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喜婚男と避婚男

ツノダ姉妹/著

770円(税込)

発売日:2011/05/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

愛を叫ぶか、愛を避けるか。バブル世代のマーケッター姉妹が「男×オウチ」の時代の世相を読み解く。

家事育児を厭わず、妻子を愛し、それを公言して恥じない「喜婚男」。一人で過ごす時間こそ最高と考え、結婚にメリットを見出さない「避婚男」。「男のオウチ進出」によって生まれた彼らの動向を掴まずして、現代の世相を読み解くことはできない! 「女の時代」の恩恵をたっぷりと味わってきたバブル世代のマーケッター姉妹が、驚きと共感、そして困惑も覗かせながら綴る「当世オトコ気質」。

目次
はじめに 「男の時代」がやってきた?
第1章 女は外へ、男はオウチへ
すべてが対照的な「女の時代」と「男の時代」/1980年前後の広告/円高が女のブランド欲に火をつけた/バブル景気が「女の時代」を完成させた/結婚は焦らず余裕の先送り/バブル時代の浮かれ気分が終わった時/もともとはポジティブな言葉だった「フリーター」/島耕作とハマちゃんの共通性/ITとオタク文化がオトコを救う/男の時代「ステップ」の時期が生んだ闇/ダメ押しはリーマンショック
第2章 オウチこそ男のフロンティア
「○○男子」たちの台頭/とんねるず的体育会系ノリが全盛だったバブル時代/みうらじゅん的オタク・サブカル系の進捗/イクメン、カジメンの誕生/オウチこそオンリーワンな世界/巣ごもりじゃない、節約じゃない/さらば高額商品、さらば男の見栄/家事は自己完結だからこそ魅力的/がらりと変わった結婚観/幸せな結婚生活をアピールする喜婚男/結婚から逃避し一人を満喫する避婚男
第3章 世界に向かって幸せを叫ぶ喜婚男
結婚生活を楽しみ尽くす男たち/皇太子殿下は喜婚男の先駆者/「偽装喜婚男」ダルビッシュ/結婚しても人気が落ちないイケメンタレントたち/庶民がなぜか憧れる喜婚芸能人/一般人も世界に向かって愛を叫ぶ/結婚式にも新婦以上にこだわり/企業戦士軍団から一匹狼のイチローへ/『Men's LEE』が人気に/働く妻の内助の功になりたい/「社長よりもパパになりたい」/積水ハウスの「トモイエ」/子育てが「プロジェクトX」に/喜婚男の妻がそれを喜ばないこともある
コラム 「お見合い50回目のプロポーズ」
第4章 結婚から逃避する自由を得た避婚男
結婚しないという自由/「男の時代」が必然的に生んだ存在/愛を求めるがゆえに進む避婚化/避婚男の日本代表・中田英寿/ドラマ『結婚できない男』/超合理主義者か単なる臆病者か/トレンドを先取りしていた小泉純一郎/オタク男性の避婚宣言の書『電波男』/避婚男から喜婚男へ転向した松本人志/避婚男と喜婚男は「お隣りさん」/避婚男は男版・負け犬となるのか/避婚男とバブル女は相性がいい
コラム 「婚活女子は勘弁してほしいです」
第5章 手にした自由の代償は? オトコたちのこれから
喜婚男と避婚男の未来を語る前に/いまはまだ自由を満喫している段階だが/選択の自由は不自由の始まり/男たちに忍びよる選択の苦しみ/イクメンブームのプレッシャー/高い理想より現実的な満足感を/出でよ! 「イクメン論の香山リカ」/ワークライフバランス運動に隠された下心/狙われる喜婚パパたち/これまでも、これからもひとり上手な避婚男/男性用スイーツがウケている理由/商品もボーダーレスの時代へ/喜婚男のガールズトーク、避婚男の井戸端会議/作られる専業主婦願望/『ゲゲゲの女房』は専業主婦ノスタルジー/やがて仕事バカ・ノスタルジーの時代へ/「自由」を求めて自然進出した女性たち
おわりに 東日本大震災の後で

書誌情報

読み仮名 キコンオトコトヒコンオトコ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610420-6
C-CODE 0236
整理番号 420
ジャンル 倫理学・道徳、社会学
定価 770円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2011/11/18

