ホーム > 書籍詳細:フェイクニュースの見分け方

新聞、テレビ、ネット、雑誌、コメンテーターetc. 嘘にはもうウンザリだ。ポスト真実時代を生き抜くための正しい情報選別法。

フェイクニュースの見分け方

烏賀陽弘道/著

864円(税込)

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発売日:2017/06/16

読み仮名 フェイクニュースノミワケカタ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 255ページ
ISBN 978-4-10-610721-4
C-CODE 0236
整理番号 721
ジャンル マスメディア
定価 864円
電子書籍 価格 864円
電子書籍 配信開始日 2017/06/23

一見もっともらしいニュースや論評には、フェイク(虚偽の情報)が大量に含まれている。真偽を見抜くには何をすべきか。「オピニオンは捨てよ」「主語のない文章は疑え」「空間軸と時間軸を拡げて見よ」「ステレオタイプの物語は要警戒」「アマゾンの有効な活用法」「妄想癖・虚言癖の特徴とは」――新聞、雑誌、ネットとあらゆるフィールドの第一線で記者として活躍してきた著者が、具体的かつ実践的なノウハウを伝授する。

著者プロフィール

烏賀陽弘道 ウガヤ・ヒロミチ

1963(昭和38)年生まれ。京都大学経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。名古屋本社社会部、「AERA」編集部勤務などを経て2003年退社。以降、フリージャーナリストとして活動。著書に『報道の脳死』『「朝日」ともあろうものが。』『報道災害【原発編】』(共著)など。

目次

はじめに
第1章 インテリジェンスが必要だ
公開情報に当たる重要性/日本会議は黒幕か/Gサーチの有効性/アマゾンは書店2.0
第2章 オピニオンは捨てよ
オピニオンとは何か/増殖したオピニオン/「大物」のオピニオンには意味がある/代理話者に注意せよ/根拠を求める習慣を/安倍政権は言論弾圧をしたのか/圧力とは何か
第3章 発信者が不明の情報は捨てよ
匿名者が発信する情報は信じるな/主語が明示されていない文章は疑う/組織が主語を消す/匿名の朝日記者/「関係者」はオールマイティ/新聞記者はなぜ匿名でもいいのか/「炎上」を過大評価するな/匿名ネット発言はデマの温床/信用できる匿名者とは/書き手の独断的な価値判断/印象操作の蔓延
第4章 ビッグ・ピクチャーをあてはめよ
空間軸と時間軸を拡げる/電波停止発言は問題か/問題の本質は電波法/本質を掘り下げよ/書いていないことに着目すべき/前提条件を疑う/「わからない」とは言わないマスコミの悪癖
第5章 フェアネスチェックの視点を持つ
フェアネスとは何か/吉田所長は偉人なのか/人間は複雑である/単純な話は受ける/無罪請負人は英雄か/無罪請負人の別の顔/現実の単純化/ステレオタイプに沿ったストーリーは要警戒/略奪はなぜ少なかったのか/褒められたい私たち/アーレントの教訓/小保方氏の本の評価/元少年Aの出版は暴挙か/警察と検察報道の問題
第6章 発信者を疑うための作法
発信者が多すぎる/フォロワー数は信用を保証しない/引用の正確さで見分ける/定義に正確な言葉を使っているか/言葉の定義を疑う/スラップ訴訟/発信者の名前をアマゾンで検索してみる/キャリアも重要である/本を出すことの意味/「媒体」よりも発信者で選ぶ/「専門家」が事実に正確あるいは中立とは限らない/何の「専門」家なのかを確認する/ステマと専門家
第7章 情報を健全に疑うためのヒント集
ヒント(1)世界は妄想に満ちている/妄想性障害/ヒント(2)陰謀史観は相手にしない/ヒント(3)企業や政府などの宣伝に沿った話は疑う/ヒント(4)集団のルールをもとに構成員は動く/法律が人間を縛る/ヒント(5)発問のゴールを明確に決めて動かさない/ヒント(6)事実の全貌は時間が経たないとわからない/ヒント(7)ロジックを逆にしてみる/ないものが「ある」と仮定してみる/ヒント(8)「断言の強さ」は正確さとは関係がない

