ホーム > 書籍詳細:メディアとテロリズム

テロリストは言った。「ゴールデンタイムまで撃つな!」

メディアとテロリズム

福田充/著

778円(税込)

本の仕様

立ち読みする

発売日:2009/08/17

読み仮名 メディアトテロリズム
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 220ページ
ISBN 978-4-10-610324-7
C-CODE 0236
整理番号 324
ジャンル マスメディア
定価 778円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2012/08/31

「メディアの存在はテロリストに酸素を供給しているようなもの」(サッチャー英元首相)。いまやテロリストはTVやネットなどのメディアで自らの存在をアピールし、犯行を喧伝する。対するメディアはそれを報じ、部数や視聴率を稼ぐ。これでは“共生”どころか“共犯”ではないのか? 気鋭のメディア社会学者による“負のスパイラル”の歴史、現状、そして解決策――。

著者プロフィール

福田充 フクダ・ミツル

1969(昭和44)年生まれ。現コロンビア大学客員研究員(NY在住)、日本大学法学部新聞学科准教授(メディア社会学)。東京大学大学院・博士課程単位取得退学。専門はテロや災害などメディアの危機管理。内閣官房等でテロ対策や危機管理関連の委員を歴任。

目次

序章 「撃つなアブドゥル! まだゴールデンタイムじゃない!」
第一章 北京オリンピックは「テロの舞台」だった
第二章 テロリズム時代の到来~9・11テロ事件とオウム
第三章 政治的コミュニケーションとしてのテロ~一九七〇年代以前
第四章 恐怖と不安を充満させるテロリズム~一九八〇年代
第五章 テロとメディアの共生関係~一九九〇年代
第六章 政府・企業による監視社会へ~二〇〇〇年代
第七章 テロリズムに対してメディアはどうあるべきか
終章 オバマ政権の誕生~新時代に突入したテロリズム問題
あとがき
参考文献

担当編集者のひとこと

福田氏と教え子H君

 以前、著者・福田充氏のゼミの研究発表を覗かせていただいたことがありました。なにやらものすごい分量のアンケートや面接調査のデータをもとに、さまざまな分析結果を導き出すその手法に、あっけにとられたものです。ああいうのを「社会調査」というのでしょうか。こういう指導をしている先生だったら、何か、面白くてためになる本が書けるのではないか……と、密かに思っていました。

 その後、仕事で大阪へ出張する機会がありました。たまたまその前日、福田氏に会ったので「明日から大阪なんですよ」と言ったら、「実はいま、私のゼミ学生のH君が、卒論のための調査で、大阪に滞在中なんです。もし時間があったら、会ってやってください」とのこと。話を聞けば、そのH君は、新書ブームを卒論テーマにしているとかで、東京と大阪のジュンク堂書店で、新書を買いに来たお客さん各100人に面接調査を敢行し、購買動向を分析するのだそうです。 大阪で会ったH君は、まさしく福田氏の申し子とでもいうべきか、まさに“調査研究の鬼”でした。1週間、カプセルホテルに泊まりこんで、開店から閉店まで、ジュンク堂書店大阪本店の新書売場に立ち、熱心そうなお客さんを見かけると声をかけ、許諾が得られれば、その場で細かい面接調査に入るのです(もちろん勝手にやっているわけではなく、書店の許可を得て、「調査員」の腕章をつけて)。

「もう少しで、なんとか100人のデータが集まりそうです」H君は、疲れた様子も見せず、売場に立っていました。その後、東京でジュンク堂書店池袋本店に行ったら、やはり新書売場でじっと立っているH君を見かけました。

 福田氏の研究姿勢は、まさにこのH君の卒論調査と同じです。既存の資料もさることながら、とにかく現場へ行って、自分でデータを集める。「論」より「証拠」の最たるものです。本書でも、自らワシントン・ポスト紙の本社へ出かけていって、聞き取り調査をするエピソードが登場します。テロリストがメディア(TV、新聞)を利用しながら犯行におよび、メディアはそれで数字(視聴率、部数)を稼ぐ、この関係を分析するには「論」ではダメだ……福田氏はとうとう、日本を飛び出してNYのコロンビア大学へ行ってしまいました。

 本書は、そんな「現場調査」を旨とする福田氏の、アメリカからの最前線報告です。出来上がった新書を見ると、いまでは某出版社の営業マンとして全国を飛び回っているH君が、新書売場でじっと立っていた姿を思い出します。

2009/08/25

蘊蓄倉庫

テロとメディアは「共生」している?

 アメリカの歴史学者J・ボウヤー・ベルが評論活動の中でつかった有名な“比喩”があります。「撃つなアブドゥル! まだゴールデンタイムじゃない!」。彼が長年、テロ犯罪を研究してきた結果、多くのテロリストは、テレビの放映時間や視聴率を意識しながら犯行に及んでいるというのです。この比喩は、中東のテロリストのリーダーが、犯行中、部下を諌めるために発したであろう文言というわけです。
 この、テロとメディアの「共生」関係については、近年、様々な指摘がなされていますが、出口や解決策が示されてきたわけではありません。普段私たちが見慣れているTVニュースや新聞は、結果としてテロと密接に関連しあっている、なんとも皮肉な「負のスパイラル」関係にあるのです。
掲載:2009年08月25日

感想を送る

新刊お知らせメール

福田充
登録する
マスメディア
登録する

同じジャンルの本

書籍の分類

メディアとテロリズム

以下のネット書店よりご購入ください。

※対応端末でお探しください。

Shincho Live!