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研修医諸君、画面を見ずに患者を見よ。徹底的にリアルな診察室の人間学。

医者と患者のコミュニケーション論

里見清一/著

799円(税込)

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発売日:2015/10/17

読み仮名 イシャトカンジャノコミュニケーションロン
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 218ページ
ISBN 978-4-10-610638-5
C-CODE 0247
整理番号 638
ジャンル 科学
定価 799円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2016/04/08

病院にはストレスがたまっている。医者が患者に病名や余命を告知して、治療方針を相談しながら決めるようになった。それで関係が良好になるどころか、相互
不信は増す一方なのだ。なぜか。どこでこじれるのか。どうすればいいのか。この問題を臨床医として考え抜いた著者の思考は、「わかりあう」ということの本質へと到達する。綺麗事や建前を排した、徹底的にリアルかつ深遠なるコミュニケーション論。

著者プロフィール

里見清一 サトミ・セイイチ

本名・國頭英夫。1961(昭和36)年鳥取県生まれ。日本赤十字社医療センター化学療法科部長。1986年東京大学医学部卒業。国立がんセンター中央病院内科などを経て現職。日本臨床腫瘍学会協議員・日本肺癌学会評議員。著書に『偽善の医療』『医師の一分』など。

目次

はじめに
1 「面倒」こそがコミュニケーションの本質
電話以前のコミュニケーション/無神経なPHS/「その場の雰囲気」の意味/テレビ会議が盛り上がらない理由/患者に触らない医師/患者「様」ではない
2 医者を取り巻く相互不信の時代
平成生まれの研修医へ/他人の不幸が飯の種/相互不信が蔓延する時代/医療の「進歩」が距離を作る/生身の患者を見て、触る/言葉も言葉以外もスキルである
3 共感を示す「型」の修得
「もうわかった」はなぜ不愉快なのか/エリザと患者の会話/共感の示し方の一例/「理屈」よりも「真似」/医者は「マックのバイト以下」?/まず型を身に付ける/人真似の重要性
4 まずは水増し、見た目、ハッタリ
東大は碌なところじゃない/メッセージの限界/水増しの効能/見た目は人それぞれ、いかに活用するか/ハッタリのかまし方
5 患者と「仲良くなる」方法
ミスと信用/無駄の共有/無駄とは何か/悪口と噂話/抱きつく作法/人間の動く原理
6 贈り物は受け取らねばならない
贈り物には理由がある/出されたものを目の前で平らげる意味/手みやげを断られたら/ヤクザは「倍返し」/もらったら素直に喜ぶ
7 医療のマキャベリズム
「患者とその家族は恩知らず」/性善説の怪しさ/目的のためには手段を選ばない/患者への感情
8 うまくいっている時に注意
治療が順調に進んで/治ったつもり/偉そうにするな/助からなかった方が感謝されるのはなぜ?/人間には負い目が必要
9 引っ込みがつかない時
羽生選手の強行出場は正しかったか/ムリと言えない心理/医者の都合/後戻りできない/治療は目的ではないのだが
10 ヤブヘビについて
なぜ当たり障りのない話になるのか/余計な一言で/癌検診のパラドクス/情報過多の罪/藪蛇を一掃すればよいのか
11 「本当のこと」は取扱注意である
告知が暴言だった時代/真実は危ない/それを言っちゃあおしまいよ/傷に塩を塗り込む説明/真実に向き合う辛さ/「暴言」を避けるためには
12 暴言を防ぐシステム
筆者の悩み/なぜ平謝りの羽目に?/ツイッターはもっと怖い/野蛮への回帰/医学論文を出すのはなぜ面倒か
13 頭に血が上った時
我に返るには/腹が立つ理由は何か/頭に血が上っている患者/やっても無駄/一緒に盛り上がる
14 「安心」させる方法
医者が患者を脅す/何のための検診なのか/大丈夫と異常なしは別物/求められる情報とは
15 「何もできなくなった」とき
慰めるという仕事/この期に及んで撤退とは/「今でもあなたは私の患者」/誰がその役目を/その場を支配する「人情」

担当編集者のひとこと

病院あるある

 新潮新書編集部では、翌月刊行の新刊のオビについて、編集部員全員で意見を交換することになっています。
 この『医者と患者のコミュニケーション論』でも、何種類かのオビについて話し合いましたが、一番人気だったのが、現在巻かれている「研修医諸君、画面を見ずに患者を見よ。」というコピーのオビでした。
 担当者としては、がんなどの深刻な病気での診察風景をイメージしたコピーだったのですが、どうやらそういう経験が無い人でも、思い当たるフシのあることだったらしく、その場の老若男女すべてが「そうなんだよねえ」といった感想を口にしていました。これはもう誰にでも覚えがある「病院あるある」なのでしょう。
 子供の頃かかっていた病院では、かならずお医者さんがこちらの目やのどを触り、胸に聴診器を当てたものですが、今では滅多にそういうことがありません。
 もちろん、検査技術が進化した現代において、そういう触診には昔ほどの意味はないのでしょう。が、それでもこちらとほとんど目も合わさず、パソコンの画面ばかり見ている先生にはどこか不安や不満を感じてしまう。それが人情というものでしょう。
 本書は、臨床医として患者に接し続けてきた著者が、「患者とわかりあう」とはどういうことかを現場で考え抜いた成果です。
 いかにわかりあうことが難しいか。一筋縄ではいかないことか。
 そのことがよくわかるはずです。
 その前提がわかってはじめて、私たちはわかりあうことへ歩を進められるのかもしれません。

2015/10/23

蘊蓄倉庫

がんの「告知」は当たり前か?

 今では、患者本人にがんを告知するのは「当たり前」となっていますが、この慣習はそう古いものではありません。告知のご本家とも言うべきアメリカでも、1961年の時点では、告知を「しない」が88%でした。
 それが1977年には「する」方が98%と、わずか10余年で逆転したのです。
 日本では、それよりもはるかに遅れていて、告知が一般化したのは1990年代に入ってからでした。
 問題は、それによって患者と医師との関係が良好になったかといえば、そうとも言い切れない点です。「本人のことだから本人に自己決定権を委ね、正しい情報を提供するのは当然だ」というのは、とても「正しい意見」なのですが、それが人間の感情に即したものかどうかということは別問題です。
『医者と患者のコミュニケーション論』は、この告知の問題の他、病院内でのコミュニケーションについて、臨床医が考え抜いたことをまとめた1冊です。
掲載:2015年10月23日

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