コッカノメイウン
国家の命運


薮中三十二

外交の修羅場で考えた危機と希望。

国益を背負う外交の現場とは、いかなるものなのか。世界という視座から見た日本は今、どういう国なのか。戦後最大の経済交渉となった日米構造協議の内実、にわかに台頭する中国の外交スタンス、独裁国家北朝鮮との話し合いの難しさ、先進国サミットの裏側……四十年余の外交官生活をふり返りながら、衰えゆく日本の国勢を転回させるための針路を提示する。

発行形態 : 新潮新書
判型 : 新潮新書
頁数 : 188ページ
ISBN : 978-4-10-610390-2
C-CODE : 0231
整理番号 : 390
ジャンル : 政治
日本政治・行政
発売日 : 2010/10/15

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薮中三十二
ヤブナカ・ミトジ

1948(昭和23)年大阪府生まれ。大阪大学法学部中退。北米局課長時代に日米構造協議を担当。アジア大洋州局長として六ヶ国協議の日本代表を務め、北朝鮮の核や拉致問題の交渉にあたる。経済・政治担当外務審議官をへて、外務事務次官を2010年に退任し、顧問に就任。

はじめに
第一章 「アメリカ離れ」のすすめ
「NOと言えない日本」
黒船以来の伝統的構図
アメリカ市場の決定的重要性
「日本異質論」から構造協議へ
前代未聞の一ヶ月
表現とプレゼンの重要性
第二章 日本的外交の限界
あまりに敏感な反応
中国外交は本当に「したたか」か?
なぜ「外圧」を待つのか
二つのお決まりフレーズ
「Thank You広告」のトラウマ
日本流の「Yes,we can」
世界が嘆くODAの激減
第三章 衰退する国家から転回を
ガラパゴス現象への危機感
「今のニッポンは素晴らしい」
危機的デモグラフィー
外国人労働者の受け入れを
Look Koreaの時代
若者よ、今こそ世界へ
第四章 外交交渉の要諦
I 敵を知り、己を知る
II 互いを理解し、信頼関係を
III オフェンスとロジックが大事
IV 交渉争点の絞り込みと節目づくり
V 最終局面では、勇気をもって決断、決裂も恐れるな
VI 「51対49」の原則
第五章 北朝鮮はなぜ手ごわいか
われわれの一日は相手の一年
最初に過大な要求
中国も手こずる「NO」
建前を重視する
見事なほどの豹変
六者協議の実情
第六章 海洋国家の矜持
経済水域は死活問題
日中漁業交渉の顛末
東シナ海ガス田交渉の合意まで
尖閣上陸とヘリ異常接近
日韓漁業協定の舞台裏
第七章 アジアの中の日本
ASEAN諸国との連携
難題は農産品の水際措置
東アジア共同体構想とは何か
TPPとベトナムの戦略的外交
環太平洋か、東アジアか
第八章 先進国首脳会議の裏側
ボスの意向の代弁者として
さすが、と思わせた首脳たち
終わりに


ノーベル賞の栄光の陰で

 戦後日本はひたすらモノを作り、海外へ輸出することで世界中が羨む豊かな国になりました。それはかつて福沢諭吉が『文明論之概略』の中で述べたように、「産物の国」から「製物の国」、そして輸出大国へ、という富国への流れであり、何より、優れた技術力がそれを可能にしました。日本人科学者二人にノーベル化学賞授賞、というトップニュースのわきで、共同研究のために海外に長期派遣される研究者はこの10年で半減、と伝えられます。日本人留学生の急減で、経済大国を築いた技術力に再投資ができなくなっていることは著者も憂慮しており、「若者よ、世界へ」という思いは受賞者と共通であるようです。
掲載:2010年10月25日
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