ホーム > 書籍詳細:なぜアマゾンは1円で本が売れるのか―ネット時代のメディア戦争―

新聞、出版、テレビ、SNS、ニュースサイト、ニコ動……生き残りをかけた熾烈な攻防戦!

なぜアマゾンは1円で本が売れるのか―ネット時代のメディア戦争―

武田徹/著

864円(税込)

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発売日:2017/01/14

読み仮名 ナゼアマゾンハイチエンデホンガウレルノカネットジダイノメディアセンソウ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 255ページ
ISBN 978-4-10-610700-9
C-CODE 0236
整理番号 700
ジャンル マスメディア
定価 864円
電子書籍 価格 864円
電子書籍 配信開始日 2017/01/27

生き残りを懸けたメディアの攻防戦がすでに始まっている! アマゾンやSNS、スマホの台頭で、小分けされ薄利多売での競争を強いられるコンテンツ。ネット全盛時代に敗色濃厚の新聞・出版・テレビに逆襲の機会は訪れるのか。出版を支える大日本印刷、新しいジャーナリズムを目指すニュースサイト、仮想とリアルをつなぐドワンゴ等への取材をもとにその可能性を検証。これからの時代を掴むための最先端メディア論。

著者プロフィール

武田徹 タケダ・トオル

1958(昭和33)年東京生まれ。ジャーナリスト・評論家。恵泉女学園大学人間社会学部教授。国際基督教大学大学院博士課程修了。著書に『流行人類学クロニクル』(サントリー学芸賞受賞)『NHK問題』『原発報道とメディア』『暴力的風景論』『日本語とジャーナリズム』等。

目次

はじめに
第一部 デジタルは活字を殺すのか
第一章 コンテンツとメディアの興亡
生き残りを懸けた戦争/『メディアの興亡』の時代/IBMの参加/日本語をコンピュータで処理する/パソコン通信の登場/コンテンツの断片化/血まみれのメディア空間に詩は生まれるのか
第二章 大日本印刷の新展開
『ルバイヤート』の運命/書物を巡る「環境」の変化/大日本印刷の取り組み/ハイブリッド型総合書店の利点/なぜ本が1円で売れるのか/「書籍の公共性」と「青空文庫」
第三章 だれが「本」を守るのか
「家庭にも科学を」/日本の出版文化をどう守るか/電子でも紙でも買う人々/印刷会社の新しいロジック/DNPの家計管理ソフト/家計簿データの可能性
第四章 活版印刷が消えた日
活版を止める時間差/「本が終わりましたね」/電子書籍時代のビジネスモデル/文字という生命線/DNPの遺伝子「秀英体」/「平成の大改刻」
コラム(1)――無重力化する「文字の霊」
第二部 スマホはジャーナリズムを殺すのか
第五章 ソーシャルメディアは何を変えようとしているのか
「日経ビジネスオンライン」の成功/「小分け」になるコンテンツ/出版エージェントの使命/いかに新聞電子版を有料化するか/成長の原動力は「会話」/3・11で生きた電子版
第六章 スマホ化後のジャーナリズム
スマホからみた風景/パイオニア「ヤフーニュース」/ネットニュース職人の仕事場/ニュースアプリの現状/「ニューズピックス」の挑戦/「知る欲求」への杭
コラム(2)――ネット時代の新しいジャーナリズム
第三部 ネットはコンテンツを殺すのか
第七章 テレビの見る「夢」
8K放送の可能性/NHKの高画質志向/「第二次中間報告」による変化/放送の概念を変える新技術/テレビに風穴を開ける/双方向性を意識したテレビ/融通無碍なメディア
第八章 ニコニコ動画が誕生するまで
対戦型コンピュータゲームの進化/YouTubeに真似されない/擬似同期を捨てる/地上波に出ないドキュメンタリー/コメントとコンテンツの融合
第九章 ドワンゴが創出したコミュニティ
A1phaGoの衝撃/N高等学校の挑戦/自分の意志で学校を選ぶ/リアル空間の「ニコニコ超会議」/コンテンツを成長させるメディア/“二番煎じ”を振り切る哲学/カオスの中の新しい「詩」
おわりに

インタビュー/対談/エッセイ

誰がコンテンツを殺すのか?

武田徹

 ケーキを取り分けるとき、「兄ちゃんの方が大きい」「自分のにはイチゴが乗っていない」等々と、いつもケンカが絶えない兄弟がいる。彼らが平穏におやつを食べられる日はいつ来るのか。
 実は解決は簡単だ。ジャンケンで勝った方がケーキにナイフを入れる。しかし二つに切り分けられたケーキを最初に取るのはジャンケンに負けた方と決めておく。するとナイフを入れる側も不公平な切り分け方はできない。自分の方に小さいのが来るに決まっているから。イチゴの有無など好き嫌いが混じる問題も、切り分けなかった方が先に好きな方を選べれば文句は出まい。
 これは制度「設計」の妙で、感情や欲を持つ人間をうまく制御した例だ。しかし、「設計」はこんな結果も招く……。ネットの古書通販ページを見ると1円で販売中の本が大量にある。実はその通販ページでは値札の安い順に上から表示される「設計」になっている。そこでページ上位に表示されずには勝機がないと考える出品者は安売り競争に躍起となり、ついには1円まで値下げする。仕入れ値以下で売っても販売報奨金や、安く配達して定額設定の送料を浮かして補填できれば赤字にはならないが、泣きたいほど薄利なのは間違いない。
 一方でネット通販運営者は売り主と買い手を繋ぐ「メディア企業」として商いが成立するたびに一定額の成約料を徴収する。その中から販売報奨金を出品者に還元しても損しない設定にしておけば、安売りに励んでくれる出品者のおかげで他業者との競争に勝って成約料収入が増えればウハウハだ。
 注目すべきは、この通販において本の内容、つまりコンテンツへの評価が全く介在していないことだ。従来の古書店であればコンテンツの価値に応じて書店員が値付けをしていた。だが、この通販ではコンテンツ内容とは無関係にメディアの「設計」によってあっけなく安売りが誘導されている。
 価格崩壊だけではない。かつては新聞や雑誌を購読せずには読めなかった記事が、今やスマホからリンクを辿ればバラで読めてしまう。パッケージビジネスが成立しなくなっている中、コンテンツ製作者側も生き残りをかけて様々な取り組みを始めているが、IT系メディア企業は人工知能まで動員して勢力拡大をはかる……。
 新著は、こうしたコンテンツとメディアの攻防の最前線を取材した。個人的にはメディアが便利に使えるようになる一方で、良質のコンテンツがそれに見合う代価で流通し続けられるような未来を望みたい。そのためにはケーキの取り合いを止めさせるのと同じく、メディアとコンテンツの両立をはかる社会「設計」が必要だろう。現状を網羅し、分析した拙著が、そんな「設計」について考えるヒントを提供できれば、それこそ著者冥利に尽きるというものだ。

(たけだ・とおる ジャーナリスト・評論家)
波 2017年2月号より

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