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「過剰医療」がこの国の未来を喰いものにしている――。闘う医師が怒りの告発! 【作家・海堂尊推薦!】

医療にたかるな

村上智彦/著

734円(税込)

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発売日:2013/03/15

読み仮名 イリョウニタカルナ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 190ページ
ISBN 978-4-10-610513-5
C-CODE 0247
整理番号 513
ジャンル 科学
定価 734円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2013/09/20

あらゆる「敵」を名指しして、例外も聖域もなく徹底的に叩く――地域医療の最前線でたたかう医師が、医療にたかる「恥知らずな人々」に宣戦布告! 弱者のふりをして医療費をムダ遣いする高齢者、医療ミスを捏造するマスコミ……この国の未来を喰いものにする「甘え」と「ごまかし」の構造を容赦なく斬る。不満だけを訴えて、自らの手で健康と安心を守ることを忘れた日本人に贈る、過激かつ愛に満ちた処方箋。

著者プロフィール

村上智彦 ムラカミ・トモヒコ

1961(昭和36)年、北海道生まれ。医師。北海道薬科大学、金沢医科大学医学部卒業。2006年から、財政破綻した夕張市の医療再生に取り組む。現在、NPO法人ささえる医療研究所理事長。専門分野は地域医療、予防医学、地域包括ケア。2009年、若月賞受賞。

書評

波 2013年4月号より 村上智彦は何と闘っているのか

海堂尊

村上智彦氏とは、財政破綻した夕張市を取材した時に初めてお目に掛かった。当時、村上氏は夕張医療センター(旧夕張市立総合病院)のセンター長として招聘され、現場の惨状に直面し怒りまくっていた。ダメダメな市政、そんな行政に甘える市民へ向けられた批判は舌鋒鋭かった。そんな中で印象的だったのは、「自分は夕張に骨を埋めるつもりはない」という言葉だ。メディアの寵児になっていた状況下でのその言葉は意外だった。夕張復興のため粉骨砕身します、とでも言っておけば世の支持はたやすく得られただろう。けれども村上氏はあえてそうはせず、自分の気持ちを正直に述べていた。あれから五年、氏は夕張を離れた。そこに気負いや衒いはない。
あるがままに。
それが、村上智彦という人物の本質だ、と私は感じている。

村上氏は言う。
――本書ではあらゆる「敵」を名指しして、例外も聖域もなく徹底的に叩きます。(中略)時には過激すぎるように思えたり、個人攻撃に思えたりすることもあるかも知れません。しかし、先にも述べたとおり、本当の敵は「個人」ではなく、「仕組み」(考え方の構造)なのです。
ここに本書のすべてが詰まっている。人ではなく、属する組織を叩く。対象は市役所の役人や組合員に留まらず、患者である市民にも向けられる。そうした言葉を直接聞かされた人たちの中には、氏を煙たがる人もいただろう。自分が見たくない、真の姿を突きつけられるからだ。だが、氏の口調は優しく、「敵」を見る視線には愛があるようにも思える。それは氏が自分もそのシステムの一員だという視点を決して忘れていないからだ。
著者本人が、過激な内容だと申告しているにもかかわらず本書の読み心地はやわらかく、優しい言葉のつながりで綴られている。村上氏の主張を結晶化させた言葉にムダはなく、ただ透明な問題提起だけがある。氏の言葉が胸に響くのは、言葉が現実の行動で裏打ちされているからだ。本書からは、氏が何としても救いたいのは日本の未来と、それを支える若者だということが伝わってくる。
本書を単なる日本の医療問題を指摘する書として読むのはもったいない。同じような問題は今、日本のあらゆる現場で起こっているから医療分野以外の人も本書を読めば、自分が直面している問題の解決策のヒントを得ることができるだろう。
本書は、どうにもならない現場で体を張って七転八倒しながらも、未来を決して諦めない改革者からの提言書だ。
最後に、冒頭の問いに答えを出そう。村上智彦は何と闘っているのか。それは古い日本である。そしてその先に日本の未来をみている。
つまり、本書は希望の書なのである。

(かいどう・たける 作家・医師)

