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痔疾、脚気、おこり、緑内障、あるいは精神を病んで……。「病い」の観点から万世一系を解く!

歴代天皇のカルテ

篠田達明/著

756円(税込)

本の仕様

発売日:2006/07/20

読み仮名 レキダイテンノウノカルテ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610173-1
C-CODE 0221
整理番号 173
ジャンル 日本史
定価 756円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2012/02/24

自閉症を疑わせる第11代垂仁帝の皇子、虚弱体質への劣等感から東大寺大仏を建立した第45代聖武帝、菅原道真の怨霊を恐れ神経症となった第60代醍醐帝、今様の歌いすぎで慢性喉頭炎を患った第77代後白河帝、徳川幕府との確執より痔疾に悩まされた第108代後水尾帝……。古代から今上天皇まで125代、その血脈はいかにして受け継がれてきたのか。病歴、死因はもちろん、后妃の数、あるいは精神医学までも徹底的に診断する。

著者プロフィール

篠田達明 シノダ・タツアキ

1937年愛知県生まれ。医師にして作家。名古屋大学医学部卒業。心身障害児医療を専門とする。愛知県心身障害者コロニー・こばと学園園長を務め、現在、同学園の名誉総長。その一方で41歳から小説を書き始め『大御所の献上品』や『法王庁の避妊法』が直木賞候補となる。医学を題材にユニークな歴史ものを得意とする。著書に『モナ・リザは高脂血症だった』『徳川将軍家十五代のカルテ』『歴代天皇のカルテ』(いずれも新潮新書)など。

目次

プロローグ
一 疫病調伏のための「大王」── 飛鳥・奈良時代
古代朝廷を蹂躙したパンデミック
痘瘡に斃れたうたがいの聖徳太子
脊髄損傷により逝った藤原鎌足
陰陽術によってわが病いを治した天武天皇
気丈な女帝たちを斃した晩年の病い
聖武天皇のコンプレックスと精神不安
怪僧道鏡と愛を交わした孝謙女帝
怨霊の祟りに怯えて精神不安に陥った桓武天皇
二 怨霊の祟りに置き換えられた病魔 ── 平安時代
毒をあおって自殺した平城天皇の寵妃薬子
醍醐朝を震撼させた菅原道真の怨霊
物の怪にとりつかれた天皇
『讃岐典侍日記』に記録された堀河天皇の急性肺炎
後白河上皇と血縁の多彩な病歴
三 肖像画に如実に顕れた健康状態 ── 鎌倉~安土桃山時代
多芸多才の後鳥羽上皇、離島で幽閉死
南北朝対立の遠因となった幼帝の事故死
脚気に悩まされた花園天皇
急性肺炎に斃れた後醍醐天皇
太上天皇になろうとした足利義満の急逝
戦国時代の名医が記した天皇のカルテ
四 幕藩体制の下で ── 江戸時代
徳川幕府の圧迫に抗した後水尾天皇の多病
室鳩巣が推理する後光明天皇の怪死
岩倉具視による毒殺説が唱えられた孝明天皇
五 現代医学と生活習慣病 ── 明治・大正・昭和
漢方対洋方の「脚気対決」
生活習慣病に悩まされた明治天皇
大正天皇の周産期障害と晩年の脳病
昭和天皇の命をうばった膵臓がん
「可能なかぎり長寿をまっとうしていただく」
六 病録の章
歴代天皇の平均寿命
歴代天皇の健康状態と疾病
天皇の生母と皇子女数
あとがき