インタビュー/対談/エッセイ

波 2011年6月号より バブル姉妹が「男の時代」を語る理由

ツノダ姉妹

今の日本が、実は「男の時代」に突入していたのをご存知でしたか? 女性の皆様には残念なお知らせですが、「女の時代」はとうに終わっています。数年前から、草食系男子やら弁当男子、イケメンだのイクメンだのマスコミを騒がせてトレンドを引っ張っているのは、男性がらみのネタばかりです。新しい価値観を持ち、新しいライフスタイルを楽しみ、時代をリードしているのは今や男性であり、現代はまさに「男の時代」なのです。
私たちにとってこの発見は、「チッ」と舌打ちしたくなるような、クソ面白くないことでした。バブル時代に20代を過ごし、世間から「女の時代」だと蝶よ花よと持ち上げられてきた私たちが、「男の時代」を宣言する本書を書くことになろうとは……。
私たちツノダ姉妹はマーケティングを生業としており、日々市井の生活者を観察しておりますので、男性たちが何やら幸せそうに日常生活を楽しんでいる気配を数年前から感じておりました。
この「男の時代」に生まれた新しい生き方は、“結婚”という人生の選択に顕著に表れました。デレデレと妻や子どもとの幸せ生活自慢をする男性タレントがイクメンとして人気者となる一方で、婚活中の肉食女子たちを避けて自分だけの趣味ワールドを満喫するオタクたちが市民権を得るなど、一昔前なら「日本男子のくせに……」と眉を顰められたような男子たちが既に巷には爆発的に増加しています。そんな彼らこそ、テレビからブログまで辺りかまわず愛を叫ぶ『喜婚男』と、オンリーワンな自分の世界が大切なあまり他人の愛を避ける『避婚男』たちなのです。
この2タイプの男性たちは、密かに始まっていた「男の時代」の申し子たちですが、私たち姉妹は彼らの生き方・価値観にシンパシーや愛着を感じ、世に広めたいと書籍化を企画したわけではありません。バブル世代であり「女の時代」の申し子であった私たち姉妹だからこそ、視えることがあると気付いたからです。
私たちは女性の社会進出だのキャリアウーマン誕生だのと煽られ、仕事と遊びと自分探しに没頭するあまりに晩婚化や少子化を加速させてきました。夢を追い続けた結果が今現在の女性たちであり、それに関しては少しの自負と沢山の自責の念があります。私たち自身が、時代の波に呑み込まれ、翻弄され、未だに漂流し続けているからこそ、「男の時代」を迎えている新しい男子たちに向けて、語る視点を持っていると思ったのです。
と、志を熱く語るものの何分生まれも育ちも昭和な姉妹ですので、「イマドキの若いヤツは……」と、酒場でくだ巻くオジサン同様な感性を炸裂させてしまいました。皇太子さまから海老蔵、「ゲゲゲの女房」ブームなど例えを多用し、イマドキの喜婚男・避婚男たちを、時に褒め称え時にバッサリと切り捨てながら紹介しています。バブル姉妹が「男の時代」に放つ遠吠えをお楽しみいだだければ幸いです。

(つのだしまい マーケティング会社経営)

蘊蓄倉庫

もともとはポジティブな言葉だった「フリーター」

「男のオウチ進出」を後押しした要素のひとつが働き方の自由化です。リクルートのアルバイト情報誌『フロム・エー』が1987年に「フリーター」なる言葉を使い始めた時、この言葉はポジティブな意味を持っていました。「自分らしさを追求する過程で本当にやりたい仕事を見つけるまで一時的にアルバイトをしている若者」というイメージで、現在のように「正社員になれなくて不安定な仕事をやむなく続ける人」というニュアンスはありませんでした。労働市場が圧倒的に売り手優位だったバブル時代の空気を濃厚にまとった言葉だったと言えます。
掲載:2011年5月25日

著者プロフィール

ツノダ姉妹

ツノダシマイ

妹・角田朋子。1966年生まれ。(株)ウエーブプラネット取締役。慶大法学部卒。ソニー、日本テレビでの勤務を経て2004年より現職。姉・ツノダフミコ。1963年生まれ。(株)ウエーブプラネット代表取締役。慶大文学部卒。代議士秘書などを経て1993年に起業し現職。

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