ハンコウフクロン
反・幸福論


佐伯啓思

人はみな幸せになるべきなんて大ウソ! 稀代の思想家が「この国の偽善」を暴く。

無縁社会の何が悪いのか。遁世も悪くない。「ポジティブ」がそんなに善いのか。格差是正なんて欺瞞だ――。権利や豊かさや便利さを追求し「幸せになるべき」と刻苦勉励してきたはずの日本人が今、不幸の底に堕ちている。大震災、政権交代、「正義論」ブームなど近年の出来事を稀代の思想家が厳しく見つめた時、偽善の殻に包まれたこの国の正体が露わになる。柔らかい筆致の中に、日本人の禍福の真理が詰まった至高の啓蒙書。

発行形態 : 新潮新書
判型 : 新潮新書
頁数 : 255ページ
ISBN : 978-4-10-610450-3
C-CODE : 0210
整理番号 : 450
ジャンル : 哲学・心理学・宗教・歴史
哲学・思想
発売日 : 2012/01/16

編集者のことば
編集者のことば

立ち読み
立ち読み


777円(定価) [在庫なし]


プロフィール 目次 感想を送る POP
蘊蓄倉庫

佐伯啓思
サエキ・ケイシ

1949(昭和24)年、奈良県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。東京大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得。2007年、正論大賞受賞。著作に、『隠された思考』(サントリー学芸賞)、『現代日本のリベラリズム』(読売論壇賞)など多数。

はじめに
第一章 サンデル教授「白熱教室」の中の幸せ
サンデル・ブームの不思議/「最小不幸社会」の幸せ/「ささやかな私的世界」の暴走/アリストテレスの問い/「その先にある幸福」
第二章 「国の義を守る」という幸福の条件
「論」より「力」か/決定権はアメリカに/「国土を守る」とは/神々の敗北/「ふるさと」と「国土」/「義を守る」
第三章 「無縁社会」で何が悪い
「無縁社会」はヘンな言葉/あわてふためく愚/「無縁死」でどこが悪い/現代の死生観/人は“姥捨て”から進歩したか
第四章 「遁世」という幸せ
わからぬでもない事情/「無縁死やむをえず」/家族、この激しい軋轢の場/無用者の系譜/諸行は無常、生者は必滅/うたかたの夢
第五章 人間蛆虫の幸福論
「違い」は「不平等」か?/「ポジティブ」、まかり通る/「死生観」も崩壊する社会/トルストイのディレンマ/「私」を保障するもの/どこから来てどこへ行く
第六章 人が「天災」といわずに「天罰」というとき
「我利」にはしる日本人/普通人の感覚/ヴォルテールの結論とは/カントの言い分/宮澤賢治の「無声慟哭」/日本人の自然観
第七章 畏れとおののきと祈りと
生者と死者の間に/「意味の空白」/恐るべき思想/救い難い人たち/死ねば死ぬだけのこと/「生」の意味
第八章 溶解する技術文明
お気楽な話/脱原発は、脱成長路線/技術文明との付き合い方/今、問われる技術の意味/自然を「挑発」する/ハイデガーの警戒と嫌悪
第九章 民主党、この「逆立ちした権力欲」
わかりきっていたこと/権力欲が権力を手にした時/知識層の病は深刻/暗い未来図/裏返された権力欲/正義の仮面
あとがき




「ポジティブ・シンキング」の怪談

 近代社会には「人はみな幸福になる平等な権利をもつ」「個人には自由がある」という原理原則があるそうです。ここに「幸福になりたい」という観念が加わると、「人はみな幸福でなくてはならない」という、いささか過剰な原理になります。
 さらに、アメリカや日本で横溢する「ポジティブ・シンキング」が加わると、「人は幸福のためにポジティブ・シンキングをしなければならない」という強迫的な思考ができあがってしまいます。
 そのために重度の「ポジティブ病」に病んでいるのがアメリカなのだそうです。そして、この症状は日本にも蔓延しています。
 人は容姿、性格や能力が個々に「違う」のが当然なのに、「違い」を不平等や不公平と捉え、「平等に幸せに生きなければならない」と盲信し、その是正をまさに「ポジティブ」に推し進めることが、恐ろしいことに、本当の幸福を妨げているのだそうです。この問題は本書に詳述されています。
掲載:2012年1月25日
新刊お知らせメール

お気に入りの著者の新刊情報を、いち早くお知らせします!

佐伯啓思 登録


哲学・思想 登録


他の条件で登録する



ページの先頭へ戻る