主要参考文献

歴代天皇一二五代のカルテ一覧表

インタビュー/対談/エッセイ

波 2006年8月号より 『君が代』とY染色体の劣化  篠田達明『歴代天皇のカルテ』

篠田達明

 この秋、紀子さまのご出産で世間はかまびすしくなりそうだ。新宮が男女どちらでも話題は沸騰するだろう。だが将来の天皇家が男系あるいは女性・女系のいずれにしても「皇位の継承」は航路の定まらぬ航海のように危うさがつきまとう。
 歴史上、皇室は一后多妻の后妃制度により多くの皇子女をもうけ、その危うさを躱してきた。このほど発刊した新潮新書『歴代天皇のカルテ』の巻末には「歴代天皇一二五代のカルテ一覧表」を載せたが、これをご覧になれば、歴代天皇の宮妃・宮女が皇位継承という大事業を支えるため、いかに奮闘したかがおわかりになろう。例えば52代嵯峨天皇の後宮にいた31人の后妃は32人の皇子女をもうけ、58代光孝天皇の后妃19人は49人の皇子女を、90代亀山天皇の后妃21人は27人の、96代後醍醐天皇の后妃33人は40人の、112代霊元天皇の后妃15人は31人の皇子女をもうけた。生まれすぎた皇子たちは世継ぎ問題で揉め事がおこらぬよう門跡寺院に送り込んで僧籍をとらせている。このように歴代皇室は皇統の安泰をはかったのだが、大正天皇以後は一夫一婦制を採ったため皇位の継承はいちじるしく不安定になっている。
 ご存知のようにヒトの性染色体はⅩⅩだと女性に、ⅩYだと男性になる。Yは男という性を決める役目を果たすが、人類遺伝学者の多くはYがやがて退化して縮こまり、いずれ衰滅する運命にあると警告する。皇統の継続どころか、ホモ・サピエンスの将来が危ういというのだ。Ⅹは有用な遺伝子を数多く担っているが、Yにはほとんど役立つものがない。その姿かたちはⅩに比べてかなり貧弱で見劣りがする。yと記したほうがよさそうである。やがて消滅するといわれればさもありなんと思う。しかも女性の場合、Ⅹが二つもあるから一方は眠らせているほど余裕がある。口の悪い遺伝学の研究者がかつてわたしにこう囁いた。「Ⅹが2本とも活躍しだすと、ただでさえ図々しい女性がさらにでかい顔をするから、神様はふだんⅩを1本眠らせているんです」
『アダムの呪い』を著した遺伝学者ブライアン・サイクス博士の試算によれば、Yの絶滅する時期は今から5000世代を重ねた12万5000年後であるとする。今後は現代よりいっそう早い速度で時間が経過するだろうから、決して遠い未来の話ではない。ましてや地球規模の環境汚染が広がりつつある現在、Yの劣化はもっと早まる可能性がある。
『君が代』は「皇室よ永遠なれ」と詠ったが、その内容は実に具体的である。「千代に八千代に」は1000世代から8000世代とも見做されるし、「さざれ石」が「巌」となるには10数万年を要しよう。これらの数値がサイクス博士のいうYの推定絶滅期間と大まかに合致するところも妙である。『君が代』は、はからずも人類の衰亡時期を告げる予言歌になっているのかもしれない。



(しのだ・たつあき 医師、作家)

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実はカラオケ症候群だった第77代後白河天皇

 源氏と平家を向こうに回してひとあわを吹かせた、平安期末の後白河天皇(1127~1192)。29歳で即位し、32歳で譲位後も五代に亘る天皇の後見役として老獪なる院政を敷き、源頼朝に「日本一の大天狗」と言わしめた帝でした。
 この後白河帝、権謀術数を謀る一方で、舞や猿楽など雑芸を嗜む大の趣味人でもありました。特に夢中だったのが、いわば現在の歌謡曲に当たる「今様」だったといいます。『梁塵秘抄口伝集』によると、十余歳過ぎから歌に明け暮れる毎日で、昼も夜も歌い踊っていたとか。あまりに歌いすぎて声帯を酷使し、三度も声を潰してしまったほど……。さしずめカラオケ症候群とでもいったところでしょうか。
 のど以外は天与の壮健さで病いとは無縁だった後白河帝でしたが、62歳の時に中風(軽い脳卒中)に倒れます。しかし、歌と美食、深酒は止まず、果ては生活習慣病の代表格である飲水病(糖尿病)を患い、享年66の最期を遂げたのでした。
掲載:2006年7月25日

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