ホーム > 書籍詳細:ポピュリズム―世界を覆い尽くす「魔物」の正体―

民主主義の自爆が始まった。

ポピュリズム―世界を覆い尽くす「魔物」の正体―

薬師院仁志/著

842円(税込)

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発売日:2017/03/17

読み仮名 ポピュリズムセカイヲオオイツクスマモノノショウタイ 
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 236ページ
ISBN 978-4-10-610709-2
C-CODE 0231
整理番号 709
ジャンル 政治・社会
定価 842円
電子書籍 価格 842円
電子書籍 配信開始日 2017/03/24

アメリカ、フィリピン、ヨーロッパ……。社会の分断を煽動する政治家が、至る所で熱い支持を集めている。エリートとインテリを敵視し、人民の側に立つと称するその「思想」は、なぜ世界を席巻するに至ったのか。ポピュリズムは民主主義にへばりついた「ヤヌスの裏の顔」であり、簡単に駆逐することはできない。橋下徹氏と対決した経験を持つ社会学者が、起源にまでさかのぼってその本質をえぐり出す。

著者プロフィール

薬師院仁志 ヤクシイン・ヒトシ

1961(昭和36)年大阪府生まれ。社会学者、帝塚山学院大学教授。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程中退。著書に『「文明の衝突」はなぜ起きたのか 対立の煽動がテロの連鎖を生む』『日本とフランス 二つの民主主義 不平等か、不自由か』など。

目次

はじめに
序章 ポピュリズムの危うさを実感するために
1 「汚い方向」への煽動
2 それは大阪から始まった
3 問題の所在
第1章 民主主義とポピュリズムの不可分な関係
1 「ポピュリズム」は単なる「大衆迎合主義」ではない
2 欧米も日本も「貴族政」である
3 一九世紀:読み書きのできない者に選挙権を与えるべからず
4 ポピュリズムの担い手は知識層だった
5 反ポピュリズムを突き詰めると反民主主義になる
6 国民主権は間接民主主義の中で成立する原則である
7 ポピュリストの敵となった間接民主主義
8 いがみあうエリート主義とポピュリズム
第2章 現代型ポピュリズムとはどういうものか
1 ポピュリストの実態は「デマゴーグ」
2 自己規定のために必ず敵が必要となる
3 民意を汲むのではなく「作る」
4 ヒトラーが使ったトリック
5 マスコミが魔女狩りの先兵となる危険性
6 住民投票はそんなに素晴らしいのか
7 小さな政府と改革詐欺
第3章 民主政治を不安定化するもの
1 選挙権に免許は必要か
2 途方にくれた不安な個人
3 反知性主義という温床
4 妥協のない民主制は独裁制に転化する
第4章 右派? 左派? それとも極右?
1 保守とリベラルは対立概念ではない
2 日本社会党が「リベラル」を訴える矛盾
3 ナチスは極右なのか
4 全体主義はこうして成立する
5 ルペン氏は何を訴えたのか
6 失業率とポピュリズムの関係
7 ルペン氏のどこが差別的なのか
8 国民戦線の躍進と限界
第5章 二一世紀の民主主義
1 「中庸な民主主義」を盾に移民受け入れを拒否
2 民衆煽動の巧妙化
3 ポピュリズムに毒される政治空間
4 日本のポピュリズム:大阪の事例
終章 ポピュリズムの危うさを確認するために
あとがき

担当編集者のひとこと

民主主義の自爆

 アメリカ、イギリス、フィリピン……。エリートを敵視し、「大衆の側に立つ」と称する「ポピュリズム思想」をばらまく政治家が世界中で支持を集めています。欧州各国でも極右勢力の伸張が顕著です。なぜ今、こうしたポピュリズム勢力が伸張してきているのでしょうか。

 著者の見立てによると、ポピュリズムは民主主義と不可分の関係にある「ヤヌスの裏面」です。民主主義が伸張すればするほど、ポピュリズムは強くなる。「民衆の意志を直接反映させよ」と住民投票や直接選挙を導入すれば、デマを振りまく政治家が跋扈してしまう。こういう政治家は「システムの不調の原因」を自分で勝手に特定するので、しばしば自己規定のために「敵」を捏造します。こうして、民衆の意志を適切に反映させるためにデザインされた「まどろっこしい」間接民主主義や代議制は、ポピュリズムによって内側から自爆されていきます。ポピュリズムとは民主主義の自爆なのです。

 本書の著者の薬師院仁志氏は2012年に橋下徹大阪市長(当時)と一緒に「朝まで生テレビ!」に出演して橋下氏を批判し、それが原因で彼の支持者たちから猛烈なバッシングを受けた経験があります。その意味で、「ポピュリズム」というテーマは単にアカデミズムの問題ではなく、著者自身の存在をかけた営みでもあります。

2017/03/24

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保守とリベラルは対立概念ではない

 日本では保守とリベラルは対立する概念として扱われていますが、欧州の文脈では本来、保守とリベラルは同じ側に属しています。欧州の保守本流が立脚するのは市民革命以来の自由主義の伝統で、経済的に言えば自由放任をよしとする立場になります(王党派的なウルトラ保守は本流ではない)。
 これに対するのが「ソシアル」と呼ばれる系列に属する左派で、彼らは自由よりも平等を重視し、経済的に言えば高福祉高負担の路線を採用します。
 ですから、欧州の思想的伝統に則ると、かつて自らを「リベラル」と自己規定していた日本社会党が消費税の導入に猛反対したことは、「リベラルな保守派としての正しい振る舞いだった」という皮肉な結論になるのです。


掲載:2017年3月24日

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