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「新型うつ病」のデタラメ

中嶋聡/著

748円(税込)

発売日:2012/06/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

「彼女にフラれたので、休職したい」……!? それが“うつ病”のわけないだろう! もはや社会問題。精神科医がそのまやかしを暴く。

「上司に叱られ、やる気ゼロ」「彼女に浮気されたので休職したい」……。この十年、そんな理由で精神科を訪れる人が急増。従来のうつ病とは明らかに異なる病態をもつそれは、「新型うつ病」と総称されるようになった。診断書を手に堂々と会社を休む人々、手厚すぎる社会保障、肥大化する自己愛と精神力の低下。はたして「新型うつ病」は本当に“病気”なのだろうか。もはや社会問題。そのまやかしを、現役精神科医が暴く。

目次
 はじめに
「新型うつ病」は社会問題である/「新型うつ病」はなぜ生まれたのか/その社会的弊害
第一章 「新型うつ病」とは何か
【1.「新型うつ病」とはどのような病気か】
「新型うつ病」の症例/「従来型うつ病」の症例/「新旧うつ病」の違いとは/「軽症」と「新型」の違い/「病気?」と疑問を感じる症例
【2.うつ病概念の歴史】
「うつ」と「うつ病」――一体どう違うのか/クレペリン、シュナイダー、ヤスパース/テレンバッハの「メランコリー親和型」/「うつ病」と「躁うつ病」(「双極性障害」)の区別/笠原・木村分類の登場/DSM―IIIの出現、そしてDSM―IV―TR、ICD―10へ
【3.「新型うつ病」の位置づけ】
新しいうつ病概念の登場/うつ病概念拡大への異論/「うつ病」と「抑うつ体験反応」の区別――柏瀬の提案より/うつ病をうつ病たらしめる「異質性」/症状の異質性/経過の異質性/医師・患者関係の異質性/うつ病の「異質性」と「同質性」/「新型うつ病」とは何か/抑うつ状態の全貌
【4.「新型うつ病」はなぜ生まれたか――その三つの要因】
精神病理学の衰退/薬物が「うつ病」を増やした/SSRIの出現/製薬会社による激しいプロモーション/「精神科」が「心療内科」へ/精神力の低下/肥大する自己愛/自分の気持ちは自分でコントロールせよ
【コラム 「ツレのうつ」は本物です】
第二章 「新型うつ病」がもたらした社会的弊害
【1.休職をめぐる問題】
休職は癖になる/医師の社会的責任/休職するためだけに求められる診断書/自分で診断書を用意する人
【2.簡単にもらえる傷病手当金】
休職しても給料の六割/病気を隠れ蓑にした利権
【3.しばしばもらえる障害年金】
うつ病で障害が残るのか/「うつ病で障害年金 完全マニュアル」/診断書があるかないかは死活問題/障害年金を求める二つのケース
【4.公費医療・サラ金・奨学金返済・給食費免除・その他の保障や利益】
診断書一枚で借金返済
【5.労働紛争の不思議な結末――富士通四国システムズ事件】
バラバラな診断結果/一千万円を超える「賠償金」/触らぬ神に祟りなし
第三章 精神科診療からみた現代社会
【1.「何でも人のせい」という風潮】
こんなのもパワハラ?/「休んで迷惑をかける」から「休めるなら休もう」へ/虐待のサバイバー?
【2.「何でも病気」という風潮】
不安やうつは病気か/彼女に浮気されたショックで精神科受診/「性格ではなく病気である」の弊害/病名をほしがる人たち/利害を伴う病名希望/放っておくやさしさ
【3.「『知らない私』のせい」という風潮】
「知らないうちに手首を切っていた」/依存症は意志が弱いせいではない?/「無理しないで」どうなる?/ストレスが成長を促す
おわりに
参考文献

書誌情報

読み仮名 シンガタウツビョウノデタラメ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610474-9
C-CODE 0247
整理番号 474
ジャンル 家庭医学・健康
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/12/14

著者プロフィール

中嶋聡

ナカジマ・サトシ

1955(昭和30)年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。医学博士。精神科医。1996年、沖縄県に「なかまクリニック」を開業、現在に至る。著書に『「心の傷」は言ったもん勝ち』『眠れぬ夜の精神科 医師と患者20の対話』『「新型うつ病」のデタラメ』など。

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