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宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみ。「史上最もCDが売れた年」に奇跡のように揃って登場した、彼女たちの栄光と苦悩に迫る。注目の著者、渾身のデビュー作!

1998年の宇多田ヒカル

宇野維正/著

799円(税込)

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発売日:2016/01/16

読み仮名 センキュウヒャクキュウジュウハチネンノウタダヒカル
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 223ページ
ISBN 978-4-10-610650-7
C-CODE 0273
整理番号 650
ジャンル 音楽
定価 799円
電子書籍 価格 799円
電子書籍 配信開始日 2016/07/01

1998年。史上最もCDが売れた年。宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみがデビューした年。偉大な才能がそろって出現した奇跡の年と、四人それぞれの歩みや関係性を、「革新・逆襲・天才・孤独」をキーワードに読み解く。はたして彼女たちは何を願い、歌い続けてきたのか? なぜ今もなお特別な存在であり続けているのか? 苦境の音楽シーンに奮起を促す、注目の音楽ジャーナリスト、渾身のデビュー作!

著者プロフィール

宇野維正 ウノ・コレマサ

1970(昭和45)年、東京都生まれ。映画・音楽ジャーナリスト。「ロッキング・オン・ジャパン」「Cut」「MUSICA」等の編集部を経て、2016年9月現在は「リアルサウンド映画部」で主筆を務める。著書に『1998年の宇多田ヒカル』。

目次

はじめに
第一章 奇跡の1998年組
1982年、1998年、2014年/花の82年組/「アーティスト」という呼称はいつどこで生まれたのか?/男子! 女子! そうでない人!/「アイドル再生工場」としての小室哲哉/そして、「1998年の奇跡」が起こった
第二章 1998年に本当は何が起こっていたのか?
人類史上最もたくさんCDを買っていた1998年の日本人/CD信仰とは何だったのか?/等価になった「現在の音楽」と「過去の音楽」/過大評価されている渋谷系/小沢健二と「夜空ノムコウ」/小室ブームの終焉/1998年のエアポケット
第三章 1998年の宇多田ヒカル
255万枚売れたのに1位にならなかった「Automatic」/タイアップ万能時代の終わり/8センチ・シングルの終わり/深夜のテレビスポット/東芝EMIに提示された条件/ニューヨーク生まれ、スタジオ育ち/編曲家としての宇多田ヒカル/Utada作品に違和感を覚える理由/音楽メディアの終わり
第四章 椎名林檎の逆襲
2014年の椎名林檎と宇多田ヒカル/東京事変とは何だったのか?/2020年東京オリンピックにこだわる理由/Jポップ職人としての椎名林檎/東芝EMIガールズと東芝EMIボーイ
第五章 最も天才なのはaikoかもしれない
1995年のaikoと椎名林檎/「ヤマハのコンテスト」と「スター誕生!」/音楽家は二度生まれる/aikoと音楽ジャーナリズム/Jポップのグラウンド・ゼロ
第六章 浜崎あゆみは負けない
2015年の浜崎あゆみと宇多田ヒカル/「世紀の歌姫対決」が残した悔恨/日本のマイケル・ジャクソンとしての浜崎あゆみ/彼女が見つけた居場所
第七章 2016年の宇多田ヒカル
岐路に立たされる宇多田ヒカル/彼女たちはラッキーだったのか?/絶望も希望もない
おわりに

インタビュー/対談/エッセイ

ヒット曲が生まれなくなった理由

宇野維正

 昨年大晦日に放送されたNHK紅白歌合戦の視聴率は、歴代最低記録を更新したという。それはそうだろう。「誰もが口ずさめるようなヒット曲が生まれなくなった」と言われるようになって久しいが、2015年は本当にヒット曲がほとんど生まれなかった一年だった。数年前から懐メロ番組と化している紅白歌合戦は、「その年にヒットした曲で一年を振り返る」という当初の番組コンセプトをその根底から見直す時期に入っている。
 CDの売り上げが低迷する中、音楽業界はジャケット違いの作品を出したり、握手券をつけたりと、ファンに同じ作品を複数枚買わせるための特典商法に走った。その結果どうなったか? CDの売り上げをベースにしたヒットチャートが完全に有名無実のものとなり、(音楽業界人以外は)誰も気にかけることがなくなってしまった。他の文化ジャンルとは違って、音楽におけるヒットチャートはただの「数字の集計」ではなく、大衆にとって「指針」そのものだった。音楽業界はそれを自らの手でゴミ箱に捨ててしまったのだ。
 よりリスナーの実態に近い配信チャート(もちろんそこでは一人が一回ダウンロードするだけだ)において、2015年の年間チャートのトップ3は2014年以前にリリースされた曲。さらに、「誰もが口ずさめるヒット曲」をそのまま反映したカラオケ年間チャートでは実に上位13位(!)までが2014年以前にリリースされた曲だった。
『1998年の宇多田ヒカル』という書名は、その年に彼女がデビューしたことを示すものだが、二つの象徴となる言葉を組み合わせたものでもある。「1998年」は日本で最もCDが売れていた年(約四億五千万枚。現在の約三倍)。「宇多田ヒカル」は日本で最も多くのCDを売ったアーティスト(『First Love』は国内だけで約八五〇万枚)。結果的に、本書はCDのマーケットが、そして音楽シーン全体が、まだ万全に機能していた時代へのレクイエムのような本となった。
 もっとも、これは「あの時代は良かったなぁ」と懐古的に振り返ったような本ではない。1998年、自分は当時最も売れていた音楽雑誌(ロッキング・オン・ジャパン)を刊行する出版社で編集の仕事をしていて、CDがアホみたいに売れるのを当たり前のように思っていた。しかし、今になって思えば、あれは「狂乱の時代」だったのだ。本書は、その「狂乱の時代」の最盛期である1998年に奇跡のように揃ってデビューした宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみという四人の女性シンガーの足跡、転換点、及びそれぞれの関係性を探ることで、どうして彼女たちが今なお(崩壊寸前の)音楽シーンの最前線に踏みとどまり続けているのかを検証したものだ。
 音楽業界の軸が「CDのセールス」ではなくなることが決定的となった、そして宇多田ヒカルが6年ぶりに復活するはずの、2016年という絶好のタイミングで本書を上梓できたことに感謝している。
 
 
(うの・これまさ 音楽・映画ジャーナリスト)
波 2016年2月号より

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