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がんの練習帳

中川恵一/著

770円(税込)

発売日:2011/04/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

2人に1人は、がんになる。だから……。予防策、告知の際の心構え、治療法選択のコツetc.すべて身につく練習帳。

「がんはとにかく怖い」そう思っているなら大間違い。今やがんは日本人の2人に1人は経験する病気。怖いのは、がんではなく、がんを知らないことなのです。予防策から告知の際の心構え、検診や治療法選択のコツ、痛みとの付き合い方、費用、最期の迎え方まで、すべて「練習」しておけば憂いなし。読み物仕立ての闘病記で様々なケースを追体験するうちに、誰もが平常心でがんと付き合えるようになるはずです。

目次
まえがき――「死なないつもり」の日本人へ
練習I 本当にがんを知っていますか?
「5000勝0敗」の闘い
がんの「迷信」あれこれ
「生活習慣」の重要さ
お酒で「赤く」なる人は要注意
タバコ×酒=「食道がん」
早期がんは「めでたい」
がん検査の基礎知識
練習II 働き盛りに告知されて――山田二郎さんの「肺がん」闘病記
診察室で気をつけてほしいこと
若いから安心、ではない
がん治療には「3つの選択肢」しかない
カラダの痛み、金銭的負担は?
判断に迷ったとき、医者にどう聞くか
出社を焦るのは禁物
練習III 切除か温存か、仕事か治療か――佐藤花子さんの「乳がん」闘病記
乳がん即切除ではない
「ホルモン治療」のマイナス点
日本の「放射線治療」は古い
転移とはどういうことか
骨転移の痛み
練習IV 男性機能と治療の両立――青山三郎さんの「前立腺がん」闘病記
「PSA」が目安になる
急増する前立腺がん
そもそも「前立腺」とは何か
「生検」で確定する
男性機能が維持できる治療法は
セカンドオピニオンを求めよう
放射線治療の副作用
強度変調放射線治療
小線源治療なら日帰りも
体内のアイソトープの影響
「ピンポイント」でがんを直撃
最先端「粒子線治療」の破壊力
ホルモン治療で女性化する
通院はいつまで
補講 日本の「がん治療」ここがおかしい
「がん登録」の法制化を
日本のがん治療4つの問題点
「日進月歩」の最新治療
練習Ⅴ 余命と抗がん剤のイタチごっこ――吉田松次郎さんの「直腸がん」闘病記
「標準治療」の確立と「余命告知」
「直腸がん」からの転移
「真実」を告げるべきか否か
「FOLFOX」開始
治療でがんが「進化」する
「アバスチン」と「イリノテカン」
「サプリメント」には要注意
薬がなくなったとき
練習VI 最期をどう迎えるか――山内千代子さんが向き合った「余命」
「新しい死」に素手で立ち向かう日本人
「余命3か月」宣告
「痛みはがまん」は間違い
「悪液質」の苦しみ
この世から消える恐怖
末期にできる治療
光の向こうに
「死の恐怖」とはなにか
イザナギも西行も私たちも
死を想う意味
がんで死ぬのもわるくない
付録・さらにがんを知るためにお薦めしたい本・サイト

書誌情報

読み仮名 ガンノレンシュウチョウ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610416-9
C-CODE 0247
整理番号 416
ジャンル 家庭医学・健康
定価 770円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2011/10/21

蘊蓄倉庫

がんになるリスク

 原発事故以降、がんになるリスクについて語られることが多くなりました。放射能は確かに怖いのですが、しかしもっと身近な要素として挙げられるのが、タバコです。特にタバコと酒が重なると、危険は増します。喫煙者の男性が、1日平均2~3合飲むと、リスクは約1.9倍、3合以上では約2.3倍になります。タバコ単体はもちろんですが、酒だけ、という人も飲みすぎるとリスクは格段に高くなります。『がんの練習帳』は、予防策から治療法、心構え、費用等々、がんについてのあらゆる基礎教養を身につけるのに、最適の一冊です。
掲載:2011年4月25日

担当編集者のひとこと

中川先生の話はわかりやすい

 誰それが何かの広告塔になったという話はよく聞きます。一方で「逆広告塔」になったというような話もないわけではありません。刑事事件の「疑惑の人」が、なぜかいつも同じブランドの服を着ている、といった場合は完全に後者で、いかにテレビでの露出が増えたとしても、ブランド側からすればいい迷惑のようです。
 しかし、著者がテレビや新聞に登場することは、基本的にとても嬉しいことです。言うまでもなく多くの場合、売れ行き増につながるからです。
『がんの練習帳』の著者である中川恵一さんの顔を、東日本大震災以降、テレビで見る機会が急増しました。中川さんは、東京大学医学部附属病院の放射線科准教授という立場で、放射能が人体に与える影響について解説する役目です。
 普通なら著者がテレビに出ることは嬉しいのですが、この場合、ことがことなので、単純に喜べないというのが正直なところです。
 それでも、テレビを見ていてほっとしたのは、先生の説明が、いつもと同じように冷静でわかりやすかったことでした。
 放射能も怖いですが、自分ががんになることも怖い、というのが普通の感覚でしょう。しかし、中川さんの話を聞いていると、不思議に落ち着いてきます。
『がんの練習帳』は、日本人の2人に1人がかかる「がん」という病気について初歩から応用まで、あらゆることが練習できる本です。怖いのは、がんそのものよりも、がんについて知らないこと、というのがよくわかります。

2011/04/25

著者プロフィール

中川恵一

ナカガワ・ケイイチ

1960(昭和35)年東京生まれ。東京大学医学部附属病院放射線科准教授、緩和ケア診療部部長。東京大学医学部医学科卒業後、スイス、ポール・シェラー・インスティチュートに客員研究員として留学。著書に『がんのひみつ』『がんの練習帳』など。

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