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「反省文」と「しつけ」はなぜダメなのか? 現場から生み出された「本当に効果的な更正メソッド」

反省させると犯罪者になります

岡本茂樹/著

778円(税込)

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発売日:2013/05/17

読み仮名 ハンセイサセルトハンザイシャニナリマス
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 220ページ
ISBN 978-4-10-610520-3
C-CODE 0236
整理番号 520
ジャンル 教育学
定価 778円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2013/11/15

犯罪者に反省させるな──。「そんなバカな」と思うだろう。しかし、犯罪者に即時に「反省」を求めると、彼らは「世間向けの偽善」ばかりを身に付けてしまう。犯罪者を本当に反省に導くのならば、まずは「被害者の心情を考えさせない」「反省は求めない」「加害者の視点で考えさせる」方が、実はずっと効果的なのである。「厳罰主義」の視点では欠落している「不都合な真実」を、更生の現場の豊富な実例とともに語る。

著者プロフィール

岡本茂樹 オカモト・シゲキ

(1958-2015)1958(昭和33)年兵庫県生まれ。元立命館大学産業社会学部教授。臨床教育学博士。大学での研究・教育活動の傍ら、刑務所での受刑者の更生支援にも携わる。著書に『反省させると犯罪者になります』『凶悪犯罪者こそ更生します』などがある。2015年没。

目次

まえがき
第1章 それは本当に反省ですか?
2度の接触事故を起こした時の私の本音/「後悔」が先、「反省」はその後/すぐに「反省の言葉」を述べる加害者は悪質/加勢大周は「反省」していたのか/少年院経験者は「反省の技術」がうまくなる/被告は裁判でウソをつく/反省に見えて反省でないケース/受刑者が被害者に抱く否定的感情
第2章 「反省文」は抑圧を生む危ない方法
「模範的な反省文」から読み取れること/反省は抑圧を生み、最後に爆発する/非行というシグナル/「世代間連鎖」する家族の問題/「上辺だけ」の反省文は人を悪くさせる/問題行動が出たときは「支援のチャンス」/問題行動は「必要行動」/「反省文」は問題を悪い形で先送りさせるだけ/反省は「自分の内面と向き合う機会」を奪うこと
第3章 被害者の心情を考えさせると逆効果
被害者の視点を取り入れた教育/矯正教育なんかしない方がマシ?/「まじめに務めること」が再犯を促す/大半の受刑者は反省していない/改善指導を自ら希望する受刑者はほとんどゼロ/形骸化したロールレタリング/「自分を虐待していた母の気持ち」になれるか?/否定的感情を吐き出すことが出発点/「内観療法」の問題点/「加害者の視点」から始める/自分の心の痛みに気づくことから真の反省が始まる/「父ちゃん、ごめんなさい」と号泣した殺人犯/真の「反省」とは/受刑者が生き続ける意味/刑務所内での「刑のあり方」の提言/酒井法子の『贖罪』/受刑者の問題は私たちと無縁ではない
第4章 頑張る「しつけ」が犯罪者をつくる
りっぱなしつけが生き辛さを生む/「しつけ」がいじめの一因に/「尾木ママ方式」ではいじめを減らせない/いじめ防止教育は「いじめたくなる心理」から始める/「強い子にしよう」というしつけ/早く「大人」にしようとすると危ない/「ありのままの自分」でいてはいけないというメッセージ/「しっかりした親」の問題
第5章 我が子と自分を犯罪者にしないために
問題行動の背景をいっしょに考える/親から「迷惑をかけられたこと」を考える/「反省文」の代わりになるもの/「ありがとう・うれしい」と「寂しい・悲しい」/プチキレの勧め/「子ども」の部分を大切にする/弱さは魅力でもある/「ありのままの自分」をうまく出せる人こそ「強い人」/「人に頼ること」を大切にする
あとがき

