦前、日本で一番大きなシンクタンク
三 ドッジラインと経済安定本部の終焉
“竹馬”の日本経済
ドッジラインの強行
占領政策の転換と経営システムの変更
役目を終えた安本
第四章 「満州人脈」復権の時
一 公職追放者たちの復帰
「三等重役」の時代
岸も政治活動を開始
二 岸の思想形成
北一輝の影響から
満州から東南アジアへ
馬賊になりたかった藤崎信幸
アジア協会の誕生と賠償問題
三 新たなる拠点として――通産省
通産省の変貌
「困った時の椎名まいり」
第五章 五五年体制と岸内閣
一 五五年体制への道
反吉田の共通項の下
左右をあげた合同へのうねり
保守と革新の二大政党制
「三木が微分して岸が積分した」
二 総裁への道
相次ぐライバルの死
そして総裁の座へ
三 岸政権と東南アジア賠償
矢継ぎ早の解決へ
久保田豊の開発プロジェクト
第六章 見果てぬ夢の行方
一 岸を支えた満州人脈
『あゝ満州』
今も続く王道楽土の理想
二 高度成長の幕開け
安保と岸の退陣
所得倍増計画の元「下村論文」
後はレールの上を走るだけ
三 岸体制を支えた国際条件
アメリカの援助政策の転換
東アジアでの安定政権の創出
四 満州人脈たちのその後
決して“仲良しクラブ”ではなかった
岸と椎名の晩年
エピローグ
日本的経営システムと岸信介
満州人脈とは何だったのか
新たな演出家と役者たちへの期待
あとがき

主な参考文献

蘊蓄倉庫

戦前と地続きだった戦後日本の“経済システム”

 敗戦直後の荒廃から60年代高度成長に至るまで、戦後日本の経済復興は“奇跡”とも称されました。この経済成長の要因が戦前の満洲にあるといったら驚かれるでしょうか。
 戦後の混乱期、経済復興を担ったのは経済安定本部という機関でした。そしてその後、「護送船団方式」などと揶揄されながらも高度成長を演出したのは当時の通産省だったといっていいでしょう。さて経済安定本部と通産省、二つの国家の舵取り役には通底する経済システムがありました。それは官僚指導による「統制経済」だったということです。このシステムの大本を辿っていくと、実は満鉄調査部にまで行き着くのです……。
 ソ連と隣接する満洲国では対抗上、匹敵する国家経営を迫られていました。建国間もない満洲で実質上の国策立案を手がけていたのは満鉄調査部でした。そして満鉄調査部がソ連の社会主義を参考に完成させていったのが日本独自のグランドデザイン「統制経済」だったのです。戦前・中と戦後の日本経済、断絶したかに思われていますがさにあらず、連結しているからこそ、日本は世界有数の経済大国と成りおおせたのです。

掲載:2005年11月25日

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