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“真実”は現場にあり。
桶川・足利事件の調査報道で社会を大きく動かした記者が、報道の原点を問う。

騙されてたまるか―調査報道の裏側―

清水潔/著

842円(税込)

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発売日:2015/07/17

読み仮名 ダマサレテタマルカチョウサホウドウノウラガワ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 254ページ
ISBN 978-4-10-610625-5
C-CODE 0236
整理番号 625
ジャンル マスメディア、ノンフィクション
定価 842円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2016/01/08

国家に、警察に、マスコミに、もうこれ以上騙されてたまるか――。桶川ストーカー殺人事件では、警察よりも先に犯人に辿り着き、足利事件では、冤罪と“真犯人”の可能性を示唆。調査報道で社会を大きく動かしてきた一匹狼の事件記者が、“真実”に迫るプロセスを初めて明かす。白熱の逃亡犯追跡、執念のハイジャック取材……凄絶な現場でつかんだ、“真偽”を見極める力とは? 報道の原点を問う、記者人生の集大成。

著者プロフィール

清水潔 シミズ・キヨシ

1958(昭和33)年、東京都生れ。ジャーナリスト。新潮社「FOCUS」編集部を経て、日本テレビ報道局記者・解説委員。2014(平成26)年、『殺人犯はそこにいる――隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』で新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞。同書は2016年に「文庫X」としても話題になる。著書に『桶川ストーカー殺人事件――遺言』(新潮文庫)、『騙されてたまるか――調査報道の裏側』(新潮新書)、『「南京事件」を調査せよ』(文藝春秋)がある。

目次

はじめに
第一章 騙されてたまるか――強殺犯ブラジル追跡
「逃げるが勝ち」など許さない/ジャーナリスト・タッグ結成/ホールドアップ/騙された!/強殺犯との対峙/二ヶ国で放送/遺された写真
第二章 歪められた真実――桶川ストーカー殺人事件
「遺言」/豹変/絶望/裏取り/決断/警察が嘘をついた/改竄/情報は簡単に歪む
第三章 調査報道というスタイル
調査報道と発表報道/大統領まで辞任させる調査報道
第四章 おかしいものは、おかしい――冤罪・足利事件
“点”から“線”へ/逮捕/深まる謎/自供とDNA型鑑定/実験/浮上する“影”/神話崩壊/遺族の声/突破口/再鑑定/釈放/真犯人報道
第五章 調査報道はなぜ必要か
「発表報道」のワナ/調査報道が敬遠される理由/それでもなぜ私は報道するのか/伝書鳩化する記者/“真意”が隠されることも/勘弁してくれ、「記者クラブ」/出入り禁止/それは本当に「スクープ」なのか
第六章 現場は思考を超越する――函館ハイジャック事件
とにかく現場へ/事件発生/一瞬の勝負
第七章 「小さな声」を聞け――群馬パソコンデータ消失事件
証言の矛盾や対立をどう判断するか/消えた“被害”
第八章 “裏取り”が生命線――“三億円事件犯”取材
取材現場は“嘘”の山/「三億円事件犯」現れる!/三億円が鳩になった!/潔くボツにする勇気
第九章 謎を解く――北朝鮮拉致事件
現場がわからない/拉致事件の共通点/「猫のタロウを探しに行きます」/橋の上からの風景
第十章 誰がために時効はあるのか――野に放たれる殺人犯
逮捕を潰した「エゴスクープ」/時効が存在する理由/時効撤廃
第十一章 直当たり――北海道図書館職員殺人事件
行方不明/状況分析/直当たり
第十二章 命すら奪った発表報道――太平洋戦争
あなたのマフラーになりたい/一夜/すれ違い/真実を知って/別れのキー/再会/婚約者に導かれ
おわりに

インタビュー/対談/エッセイ

真偽を見抜く力

清水潔

 私は「伝聞」というものが嫌いだ。
 例えばこんな記事か。
「捜査関係者によれば、容疑者は大筋で犯行を認めている」
「伝聞」にもとづいており、情報の発信源も曖昧。おまけに「大筋」というのが何を指しているのかさっぱりわからない。最悪なのは、たとえそれが後に事実ではないとわかった場合でも、誰も責任を取らないことだろう。そんな無責任な報道を私は何度も見てきた。
 新聞、週刊誌、テレビと主に事件記者として報道の仕事に携わって三十五年が経つが、これまで「記者クラブ」に所属したことはない。足しげく現場に通い、自分の目で見て、関係者の声を聞き、事実関係を一から調べていく。そんなプロセスを経たものしか信じられない。
 このような取材スタイルが「調査報道」と呼ばれたこともある。代表的なものが、桶川ストーカー殺人事件と足利事件についての報道だ。
 前者では、警察より先に殺人犯を特定、さらに警察が隠蔽していた怠慢捜査の実態も報じた。当事者である警察は自らに不利なことを発表するはずもなく、当然警察発表に頼る他のメディアとは百八十度方向性が違う記事となった。
 足利事件は、すでに男性が逮捕されて“解決済み”のはずだった。しかし私は「おかしいものは、おかしい」と事件を一から検証、冤罪の可能性を報じ続けた。その結果、受刑者の無実が明らかとなり逮捕から十七年目に男性は釈放された。
 いずれも取材から報道まで苦難の連続だった。詳細は、『桶川ストーカー殺人事件―遺言―』『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―』(ともに新潮社)でも発表しているが、今回新たにその取材の裏側をまとめてみた。
 綱渡りのような際どい取材は他にも数多く経験している。殺人犯と直接対峙したことも一度や二度ではない。地球の裏側まで強盗殺人犯を追跡し、「あなたは人を殺したんですか?」と詰め寄った時は、さすがに肝を冷やした。ハイジャック事件の現場を走り回ったことも、北朝鮮が認めるはるか前に拉致事件を検証したことも、「公訴時効」という厄介な“敵”と戦ったこともある。
 このような調査報道の裏側を、記者人生の集大成として惜しみなく盛り込んだのが、本書である。
 本当か、嘘か――。
 それを見極めるのが私の仕事のひとつであり、もし騙されれば、それはそのまま“誤報”となる。
 こうした危険は、何もメディアに携わる人間だけのものではない。個人にも「真偽を見抜く力」がこれまで以上に求められている。振り込め詐欺、悪質な投資や宗教の勧誘、食品偽装……そんな危険から身を守るためには、そして政府やメディアの嘘を見抜くためには、一体どうすればよいのか。そのヒントを本書で提示したつもりである。
 真偽を判定する方法と調査報道の手法には重なるところがある。何かの参考になればこんな嬉しいことはない。

(しみず・きよし ジャーナリスト)
波 2015年8月号より

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