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【ヤンママの料理はひどい?】【シニアは健康のために歩く?】「偽物の消費者像」に騙されるな!

マーケティングの嘘―団塊シニアと子育てママの真実―

辻中俊樹/著、櫻井光行/著

756円(税込)

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発売日:2015/01/16

読み仮名 マーケティングノウソダンカイジニアトコソダテママノシンジツ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 190ページ
ISBN 978-4-10-610604-0
C-CODE 0263
整理番号 604
ジャンル マーケティング・セールス
定価 756円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2015/07/17

市場調査で一般的に使われる定量的マーケティングは、しばしば偽物の消費者イメージを作り出す。たとえば「若い母親の料理は手抜きだらけ」「シニア層の散歩は健康目的」などだ。しかし、著者の開発した「生活日記調査」は、全く異なるリアルな消費者の姿を浮かび上がらせる。たった一人のサンプル調査が絶大な効果を挙げる画期的なマーケティング手法と、消費の大票田「団塊シニアと子育てママ」の真相を詳述。

著者プロフィール

辻中俊樹 ツジナカ・トシキ

1953(昭和28)年生まれ。1982年よりマーケティング活動に従事。(株)ユーティル“気づき”マーケティング研究所顧問。

櫻井光行 サクライ・ミツユキ

1960(昭和35)年生まれ。博報堂マーケティング局を経て、(株)ビジネス・デザイン・アソシエイツ代表取締役。

目次

第1章 マーケティングが「偽物の消費者」を作り出す
1 子育てミセスの食生活は「ひどい」のか?
2 シニア層とポストマタニティ層
3 エルゴベビージェネレーション
4 「恋人」って誰のこと?――定量調査の限界その1
5 回答者は嘘をつく――定量調査の限界その2
6 調査できるのは「わかっていること」だけ――定量調査の限界その3
第2章 生活をミクロで追わねば、消費者はわからない
1 生活動線を追いかける
2 生活シーンの中に商品はどのように現れるか
3 「時短カレー」が成功しない理由
4 「作り方」「使い方」も見極める
5 観察でわかった車に必要な「玄関」「ベランダ」
6 団塊世代の「東京移民物語」
第3章 和食の伝統を守っているのは、子育てママたちである
1 包丁よりもクックパッド
2 「新手作り伝統食」の流儀
3 完食のためにひと工夫
4 子供の誕生後に出現した「夫婦の朝食」
5 ワンプレートは新世代の懐石である
6 育児とコーヒーの密接な関係
7 バァバの知らない子育てアイテム
第4章 「実家の一軒家」は可能性の宝庫
1 「神田川」から「入間川」へ
2 団塊世代=全共闘世代ではない
3 「東京移民」の終焉、「ジモティ」の誕生
4 孫は目の中に入れると案外痛い
5 内孫と外孫の逆転
6 実家の減築? とんでもない!
7 シニア夫婦の生活は「二人のシングル」のミックス
8 〈実家〉はこれからも成長する
第5章 シニアが出歩くのは健康のためではない
1 「濡れ落ち葉」でも「カップルアゲイン」でもなく
2 「義務と責任」からの解放
3 コマ切れ動線を意識したマクドナルドのCM戦略
4 歩くための道具たち
5 季節と一緒に生活のリズムを刻む
6 シニアはなぜ和菓子をよく食べるのか
7 自分のために「食べたいものを作る」
第6章 「わが家の味」という虚構
1 ホットケーキはなぜ「食べたくなる」のか
2 通過儀礼の大復活
3 日常作られない料理こそ「わが家の味」になる
4 洋風化した「わが家の味」
5 予兆としての〈小鍋仕立て〉
6 シニアの「ひとり文化」が支える喫茶店と映画館
第7章 サンプル一人からのマーケティング――生活日記調査への招待
1 生活動線の「頻度」と「異常値」を見る
2 「異常値」からペット共棲の予兆を見つけた
3 二次データを見て、長いタームで考える
4 よくある質問に答える
5 自分で生活日記を書いてみよう
あとがき

