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医療と介護の最前線! 驚異のリハビリから理想の看取りまで。【現場からの最新報告】

自衛する老後―介護崩壊を防げるか―

河内孝/著

778円(税込)

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発売日:2012/05/17

読み仮名 ジエイスルロウゴカイゴホウカイヲフセゲルカ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 222ページ
ISBN 978-4-10-610470-1
C-CODE 0236
整理番号 470
ジャンル 社会学、福祉、介護
定価 778円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2012/11/09

精神論やお上頼みでは、もう乗り切れない。「される側」「する側」の双方にとって理想とはほど遠い介護の現実、特養入所待機者42万人の長い列、ガダルカナル戦にも喩えられる財政運営……二〇〇〇年にスタートした介護保険は超高齢化社会を迎え、医療、年金に続く「第三の崩壊」の危機にある。先進的リハビリと介護、認知症と看取りへの取り組みまで、介護と医療の現場から見えてくる、人生最終章を守るための選択肢とは――。

著者プロフィール

河内孝 カワチ・タカシ

1944(昭和19)年東京都生まれ。慶応大学法学部卒業。元毎日新聞常務。全国老人福祉施設協議会および国際厚生事業団の理事を務める。著書に『新聞社―破綻したビジネスモデル―』『次に来るメディアは何か』『血の政治―青嵐会という物語―』など。

目次

序 「答え」は現場に埋まっている
第一章 日本の介護体質をぶち壊す 竹内イズムの挑戦
プロの介護職になれ!/ピンピンコロリを作り出す/水は生命の源/既存の介護体質をぶち壊す/学生運動からリハビリ理論へ/歩くのを忘れているだけ/それぞれの「プロジェクトX」/胃ろうを外して寿司屋に行こう!/フランスから消えた胃ろう
第二章 介護保険はどこへ行く 「在宅シフト」の矛盾
世田谷「きたざわ苑」/寝たきりからスーパーへ買い物に/入居待機者42万人の長い列/在宅介護への露骨な誘導/措置制度からサービス利用契約へ/介護保険導入の裏事情/的中した滝上氏の予言/被保険者の8割が掛け捨て/介護保険はガダルカナル戦か/在宅か施設か、不毛な二元論/個人主義の国、スウェーデンで見た訪問介護/福祉は文化と歴史の上に咲く/在宅・施設論争を超えて
第三章 地域介護の旗手たち 故郷を守る砦として
青森県弘前市「サンアップルホーム」/東北初の快挙/自立支援介護のその先に/社会福祉法人だからこそ/静岡県御前崎市「灯光園」/「歩けなくなって助かった」/離職率の高い施設、低い施設/毎年10万人以上の新規労働力が必要/千葉市・介護老人保健施設「うらら」にて
第四章 外国人労働力に背を向ける国 看護師、介護士への狭き門
エラとポピの3年間/国家試験の高い壁/「受かってもらう」ための試験を/理念とかけ離れた制度矛盾/Boys, be ambitious!/根強い外国人排斥ムード
第五章 たどりついた理想郷 山本医師の福祉村
笑いの絶えない診療室/3万坪、福祉王国への道のり/時代を先取りしたリハビリで監査/退院が悲劇の始まり/すべては借金から生まれた/廊下幅2センチの壁/さわらびの萌え出ずる地で
第六章 ここまで来た認知症治療 医学と介護の最前線
認知症治療・介護のいま/治療・予防可能な認知症/治療困難な認知症/新薬の登場/精密診断と投薬調整が決め手/再診で治療法を改善する/「ひもときシート」の効用/竹内理論と山本医師の介護3原則
第七章 自衛のための基礎知識 終(つい)の場を求めて
有料ホームか特養か/要注意! 契約解除規定/問題は一時金より月額利用料/違いは入浴回数とトイレぐらい/大きすぎるコスト差/どの道、再編成は避けられない/非営利は善、ビジネスは悪か/「国民共有・介護の家」へ
第八章 やがて来る日のために 看取りの現場で考える
「ありがとう、もういいよ」/患者の死は医療の敗北か/ホスピスは病院ではない/特養での看取り調査から/死は最高の発明
後序 難解な制度の裏にひそむもの

