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老荘思想の心理学

叢小榕/編著

748円(税込)

発売日:2013/02/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

朝三暮四、杞憂、木鶏、胡蝶の夢。宇宙の法則も、人の心理も見切っていた二千年前の賢人。

上善は水の若し、杞憂、足るを知る、無用の用……老子や荘子に代表される道家思想は二千年以上もの間、人々に豊かな人生を示し、不透明な時代の指針となってきた。とはいえ現代人には理解が難しいところがあるのも事実である。もっと現代人にとって「使い勝手」のよいものにできないか。そう考え、心理学という補助線を引いてみたところ、驚くほど新鮮に道家思想が蘇った! 悩める現代人に捧げる道家入門。

目次
まえがき
第一章 理解と誤解の裏に何があるか
1 朝三暮四――差異と同一
2 窃鉄の疑い――思っているものが見える
3 白と黒――人は見かけによらないか
4 枯れ木――意図の解釈 1
5 管鮑の交わり――意図の解釈 2
6 誤って流した涙――感情の不条理
第二章 どうすれば価値を見極められるか
7 無の用――無と有の相関作用
8 無用の用――図と地の分化
9 物は使いよう――大知と小知
10 美醜二妾――本当の美しさが宿るところ
11 車大工の書物論――糟粕の価値
12 西施の顰みに倣う――真似する心のメカニズム
13 海鳥に宴――人の身になって考える
14 轍の鮒――価値の共有は可能か
第三章 何が自然で何が不自然か
15 上善は水の若(ごと)し――「道」と「超意味」
16 木鶏――究極の境地に達した姿
17 生と死――どちらも自然のなりゆき
18 死にたくない君主――生きるべくして生き、死ぬべくして死ぬ
19 君主になりたくない王子――命の重さ
20 酒と純粋な精神状態――心身の弛緩から見える自然な生き方
第四章 注意という心的資源をどう使うべきか
21 狙う者が狙われる――メタ認知を促すアナロジー
22 馬鑑定の名人――本質を見極める眼力
23 金(きん)しか見えない男――欲望のスポットライト
第五章 なぜ忘れる能力は必要か
24 物忘れのありがたさ――忘却という防衛機制
25 子を亡くした子煩悩――「適応的無意識」と道家の死生観
第六章 どうすれば欲望から解放されるか
26 足るを知る――心の豊かさが悩みを吹き飛ばす
27 恩賞を辞退した羊殺し――なりたい自分よりなりうる自分
第七章 何を判断の基準とすべきか
28 杞人の憂い――予知の限界を乗り越える
29 禍と福・塞翁が馬――禍福転化のしくみ
30 倒錯――「常識」と「非常識」の誤謬
31 時異なれば事殊なり――心を読む
第八章 夢と現とはどんな関係にあるか
32 胡蝶の夢――夢と現実の境界
33 現実の鹿と夢の鹿――幻想を共有すれば「現実」になる
34 主僕の夢――物極まれば必ず反る
あとがき

書誌情報

読み仮名 ロウソウシソウノシンリガク
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610509-8
C-CODE 0210
整理番号 509
ジャンル 哲学・思想
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2013/08/23

著者プロフィール

叢小榕

ソウ・ショウヨウ

1954(昭和29)年中国生まれ。作家、いわき明星大学人文学部現代社会学科教授。北京師範大学卒業、北京中央財政経済大学助教。1985年来日、東京大学大学院、中央大学大学院などに留学。著書に『太平天国を討った文臣 曾国藩』『中国五千年の物語』など。

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