はじめに
第一章 春雨村の怪
大栄村の白いすだれ/警戒する村人たちに接触/白い春雨ができる理由/今日、腹いっぱい食べられればいい/いよいよ工場に潜入/機械は錆び付き、天井には蜘蛛の巣/村全体の「公然の秘密」/漂白剤の核心に迫った瞬間に――/正体がバレて絶体絶命のピンチ
第二章 魑魅魍魎の食品汚染
「吊白塊は皆、使ってるよ」……/役所は「トカゲの尻尾切り」/衡陽の闇塩工場/冷凍ギョーザ事件に対する日中の温度差/化学物質でそっくりに作りあげる人造卵/組織が催す「偽卵講習会」/田舎者に甘い夢を抱かせる詐欺商法/人造葡萄、人造クラゲ、人造肉……/フェイク食品の大本は日本/北京で売られる月餅、餡の謎/冬瓜に合成着色料、香料を入れて/1年たったものは豚も食べない/トイレの水に米を漬け、糞便でザリガニを飼育/工業用苛性ソーダ入りパン/潜入取材で判明した驚愕の事実/段ボール肉まん報道の真相/北京市工商局の狙い/人身御供となった若い敏腕記者
第三章 想像を絶する癌村の実態
「死の海」と化した渤海、白洋淀/カドミウム、重金属成分入りの野菜/各地に発生する「癌村」/天津市郊外の劉快庄村/一人で政府を訴えた農民/勾留、示談、おどしにも屈せず/GDP世界第4位の裏にある腐敗した構造/黄孟営村に漂う死相/淮河に林立する闇工場/飲むとがんになる林王村の水
第四章 本当に効くのか――漢方薬の裏側
マルチ商法まがいの「蟻力神」/堪忍袋の緒が切れた被害者の声/冬虫夏草ががんに効くという噂/30年、漢方を研究した末の結論/西洋薬との混合での危険性/ドクダミ点滴を受け意識不明となった葵瑛ちゃん/闇審査で粗製濫造される中国薬/900年前の文献が審査基準
第五章 中国を分断させる闇の力
発展途上国という戦略/歪な断裂構造/同族地主たちの復権/明公村、干一族の骨肉の争い/国家権力機構にも浸透する黒社会/「低廉な労働力」としてだけの存在/健全なジャーナリズムは存在しない
あとがき
「段ボール肉まん報道」の真相
北京郊外の屋台で売られている肉まんが段ボールを原料にしてそれに味付けして売られているらしい……中国のテレビ局がそう報道したのは07年7月のこと。しかし直後に一転、「アレはやらせだった」と偽報道のニュースが流れ、その“いい加減さ”が相乗効果となり、この「段ボール肉まん報道」を記憶にとどめる諸兄もきっと多いことでしょう。
実はこの事件、さらに奥深い真相が隠されているようなのです。そもそもの「段ボール肉まん」が報道されたのは、毎日曜日の夜7時から放映されるレギュラー番組でした。食品や生活関連の様々な問題を取上げ、庶民の安全意識を啓発するドキュメンタリーで、人気も高かったといいます。そして、この番組の制作における実質上のスポンサーは北京市食品安全弁公室という公的機関だったのです。視聴者から不正な現場の告発を受け、現場に記者が潜入取材する、消費者に食の安全を啓蒙する広報番組だったはずが……。
結局、詰め腹を切らされたのは、担当した契約記者でした。彼一人による“捏造”という形でケリを付けさせられてしまったのです。
掲載:2008年06月25日