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あの歌が僕の記憶を甦らせる。極私的ヒット曲の戦後史。

歌謡曲が聴こえる

片岡義男/著

821円(税込)

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発売日:2014/11/15

読み仮名 カヨウキョクガキコエル
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 238ページ
ISBN 978-4-10-610596-8
C-CODE 0273
整理番号 596
ジャンル エッセー・随筆、音楽
定価 821円

〈あの夏の終わり、竹芝桟橋でふと聴いた女性の歌声。その曲は僕の内部にとどまった。良く出来た歌謡曲が持っている刺の一本が、僕に初めて突き刺さった……〉こまどり姉妹、並木路子、フランク永井、ナンシー梅木、田端義夫、美空ひばり……思い出の歌手とあのヒット曲、そして、終戦から高度成長期への日本の姿。心に刻まれてきた歌謡曲をいま再び聴きこみ、名手が透明感あふれる文体で「戦後の横顔」を浮び上がらせる。

著者プロフィール

片岡義男 カタオカ・ヨシオ

1939(昭和14)年、東京生まれ。作家。早稲田大学法学部卒。『スローなブギにしてくれ』(第二回野性時代新人賞受賞)、『波乗りの島』『頬よせてホノルル』『ミッキーは谷中で六時三十分』『日本語と英語』『私は写真機』をはじめ小説、エッセイ、評論、翻訳、写真集など著作多数。

目次

まえがき
1 一九六二年、夏の終わり、竹芝桟橋 『ソーラン渡り鳥』
目覚めて西瓜を食べ/特設ステージで異星人が歌った/譜面と歌詞そして七インチ盤/バンドマンにしか見えなかった
2 そこに生きた多くの人たち 『カチューシャの唄』『青春のパラダイス』
せめて淡雪、溶けぬまに/なぜあれほどまでに歌謡曲だったのか/叙情の言葉と生活の苦労/笑顔で丘を越えてゆく
3 黙って見ていた青い空 『リンゴの唄』『カチューシャ』
赤い林檎ひとつだけで/リンゴによく似た可愛い子
4 時間は容赦なく経過していく 『黒いパイプ』『悲しき竹笛』
すべてはそのままに静止している/今も昔のせつなさよ/昭和二十一年の日本に僕はいたけれど/時間は容赦なく経過していく
5 ナンシー梅木とミヨシ・ウメキ 『アイム・ウェイティング・フォ・ユー』『時計のささやき』
ラジオで聴いたナンシーの歌/一九五五年七月二十七日、ハワイ経由/歌謡曲を英語の歌詞だけで歌う/自分らしさへの模索
6 アメリカン・ヒールとねずみ取り器 『長崎エレジー』『山小舎の灯』
電球アンカとはいったいなにか/特等百万円の宝くじが一枚五十円/思い出の核/自分と日本との関係のなかで
7 一九五四年のアメリカ製の電気ギター 『島育ち』『かえり船』
彼はこのギターを深く愛した/ギターのネックがいい角度で下を向いている/ピックアップが前後にひとつずつ/歌う声には涙がある
8 レコード店で買ったばかりの七インチ盤 『霧笛が俺を呼んでいる』『なみだ恋』
霧笛が呼んだのは誰だったか/全集の譜面と七インチ盤/いつも聴こえてはいたけれど/通り雨には肩を寄せたか
9 一九六三年のスチュードベイカーと煙草 『有楽町で逢いましょう』『恋人よ我に帰れ』
フランク永井の指先の煙草は/キャンプ・ドレイク下士官クラブ専属歌手/ラバカンノバクツミ/日本語からの脱却という快感
10 ジャズを歌ったLPが少なくとも二枚はある 『再会』『熱海ブルース』
歌謡曲がひとつだけあった/ひとりひっそり歩いてた/決別への日々は始まっていた/ハスキーという種類の声が流行した
11 さらにいっそう美空ひばりであることを 『港町十三番地』『蘇州夜曲』
一九八七年十月、録音スタジオにて/カヴァーソング・コレクション
12 オレゴン州ポートランドの中古LP店 『男ならやってみな』『菊千代と申します』
いつものように左に離れた位置に/アメリカ陸軍の女性兵士たち
あとがき

担当編集者のひとこと

片岡義男氏が編んだ「僕の戦後“ヒット曲”史」

 いまも健筆をふるう作家、片岡義男氏による、初めての新潮新書が本書です。
 洋楽に詳しいことで知られる片岡氏が挑んだのは、意外にも、昭和の歌謡曲。
 終戦から高度成長期に、記憶に刻まれた日本のヒット曲について、数多く紹介しています。
「僕の心に初めて突き刺さった」こまどり姉妹のヒット曲、『リンゴの唄』に秘められた戦争悲話、フランク永井がかもし出す魅惑のムード、ナンシー梅木の生々流転、哀愁のメロディを奏でる田端義夫のギターの秘密、和田弘とマヒナ・スターズの盛衰、そして、美空ひばりの知られざる暗闘……。
 1939年生まれの片岡氏が、多くの曲をいま再び聴き直し、私的な追憶を、歌手や楽曲にまつわる逸話とともに明かしています。同時にそれは、もう失われた「戦後日本の姿」を浮び上がらせることになりました。
 透明感あふれる、心地よい文章で綴られる、「僕の戦後“ヒット曲”史」となっています。

2014/11/25

蘊蓄倉庫

『リンゴの唄』に秘められた悲哀

「赤いリンゴに唇よせて」の歌い出しで知られる『リンゴの唄』ですが、実はこの曲には戦争の悲哀がこめられているというのが片岡義男氏の解釈です。
「赤いリンゴ」は戦争で命を落とした子どもたちの象徴。続く歌詞の「黙って見ている 青い空」は、過去と未来という時間を表していて、過去とは、戦争で子どもを失った悲しみ、未来とは、繰り返し続けられる営みとしての、失った子どもとの辛い別れの積み重ねのことなのだそうです。
 この曲を歌った並木路子は、戦争ですさまじい体験をしています。父と兄は戦地で亡くなり、東京大空襲で母親は亡くなり、本人は隅田川に飛び込み一命を取りとめました。
 それでも敗戦後、希望を託して、歌い続けたのが、『リンゴの唄』だというのです。
 そういう思いで聴くと、この歌がまったく別のものに聴こえてくることでしょう。
掲載:2014年11月25日

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