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権力も権威もはぎ取られ辛うじて残った天皇の芯とは? 歴史観が覆る新・天皇論。

天皇はなぜ生き残ったか

本郷和人/著

778円(税込)

本の仕様

発売日:2009/04/15

読み仮名 テンノウハナゼイキノコッタカ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 223ページ
ISBN 978-4-10-610312-4
C-CODE 0221
整理番号 312
ジャンル 日本史
定価 778円

平家から維新までの約七〇〇年間、天皇は武士に権力を奪われていた。しかし、将軍職や位階を授ける天皇は権威として君臨した――。このしばしば語られる天皇像は虚像でしかない。歴史を直視すれば、権力も権威もなかったことはあきらかだ。それでも天皇は生き残った。すべてを武士にはぎ取られた後に残った「天皇の芯」とは何か。これまで顧みられることの少なかった王権の本質を問う、歴史観が覆る画期的天皇論。

著者プロフィール

本郷和人 ホンゴウ・カズト

1960(昭和35)年東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。中世政治史、古文書学専攻。史料編纂所で『大日本史料』第五編の編纂を担当。著書に『天皇はなぜ生き残ったか』『戦国武将の明暗』など。

目次

権力のない天皇の権威とは――問題提起として
第1章 古代天皇は厳然たる王だったか
I 人口の増加と権力の発達
魏・呉・蜀の三国は拮抗していたか/明治政府のV字回復天皇論
II 権力は徹頭徹尾、受け身である
当事者が動かなければ始まらない/殺されるのも自由だから/「野放図な自由」よりも「取り敢えずの平和」を
III 使えない律令による天皇の絶対権力とは
当時を生きる人々の目線で見る/幻の輝ける古代/天皇=頭で考えた王とすると
第2章 位階と官職の淘汰と形骸化
I 律令にない官職こそ重職ばかり
『平家物語』も読めない官位相当表/出世が見込める「武官コース」/経験がものをいう「実務官コース」
II なぜ中国の科挙を導入しなかったか
数代で没落する中国の士大夫/官僚を叩き世襲に寛容な日本
III 貴族の家格は政治をどう動かしたか
家の格に縛られる貴族の役割/複数の主人を持つ実務官「名家」/政治家貴族・キャリア貴族・ノンキャリ官人/律令が生んだゴンベさん
第3章 時代が要請する行政と文書のかたち
I あらゆる要求に応える訴訟
天皇よりもえらい上皇/律令や伝統から自由な地位/上皇が訴訟をつかさどった
II 上皇(天皇)の判断はどう下るのか
治天の君の指令を受ける奏事/格調高いが単純明快な官宣旨
III 変化していく朝廷の公文書
官宣旨から綸旨・院宣へ/上級貴族ぬきでも出る/変化の本質は「はぶく」
第4章 武力の王の誕生を丁寧にたどる
I 古代・近世へ連なる「権門」とは
あくまでも天皇と朝廷が国家の中心/中世に国家と呼べるものがあったか
II 中世的朝廷をデザインした藤原信西
上皇の信任を根拠に朝政を主導/「お気に入り」がアキレス腱にもなる
III 権門体制の崩壊と平家政権
武力は恐怖を放射する/牙を剥く平家、停止する院政
IV 源平の戦いの本質は何だったのか
朝廷の支配からの自立/武士の財産を保証する新しい王権
V 源頼朝が達成したもの
幕府は朝廷を乗り越えられないのか/一一八〇年一〇月六日、鎌倉幕府成立
第5章 悠然たる君臨からの脱皮
I 朝廷の新しい役割
重要なのは征夷大将軍ではない/「わたしは何者か」を決める情報
II 文化のちからで幕府をねじ伏せる
武士を圧倒する知性・学識・教養/卓越した王が見誤った武士の実情
III 承久の乱の敗北がもたらしたもの
武力放棄を臣下に誓う/もう強訴を止められない/伝統は崩壊し危機に瀕す王権
IV ふたつの王権の優劣を考える
非常時に大事にされた道理/幕府にすがるしかない/天皇は幕府が決める
第6章 実情の王として統治を目指す天皇
I 九条道家が目指した徳政
「もとに戻す」のが徳の本質/国を治めるのは法か徳か
II 新しい天皇のあるべき姿
法に拠る幕府と道理を求める朝廷/実情を反映した徳政で復活を図る
III 両統迭立期の朝廷の構造
無理がある「西園寺家史観」/皇統を二つ用意した幕府の狙い/正統は大覚寺統か?
第7章 南北に分裂しても必要とされた天皇制
I 実は孤立していた後醍醐天皇
明らかな二つのうそ/貴族たちは敬遠していた/鎌倉幕府は自ら倒壊した
II 画に描いた餅から室町幕府へ
呆気なく崩壊した建武政権/重要な三つの選択/「王が必要なら木か金で作れ」
III 初めての武士文化・バサラの登場
唐物が流入する/天皇の文化への異議申し立て
第8章 衰微する王権に遺された芯
I 歴史の転換点、一三九二年南北朝合一
京都に天皇がいなくなった/幕府が生みだした天皇/実情の王が消滅した年
II 「祭祀の王」としての機能停止
天皇と無縁だった新仏教/神道は社会に対応しなかった
III 権力も権威もない天皇の文化のちから
日本史上最も困窮した天皇/栄光を失ったからこそ幽玄に立つ天皇/天皇は動乱の世を生き抜いていく
天皇を再発見した日本人――むすびに代えて
信長は天皇を必要としたか/秀吉は現状維持、家康は東国へと距離を取る/仕事がなくなってしまった天皇/儒学が生んだ尊王

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