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江戸っ子と助六

赤坂治績/著

748円(税込)

発売日:2006/08/20

  • 新書
  • 電子書籍あり

市川海老蔵の十八番、「助六」はいかにして生まれたか。歌舞伎ファン必読の一冊。

将軍・大名から無宿人まで、多様な人間が集まった江戸。荒々しい気風の新興都市が成長していく中で、江戸で生まれ育ったことにこだわりを持つ人々が増え、「江戸っ子」の美意識が醸成されていった。意気地や張りが信条の江戸っ子に愛されたのが、歌舞伎の助六だ。黒羽二重に紫鉢巻に剥き身の隈取り、蛇の目傘を手に颯爽とした立ち姿と、粋なせりふ……。助六という芝居の面白さをひもときながら、江戸っ子像に迫る。

目次
口 上
第一章 江戸っ子はどこにいる
1 「江戸生まれ」から「お江戸さん」まで
2 将軍と同じ氏子で大川端の下町住まい
3 政治都市は天下の掃き溜め
第二章 『助六』には江戸が詰まっている
1 すべては吉原で
夜の三浦屋前で
世界を綯い交ぜ、趣向を凝らす
鎌倉の人が江戸にワープ
役柄の見本市
2 粗筋と解説
3 荒事でも和事でもある芸づくし
第三章 上方の心中物を、江戸の曾我物に
1 上方の心中物ブーム
世間の話を素早く劇化
万屋助六と島原の遊女揚巻の心中事件
2 二代團十郎、二十五歳の挑戦
愛護若の世界で江戸移入
糀色の鉢巻に半太夫節
荒事の中に濡れ事を仕組む
親の七光りから抜け出すため
曾我の世界で再創造
上方コンプレックスを掬い取る
頭に紫鉢巻、手に唐傘
背景に江戸文化の成熟
第四章 江戸っ子・助六の誕生
1 現代に伝わる形ができる(享保~寛延期)
十七年ぶりに市村竹之丞が上演
三十三年ぶり三回目、二代團十郎の上演
2 江戸の春を祝う祝祭劇に(宝暦~寛政期)
三座で助六の競演
三月上演が習慣に
文化の東漸と江戸歌舞伎の全盛
3 歌舞伎十八番の代表作(化政~幕末)
荒事の敬遠、写実・ケレンの流行
團十郎家の独占
第五章 悪所で花咲く庶民の文化
1 歌舞伎と吉原
神事・芸能・売春と遊女の関係
遊女・若衆から野郎へ
女歌舞伎はどこへ行った
吉原と芝居は賽の裏表
時代とともに変わる吉原の客
なぜ三浦屋の前なのか
男女の駆け引きから生まれた「粋」
経済的な支え合い
2 侠客・アウトローへの共感
悪の演劇
侠客物の系譜
遊廓から生まれた「通」
第六章 江戸っ子の美意識が生んだ助六
1 歌舞伎が庶民に愛された理由
二種類の芝居
商業演劇の真骨頂
観客と密着した劇場
流行の発信源
2 江戸っ子を読み解くキーワード
洒脱、見栄坊、独りよがり……
上方の「すい」、江戸の「いき」
金に転ばぬ遊女の意気地
3 最大娯楽のスーパーヒーロー
写実的な上方の歌舞伎
江戸は荒い気性で悪態三昧
武士への願望か、反抗か
助六上演年表

書誌情報

読み仮名 エドッコトスケロク
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610178-6
C-CODE 0221
整理番号 178
ジャンル 日本史、日本の伝統文化
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/04/27

著者プロフィール

赤坂治績

アカサカ・チセキ

1944(昭和19)年山梨県生まれ。江戸文化研究家・演劇評論家。劇団前進座、「演劇界」編集部を経て独立。新聞・雑誌に執筆、テレビ・ラジオヘの出演や、文化・教養講座の講師も務める。著書に『知らざあ言って聞かせやしょう―心に響く歌舞伎の名せりふ―』『江戸っ子と助六』『江戸歌舞伎役者の〈食乱〉日記』(以上、新潮新書)、『浮世絵で読む、江戸の四季とならわし』(NHK出版新書)、『江戸時代 武家政治vs.庶民文化』(朝日新聞出版)、『完全版 広重の富士』(集英社新書ヴィジュアル版)などがある。

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