インタビュー/対談/エッセイ

波 2015年2月号より マーケティングは文化人類学である

櫻井光行

モノは安くしないと売れないし、広告もなかなか効かない、そんな大変な時代である。「今こそマーケティングの出番だ」とマーケティングプランナー歴三〇年の私は言ってみる。
そもそもマーケティングとは何か? 営業のことか、広告のことか。その定義は無数にあるけれど、私が気に入っているのは経営の神様と言われたドラッカーの定義である。「究極のマーケティングとはセリング(販売)を不要にすることだ」。
セリングとは顧客に商品を売り込むことである。もちろん企業にとって、セリングが重要であるのは言うまでもない。それならば、なぜドラッカーはセリングを不要にすると言ったのか? それはセリングの前提に「売れる仕組みを作る」必要があることを示したかったからだ。マーケティングとは売れる仕組みを作ることなのだ。
売れる仕組みを作るためには、何よりも顧客のニーズを把握することが大切である。それに基づいて商品やサービスが開発され、広告や販売のやり方が考えられる。そして、顧客のニーズを知るために行なわれるのが定量調査(アンケート)である。ところが、この定量調査がマーケティングにさまざまな問題を引き起こしている。
定量調査の最大の限界は、調査する側のわかっていることしか質問できないことだ。もう少し正確に言えば、顧客はこんな生活をしていて、こんな商品を欲しがっているはずだという「仮説」を検証することしかできない。「仮説」と言えば、もっともらしく聞こえるが、これが往々にして企業の「思い込み」であることが少なくない。たとえば、「シニアが散歩を好きなのは健康のため」「若い主婦は包丁を持っていないから、手抜き料理ばかり」などだ。
私たちに言わせれば、これらは「マーケティングの嘘」である。リタイアした男性にアンケートで趣味を聞けば、「散歩」と答える人は多いだろう。散歩が好きな理由を聞けば、「健康のため」に○印がつくだろう。こうして「マーケティングの嘘」はまかり通ることになる。嘘に基づいて考えられたマーケティングでは売れるわけがないのは当然の帰結である。
それでは「真実」に気づくためにはどうすればよいのか? その回答が、顧客に一週間の日記をつけてもらう「生活日記調査」という手法である。
実は日記調査のルーツは文化人類学にある。文化人類学者は異文化の部族と共に生活し、民族誌(エスノグラフィー)を記録する。生活行動を丸ごと捉えることで初めて、異文化の生活の意味が理解できるという考え方がそこにはある。顧客はもちろん異文化の部族ではない。言葉も通じるだろう。しかし、「わかったつもり」が一番いけない。
本当は顧客と一緒に暮らせればよいのだが、そうも行かない。そこで、私たちは日記を通じて、マーケティング人類学者として真実を探索するのだ。その探索の結果は、本書でお読み頂ければ幸いである。

(さくらい・みつゆき マーケティングプランナー)

担当編集者のひとこと

偽物の消費者イメージに騙されるな!

 商品開発や消費者調査の分野では、しばしば定量的なマーケティング調査が行われますが、これはしばしば「偽物の消費者」を作り出してしまいます。例えば、「あなたは今朝、朝食を食べましたか?」という質問の定量的なデータをとったとしても、「朝食」でイメージするものは人それぞれ。普段はご飯と納豆と味噌汁と焼き魚を食べている人が、たまたまその朝ヨーグルトしか食べていなかったら、その人は「朝食を食べなかった」と答えるかも知れません。
 一方、普段から朝食にヨーグルトしか食べない人ならば、同じヨーグルトだけの朝食でも、この質問に「食べた」と答えるでしょう。つまり、「朝食」という言葉の差異を考慮しないで集めた定量的なマーケティングデータは、個々の消費者の事情を全く反映しない「偽物の消費者」を作り出すことにつながりがちなのです。
 これに対して著者たちが考え出した「生活日記調査」という手法では、個々の消費者に日記を記してもらうというやり方で、消費者が一つの消費行動をとるときの「文脈」を明らかにしていきます。サンプルは少数でも、これによって、従来の消費者イメージが裏切られるような事実がいろいろと明らかになるのです。
 本書を編集していて、私自身がなるほどなぁと思った指摘には、以下のようなものがあります。「ワンプレートは新世代の懐石である」
「団塊世代の東京移民が後の『ジモティ』を生んだ」
「シニア世代はカレンダーに沿って生活していない」
「ふだん食べない料理こそ『わが家の味』になる」

 本書が主な調査対象にしたのは、団塊シニア層と子育てママ世代。彼らの「物語」を深掘りしていった時に見えてきた「消費の大票田」の真相を知ると、誰かに語らずにはいられなくなるはずです。

2015/01/23

蘊蓄倉庫

育児とコーヒーの密接な関係

 1985年から2010年までの年代別のコーヒー飲用率を調べたことがある著者によると、18~24歳の女性でコーヒーをよく飲む人の割合は、2010年には1985年の6割のレベルにまで減少していたそうです。男性の18~24歳では85年比で半分、25~39歳でも8割強にまで減少と、若者のコーヒー離れは顕著でした(高齢者の飲用率は、この間に大幅に上昇している)。
 ところが、女性の25~39歳の層では、85年と2010年で変化が全くないのです。上振れも下振れもしていないのは、この層の女性だけ。生活者の行動をミクロで調べている著者はこの理由を、「育児の経験が、この年齢の女性たちにコーヒーの持つ価値を発見させているからではないか」と推測しています。
掲載:2015年1月23日

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