インタビュー/対談/エッセイ

波 2012年6月号より 介護の総力戦が始まった

河内孝

2050年には人類100人中1人が認知症に侵される――世界保健機関(WHO)は4月、地球規模で進む高齢化がもたらす将来予測を発表した。その先頭を疾走するのが、わが日本国である。
「とうとう『野たれ死に』ならぬ『家(や)たれ死に』の時代が来てしまった。80歳を超えた私は、こんな恐ろしい時代は見ないで済むと思っていたのに……。これから恐ろしい戦争が始まりますよ。介護は、本当に総力戦ですから」
「高齢社会をよくする女性の会」の樋口恵子理事長は最近のセミナーで、こう声を震わせた。ところが「総力戦」を戦い抜く武器であるはずの介護保険の先行きが危うくなっている。制度設計が右肩上がりの経済社会を前提に作られているから土台が崩れ始めているのだ。
『自衛する老後』では、危機の実像を分かりやすく描こうと心がけた。同時に、厚労省の誘導で通説化している「在宅介護はいいことだ」という常識を疑った。最後に、「国民共有・介護の家」という新しい介護サービスの創出を提案している。
危機はハードとソフトの両面にある。ハードは、言うまでもなく介護保険制度が直面している財政問題である。毎年、数千億円のオーダーで増加し続ける介護給付支払いに、ロジスティックス(補給線)が付いて行けない。12年前、月額2000円台で始まった1号被保険者の介護保険料は今年、ほとんどの自治体で5000円を超えた。消費増税も介護保険維持の“援軍”になりそうもない。政府は5%税率アップ(13・7兆円増収見込み)の使い道を社会保障の機能強化(2・7兆円)、基礎年金の国庫負担引き上げ分(2・9兆円)、地方分(2・7兆円)、高齢化に伴う自然増(2015年までに3兆円)、引き上げに伴うコスト増(0・8兆円)としている。残り1・4兆円が財政赤字補てん分である。
「全くのウソ」と言うのは、学習院大学の鈴木亘教授である。年金開始年齢の引き上げ、70歳以上の高齢者の医療費自己負担引き上げが見送られ、消費税の地方配分を1・5兆円も増やしたため、最初から所要額を3・5兆円も下回っているというのだ。
ソフト面はどうか。確かに「家で暮らしたい、家で死にたい」は高齢者の願いだろう。そのためには介護に当たる家族の負担を可能な限り軽減する努力、終の場としての施設の充実が不可欠なはず。ところが国は、「カネがかかる」として施設整備に厳しいたがをはめている。他方、東京での1世帯当たり人数は2人を割った。一体、どこから家族介護力が生まれて来るというのだろう。
結局、有料老人ホームから低所得者向けの養護老人ホームまで複雑多岐に混在する介護サービスをシンプルに再編成する必要がある。思い切って税を投入して、国民年金の範囲内で安心して暮らせる「国民共有・介護の家」を創設するしかない。政府は増税の前に、老後のグランド・ビジョンを提示すべきだった。

(かわち・たかし 全国老人福祉施設協議会理事)

担当編集者のひとこと

アンチエイジングや精神論では乗り切れない

 日本人の平均寿命は男女平均で82歳を超え、1984年以来、世界一の長寿国となっています。しかし、誰もがピンピン・コロリと大往生できるわけではありません。別の指標「健康寿命」は75歳、考えたくはないことですが、人生最後の7年間ぐらいは重い病気を抱え、寝たきりや認知症になる可能性が高いのです。
 先ごろ、東京の平均世帯人数が1957年の調査開始以来、初めて2人を割ったことがニュースになりました。家族介護もあてにできない時代、人生最終章をまっとうするために必要なのは、アンチエイジングや老いの精神論だけではありません。
 著者は、驚異のリハビリから理想の看取りまで、医療と介護の最前線を訪ね歩きながら、崩壊の危機にある介護保険制度の問題を浮き彫りにしていきます。現実を知ることこそが、「想定外」に備える第一歩となるはずです。

2012/05/25

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