ホーム > 書籍詳細:観光立国の正体

地元のボスゾンビを一掃せよ。「おもてなし」を押しつけるな。リピーターの獲得を目指せ。地方から日本を再生させる処方箋。

観光立国の正体

藻谷浩介/著、山田桂一郎/著

886円(税込)

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発売日:2016/11/17

読み仮名 カンコウリッコクノショウタイ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 266ページ
ISBN 978-4-10-610692-7
C-CODE 0263
整理番号 692
定価 886円
電子書籍 価格 886円
電子書籍 配信開始日 2016/11/25

爆買い、インバウンド、東京オリンピック……。訪日外国人の急増とデフレの慢性化で、国策としての「観光立国」への期待が急速に高まってきた。しかし、日本のリゾート・観光地の現場には、いまだに「団体・格安・一泊二日」の旧来型モデルに安住している「地域のボスゾンビ」たちが跋扈している。日本を真の「観光立国」たらしめるには何が必要なのか。地域振興のエキスパートと観光のカリスマが徹底討論。

著者プロフィール

藻谷浩介 モタニ・コウスケ

1964(昭和39)年山口県生まれ。日本総合研究所主席研究員。著書に『デフレの正体』『里山資本主義』などがある。

山田桂一郎 ヤマダ・ケイイチロウ

1965(昭和40)年三重県生まれ。スイス在住の「観光カリスマ」。JTIC.SWISS代表。和歌山大学客員教授。

目次

はじめに 観光業界の「ルパン」 藻谷浩介
I 観光立国のあるべき姿 山田桂一郎
第1章 ロールモデルとしての観光立国スイス
「非日常」よりも「異日常」を/リピーターを獲得せよ/常に生き残るために必死な国/英国富裕層によって「発見」されたアルプスの山々/目先の利益を追わず、「ハコモノ」を作らない/国そのものをブランド化/日本の観光地がダメになった理由/寂れた観光地に君臨する「頭の硬いエライ人」/「観光でまちおこし」の勘違い/「人手がかかる産業」を大事にせよ
第2章 地域全体の価値向上を目指せ
キャパシティを増やさず、消費額を引き上げる/ブルガーゲマインデという地域経営組織/足の引っ張り合いを避け、地域全体の価値向上を/地元で買う、地元を使う/スイスの観光局は自主財源を持った独立組織/自然と調和した景観を保持/馬車と電気自動車がもたらす「異日常」/「時間消費」を促すことが「地域内消費額」をアップさせる/ガイド・インストラクターは憧れの職業/最も重要なのは人財
第3章 観光地を再生する――弟子屈町、飛騨市古川、富山県の実例から
地域振興に必要な住民主体の活動/忘れ去られた「高度成長期型」の観光地/「住民主体、行政参加」の組織に一本化/住民ならだれでも参加OK/株式会社を設立、初年度から黒字に/エコロジーとエコノミー/外国人旅行客に大人気の「里山体験」/「なんにもない」から「クールな田舎」へ/とやま観光未来創造塾/「新幹線効果」の誤解/国際水準とユニバーサルツーリズム
第4章 観光地再生の処方箋
「ピラミッド型のマーケット」を構築せよ/富裕層を取りはぐれている日本/北海道の「一万円ランチ」に人気が殺到した理由/負のスパイラルを防げ/格安ホテルチェーンが地域を壊す/近隣のライバルと協力した方が儲かる/休日分散化を真剣に考えよう/社会全体に「観光」を位置付ける重要性/「地産地消」より「地消地産」/高野山が外国人に高評価のワケ/明確な将来像を描け
II 「観光立国」の裏側 藻谷浩介×山田桂一郎
第5章 エゴと利害が地域をダメにする
「地域ゾンビ」の跋扈/間違った首長が選ばれ続けている/「改革派」にも要注意/行政が手がける「劣化版コピー」の事業/補助金の正しい使い方/ボランティアガイドは「ストーカー」と一緒/観光業界のアンシャンレジーム/JRの「ドーピングキャンペーン」/顧客フィードバックの不在/竹富町の革新的試み/自治体の「旅行会社依存体質」/有名観光地でゾンビたちが大復活!/観光庁の構造的問題
第6章 「本当の金持ち」は日本に来られない
世界一の酒がたったの五〇〇〇円/「アラブの大富豪」が来られるか/近鉄とJR東海という「問題企業」/「ポジショニング」を理解せよ/野沢温泉と白馬/悩ましい大手旅行会社との関係/玉石混淆のリクルート
第7章 「おもてなし」は日本人の都合の押しつけである
北海道ガーデン街道/「熱海」という反面教師/せっかく好循環が生まれても……/大河ドラマに出たって効果なし!/戦術の成功、戦略の不在/頑張っても大変な佐世保/「爆買い」に期待するなかれ/「おもてなし」は日本人の都合の押しつけである/医療ツーリズムでも「マーケットイン」が不在/カジノが儲かるという幻想/それでも日本の観光には無限の可能性
おわりに 山田桂一郎

担当編集者のひとこと

「おもてなし」という虚構

 訪日外国人の数が2000万人を突破し、「爆買い」に注目が集まる中で、「観光立国」によって日本を立て直そうという気運が高まってきました。政府は2030年には訪日外国人の数を6000万人にまで増やすという強気の計画を立てており、東京オリンピックの開催も前のめりの姿勢に拍車をかけています。

 しかし、足元を見ると、「観光立国」や「日本はおもてなしの国である」などとは言えない現実があります。圧倒的に不足している都市部の宿泊施設。山手線の駅名表示板にすら英語表記が完備されず、東海道新幹線にもスーツケース置き場がない「おもてなし」の欠如。顧客マーケティングが存在せず、正当な対価を得て価値の向上を目指すよりも「安売り」に流れがちな風潮。なかでも一番の問題は、いまだに「団体・格安・一泊二日」の旧来型モデルに安住している地域の「ボスゾンビ」たちの存在です。「地域創生」が注目され、観光立国に対する期待が高まる中で、有名観光地のあちこちで、こうした「ボスゾンビ」たちが復活しつつあります。

 本書の著者である藻谷氏と山田氏は、ともに地域創生や観光地の再生の事業に現場で取り組んでいるスペシャリストです。現場で格闘を続ける中で彼らが見てきた「観光立国の正体」は、相当に生々しいものです。にもかかわらず、その現実に絶望することなく、彼らが導き出した「地方から再生させる処方箋」には、参考になるアイデアがたくさん詰まっています。鍵になる考え方は、商品開発の「マーケットイン」、高付加価値化、ピラミッド型の市場形成、周遊ではなく滞在、地域一体での地域価値の向上の努力、などです。それぞれに付された実例にも、「へぇ~、日本の中でもこんな取り組みが進んでいるのか!」と目から鱗が落ちるものが沢山あります。

 絶対の自信を持っておすすめできる一冊です。ぜひご一読ください。

2016/11/25

蘊蓄倉庫

本マグロまるごと1本解体プラン

 北海道の松前町の旅館に、「本マグロまるごと1本解体していかようにでも料理します。値段は21万円から」というプランがあります。このプランの作成に携わったのが、『観光立国の正体』の著者のひとりである山田桂一郎さん。これは富裕層向けの企画として始めたものですが、最初に興味をもってやってきたのは海外の富裕層やメディアだったそうです。明確な旅の目的になるプランであれば、僻地でも値段が高くても選ばれる。今では商社の接待などでもこのプランが活用されているそうです。


掲載:2016年11月25日

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