ホーム > 書籍詳細:反西洋思想

792円(税込)

発売日:2006/09/20

  • 新書

ナチズム、毛沢東思想、イスラム原理主義、そしてネオ・ナショナリズム……。増殖を続ける「西洋嫌い(オクシデンタリズム)」の深層。

ナチズム、毛沢東思想、「近代の超克」、イスラム原理主義……。「西洋」を敵視して戦いを促す思想は、昔から絶えることがない。西洋はなぜ憎まれるのだろう? 「敵」は西洋の何が気に入らないのか――。聖書、コーラン、ドイツロマン主義、ロシア思想から、特攻隊員の遺書やビン・ラディンの声明までを渉猟、「反西洋思想」に共通した要素をえぐり出す。現代史の難問に挑んだ画期的論考。

目次
序 章 オクシデンタリズムとは何か
「近代の超克」座談会/「日本の血」対「西洋の知」/右翼でも左翼でもなく……/宗教と政治の一体化/アメリカニズムへの憎悪/マルクスの墓を訪ねて/オクシデンタリズムとオリエンタリズム/理解すること
第1章 西洋の都市
9・11の再現ビデオ/西洋を憎むのは「近親者」/都市に対する不安/バビロンの都/都会=売春婦/ユウェナリスとゴンクール兄弟/ブレイクとエリオット/西洋都市への憎悪の起源/ワーグナーのフランス嫌い/ヴォルテールのイギリス観/金と自由を求めて/ワルモノはいつも西洋風/ユダヤ人への負のイメージ/日本の歴史的記憶喪失/イスラム思想家の見たニューヨーク/ユダヤ陰謀説の理由/起源はフランス革命/都市が田舎を支配する/「オリエンタリスト」ヘルダー/両極端な西洋思想/マルクス主義という希望/オクシデンタリスト毛沢東/「田舎者集団」クメール・ルージュ/タリバンの恐るべき拷問/サラエボを破壊したシェークスピア学者/ヒットラーにとってのベルリン
第2章 英雄と商人
「我々は死を愛している」/ドイツの英雄伝説/「英雄の国」という幻想/ゾンバルトの『商人と英雄』/トクヴィルの嘆き/異端の弁護士ジャック・ヴェルジェ/民主主義と戦争/日本の特攻隊/3ヶ国語を読みこなしたエリートたち/悪用された「死の崇拝」/歪曲された「日本の伝統」/軍人勅諭、天皇、切腹/ヒンドゥー・ナショナリズム/ある特攻隊員の言葉/「狂気」を好むビン・ラディン/イスラム「暗殺者」の伝統/カミカゼ戦術再び/西洋は英雄的ではない
第3章 西洋の心
魂の思考と知性の思考/スラブ派の源流はドイツ/ロマン主義の世界観/ドストエフスキーの「ひねり」/神学に無関心なロシア正教/ツァーリたちの対西洋姿勢/スラブ派に愛されたシェリング/スラブ派の雄イヴァン・キレエフスキー/「ロシアのニーチェ」レオンチェフ/合理主義批判=西洋批判/トゥルゲーネフの描いたニヒリズム/「クリスタルパレス」への抵抗
第4章 神の怒り
宗教的オクシデンタリズムと世俗的オクシデンタリズム/西洋=偶像崇拝する未開の文明/旧約聖書の中の偶像崇拝/「ジャーヒリーヤ」という概念/マニ教的世界観/イラン革命のパイオニア、アリ・シャリアティ/ケマル・アタチュルクの改革/イスラム教における偶像崇拝/イランの思想家サイード・タレカニ/サイード・クトゥーブの思想/パキスタンの思想家マウドゥディ/「穏やかなイスラム主義者」ムハンマド・イクバル/性道徳は「公」の問題/「ベール」というバロメーター/「守られた宝石」という女性観/サウジアラビアの自縄自縛
終 章 思想の相互汚染
シオニストのおとぎ話/アラブ人も大歓迎?/共に西洋原産だった両極端の思想/バース主義と汎ゲルマン主義/目をそむけるなかれ
日本語版へのあとがき
訳者あとがき
原注  人名索引

書誌情報

読み仮名 ハンセイヨウシソウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 256ページ
ISBN 978-4-10-610182-3
C-CODE 0231
整理番号 182
ジャンル 哲学・思想、ノンフィクション、世界史
定価 792円

著者プロフィール

1951年、オランダに生まれる。東京、香港、ロンドンなどでジャーナリストとして活躍。2003年より米バード大学教授。

1939年、現在のイスラエルに生まれる。欧米の各地で研究生活を送る。ヘブライ大学教授。哲学者。

堀田江理

ホッタ・エリ

オックスフォード大学で国際関係の博士号を取得。米バード大学客員助教授。

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