目次

はじめに
第1章 日本の医療はなぜ「高い」のか?
1.「医療費が高い地域」に同情するな
過剰医療への宣戦布告/医療過疎地での診療所開業/日本一医療費の高い町
2.健康意識は「施し」からは生まれない
「ケア」と「キュア」/患者を減らす方法/一次予防がもっとも安い/注射信仰を逆手に/行政の動かし方/格差をつければ公平になる/保険制度とフリーアクセス/「施し」は逆効果
3.医療施設では人の健康は守れない
日本一医療費の安い地域/医療と寿命は無関係/生活習慣こそが問題/予防医療を阻むもの
4.医療批判に隠された「ごまかし」
フィンランドへ/北欧型の福祉政策/高福祉高負担への批判は正当か/医療亡国論のデタラメ/アメリカ型医療には反対/日本の医療は世界一/検査マニアの勘違い/恥知らずの高齢者たち
第2章 医療を壊す「敵」の正体
1.夕張を破綻させた「たかり体質」
北海道の土地柄/北海道人の気質/北海道の医療の特徴/夕張市の真実/“炭都”で育まれた「たかり体質」
2.既得権益を死守する「政治」「行政」
四面楚歌の夕張入り/決断しない政治/無責任な行政/夕張を蝕んだ労働組合/醜悪な権益確保
3.「マスコミ」の自作自演構造
マスコミの習性/救急拒否事件の真実/ウェブ雑誌の反論手記/思考停止が生み出す自作自演
4.責任回避と権力欲に走る「医療者」
医療関係者のリスク恐怖症/縦割りとリスク回避の構造/権力欲に転ぶ人たち/若月先生も妨害された/官がいいか民がいいか/オランダのビュルトツォルホ
5.「市民」という名の妖怪が徘徊する
歪んだ権利意識/夕張市民の非常識/「ニーズ」と「ウォンツ」/ニーズはアンケートで決めるものではない/「知らなかった」は免罪符にならない/自立した市民とは
第3章 「戦う医療」から、「ささえる医療」へ
1.高齢者医療は「死」を前提に組み立てよ
人は必ず死ぬ/「戦う医療」の限界/「胃ろう」は是か非か/家族との話し合い/口腔ケアの知られざる効果/リスクと向き合う/カリフォルニアの親戚
2.医療を超えた「ケア」を実践せよ
「ささえる医療」とは/老健と在宅医療/在宅の驚くべき効果/コミュニケーションが大事
3.行政への「丸投げ」は卒業せよ
厚生労働省の医療行政/制度は現場から変える/病院死と在宅死/孤独死の問題
4.日本人よ、「公」になれ
「ささえる医療」の担い手/まずは見学から/斜めのつながりを/公の精神
おわりに

担当編集者のひとこと

社会を変えるには?

『医療にたかるな』は、財政破綻した夕張市で地域医療の再生に取り組んだ医師が、その悪戦苦闘の体験をもとに書き下ろした本です。
 著者はあらゆる「敵」を名指しして、徹底的に叩きます。政治家・役人・マスコミは言うに及ばず、身内である医療関係者、さらには顧客である夕張市民をも舌鋒鋭く批判します。いずれも「正論」と思える内容なので、著者を熱心に応援する人もたくさんいます。しかし一方で、その言い方に手加減や配慮が一切ないことから、彼に反感を抱く人がたくさん出てきてしまいます。
 一度本人に「余計な軋轢を生まないように、もう少しうまく立ち回った方がいいのでは?」と訊いてみたことがあります。すると彼は「僕も昔はそう考えていました。でもね、うまく立ち回ろうとすると、結局は何も変えられないんですよ」と、自身のさまざまな経験を交えながら、「社会を変える」ことの難しさ、そして「なぜ軋轢を避けてはいけないのか」を諄々と説いてくれました。
 その内容はすべて原稿に反映してもらったつもりなので、あとは本書をお読みいただければと思います。「社会を変えたい」「自分を変えたい」と思っている人に強くオススメしたい一冊です。

2013/03/25

蘊蓄倉庫

夕張市は日本の縮図

 夕張市は、日本を1万分の1に縮小した地域と考えることもできます。2007年の財政破綻当時で比較してみると、日本の人口1億2000万人強に対して、夕張市の人口は約1万2000人。日本の国債残高680兆円に対して、夕張の借金は630億円。ちなみに高齢化率は、日本の23%に対し、夕張市は倍近い44%ですが、2050年には日本の高齢化率は40%になると試算されているので、夕張市はおよそ40年後の日本の人口構成を体現していることになります。
『医療にたかるな』は、日本の縮図たる夕張市の現場から、近未来の医療介護問題を先取りして論じる必読本です。
掲載:2013年3月25日

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