インタビュー/対談/エッセイ

波 2013年6月号より 言い訳を言えると健康になれます

岡本茂樹

「なぜ皆、反省させることに疑問を持たないのかなあ」
これが、『反省させると犯罪者になります』を書き始めたきっかけです。今、学校、家庭、会社、そして少年院や刑務所では同じことが起きています。悪いことをしたら、しっかり反省させるのです。親、教師、上司、そして法務教官や刑務官の大半は、反省して謝罪することが正しいと思い込んでいます。なぜなら、幼いときから彼らは、悪いことをしたら、しっかり反省させられて、謝罪の言葉を述べてきたからです。しかし、悪いことをした人を反省させると「すみません」「ごめんなさい」で終わり、何も問題は解決しません。それどころか、反省は本当の気持ちに蓋をすることになるので、後々に大きな問題が起こります。
本書を書いてから、私は自分の子ども時代を思い出しました。私には、一歳違いの優秀な従兄がいます。幼い頃、二人で遊んで、よく叱られることをしました。しかし、叱られたときの二人の態度は違っていました。従兄は、叱られても何も反論しなかったのです。一方、私は言い訳をする子どもでした。大人は、「言い訳するな」と言って、さらに私を叱りました。そして、従兄は「お前は、素直ないい子だ」と褒められました。その後も、相変わらず私は言い訳を言い続けました。そして、「またお前は言い訳するのか」と厳しく叱られました。なぜ私は、叱られることになるのも分からず、言い訳をしたのでしょうか。
今なら、理由がはっきりと分かります。私は、優秀な従兄と比べられるのが嫌で、周囲の大人から「いい子」と思われたかったのです。自分の言い訳を聞いて(受け止めて)ほしかったのです。もし、周囲の大人が当時の私の言い訳を聞いてくれたら、従兄に比べられた悲しみや辛さを吐き出し、その瞬間から言い訳することを止めていたでしょう。中学生になって、私の言い訳をすべて聞いてくれる恩師との出会いで私は変わりました。言い訳は心が健康になるためには必要なのです。
今、私は刑務所で受刑者の更生の支援をしています。私は彼らに反省を求めません。反省を求めると、「謝罪して終わり」となることが分かっているからです。したがって、私は受刑者の「言い訳」を歓迎します。受刑者は言い訳を聞いてもらう体験がなかったのです。なぜなら言い訳を聞いてくれる(受け止めてくれる)人がいなかったからです。言い訳を聞いてもらうことで、心が癒され、何が問題であったのかに気づけます。自分が起こした事件と向き合うことは、言い訳という「本音」を話すことから始まるのです。
本書は、悪いことをした人が回復するために必要なことを書きました。何の疑問も持たれていない「反省させること」を、今一度皆で考えてほしいという思いを込めています。その点で、すべての人が正しいと思っている価値観に一石を投じています。この一石が、本書を手にした人にとって、「大きくて重い石」になることを期待しています。

(おかもと・しげき 立命館大学産業社会学部教授)

担当編集者のひとこと

すぐ反省する奴ほどタチが悪い

 タイトルを見て、「ふざけるな!」と思った方も多いかも知れません。「悪いことをしたら反省させるのが当たり前じゃないか」と。
 でも、考え直してみて下さい。仮に悪いことをしてしまったり、ミスをおかしたりした時、人はそんなに素直に謝れるでしょうか? まず最初に「やばい」「隠せないか」「最悪のタイミングだな」などと自分の都合で考えないでしょうか? 結局「ごめんなさい」と口にせざるを得なくなっても、内心の忸怩たる思いに頬被りをしていたり、「後々めんどうになるくらいならとりあえず謝っておくか」との判断が働いたりはしていないでしょうか。
 こうした「ごめんなさい」に、社会の潤滑油としての役割があることは否定しません。しかし、この「ごめんなさい」には、自分自身がミスなり悪事なりを為すにいたった理由についての洞察も、自分の行動が相手に対して与えた影響に対する意識もありません。つまり、本当の意味での「反省」ではないのです。芸能人が薬物で捕まったりすると、私たちは、彼らからすぐに「反省の言葉」を聞きたがりますが、犯罪直後に出される彼らの「反省の言葉」も、同じ理由から本当の「反省」とは言えません。
 臨床教育学者であり、累犯刑務所で受刑者の更生支援もしている著者は、こう断言します。「犯罪者に反省を求めても、百害あって一利なし」と。犯罪者に即座の「反省」を求める現状では、彼らは「世間向けの偽善」しか身につけません。だから、累犯者ほど「反省」がうまくなりますし、すぐ「反省」する奴ほどタチが悪い、ということになります。
 犯罪者を本当に反省に導くならば、「反省を求めない」「被害者の心情を考えさせない」「徹底的に加害者自身の問題と向き合わせる」のが、実は効果的だそうです。本当の反省をもたらすのは、反省させない方法なのです。
 世間の常識とは異なりますが、現場の知見から練り上げた著者の論理は説得力抜群で、目からウロコがボロボロと落ちます。犯罪者の心理だけでなく、子どもの教育に悩んでいる方にも、資するところが大きいと思います。

2013/05/24

蘊蓄倉庫

「まじめに務める」受刑者は再犯の可能性が高くなる

 受刑者の生活では「まじめに務める」ことが目標となりますが、著者によると、この「まじめに務める」生活が、再犯の可能性を高めているそうです。単調な作業の繰り返しは時間の感覚を麻痺させ、被害者に対する意識を薄れさせます。つまり、受刑生活が「反省」の機会になりにくくなっている。
 また、刑務所では規律が最重視されますから、人に頼ったり頼られたりという普通のコミュニケーションがとりにくい。結果的に、受刑者が収監時に持っていた歪んだ価値観がさらにパワーアップされ、それが犯罪という形で表出する可能性が高まってしまう、というわけです。
掲載:2013年5月24日

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