インタビュー/対談/エッセイ

オピニオンよりもファクトを

烏賀陽弘道

 この本では、私が31年間の報道記者生活で覚えた「ニュースの中から事実を拾い集め、真実に近づくためのノウハウ」を公開しています。その1つが「『時間軸』『空間軸』を広げて、ニュースをその中に置いてみる」ことです。すると、ニュースのまったく違う姿が見えることがあるのです。
 例えば、5月末「日本の報道の独立性に疑問がある」と書いて騒然となったデービッド・ケイ国連特別調査官の調査報告書。番組に「政治的公平」などを課した「放送法4条」に触れていたので、私は高市早苗総務相の「停波発言」(2016年2月、衆議院予算委員会)を思い出しました。民主党議員の質問に答えた「放送局が4条に繰り返し違反し、改善しない場合には電波停止もありえる」という答弁です。この発言は「安倍内閣あるいは自公政権が言論を弾圧している」という批判の根拠にも使われました。
「時間軸」を広げてみましょう。菅直人内閣時代の2010年11月、平岡秀夫総務副大臣は参院総務委員会で、「放送事業者が番組準則に違反した場合には、総務大臣は業務停止命令、運用停止命令を行うことができる」と同じ趣旨の答弁をしています。当然、民主党政権時代です。要は両者とも総務官僚の法律解釈をそのまま述べているので、政権が代わっても答弁は同じになるのです。ところが民主党政権時代に「言論弾圧」という批判が起きたとは、寡聞にして知りません。
 次に「空間軸」を広げてみましょう。欧米や韓国では、放送局の電波免許の許認可は、政権から独立した行政委員会が権限を持っています。国会で多数党になった与党からは独立しています。つまり、与党が任命する総務大臣が電波免許を自由にできるという法律を持っている日本は「世界の民主主義国」からすれば例外なのです。
 ついでに言えば、日本でも、警察行政や経済行政など、政治的に左右されては困る部門は公安委員会や公正取引委員会など、独立行政委員会に権限があります。放送行政は、日本でも例外的に非民主主義的な部分なのです。さらに時間軸を広げれば、日本でも1950年から2年間だけ「電波監理委員会」が放送行政を担当していました。ところが主権回復とともに郵政省に統合され、放送行政は与党・政府直轄に戻ってしまいます。
 こうして見ると、高市答弁を「言論弾圧」と批判する人たちも、ケイ報告書も、ピント外れであることがわかります。さっさと独立行政委員会を設置して電波免許権限を委ねればいいのです。そうすれば放送法4条は死に法と化します。
 本来は、こうしたファクトの積み重ねでニュースを分析して真実に近づく作業こそが、報道記者の役割ではないかと私は思うのです。ごちゃごちゃオピニオンを言うより先に。

(うがや・ひろみち 報道記者)
波 2017年7月号より

担当編集者のひとこと

コメンテイターを疑え

 テレビのニュース番組や情報番組を見ていて、どうにも納得がいかないのが、コメンテイターの方々の存在です。
 あれこれ意見を言い合うような番組ならば、どんな経歴の人がどういう思いつきを言ってもまあいいのではないかと思うのです。気になるのは、新聞社の「編集委員」とか「論説委員」とか、そういうタイプの人です。
 キャスターの隣にデンと座って、そういう人は何にでもコメントをします。安保法案、アベノミクス、将棋界の新星、巨人の連敗、原発の再稼働、出会い系バー……。
 飲み屋で知り合いと話しているのなら、話が飛ぶのはわかります。しかし、数千万人に届く意見を堂々と顔出しで述べているのに違和感があります。
 いや、それがたとえば落語家としての見解、とか、モデルとしての感想ならばまだいいと思います。しかし、いやしくも「ジャーナリスト」「記者」が肩書と思われる人たちが、大して自分で取材していない(多くの場合はまともに取材したことがまったくない)題材について語っているのが、不思議で仕方がないのです。正直に言えば、その神経がわかりません。
 メディアには、「自称専門家」があふれています。それが巨人軍についてならばあまり罪もないですが、北朝鮮軍についてならば事は重大です。
 ネットの登場で、情報の「発信者」が飛躍的に増えました。テレビでは、ニュースを扱う番組が増え、その結果として、いい加減な「記者」が何にでもコメントをしています。
 そんな混沌とした情報の海をいかに賢く泳ぐか。
 そのノウハウが、本書には詰まっています。著者は自身で取材したこと、確認したこと、ファクトだと信じられることだけを発信してきた記者です。
 本書を読めば、「○○委員」の類がいかにアテにならないかがよくわかると思います。

2017/06/23

薀蓄倉庫

「代理話者」に要注意

 賛否が分かれている問題について、新聞が記事にする場合、よくその会社の立場を代弁してくれる「識者」のコメントが紹介されています。
 今ではすっかりおなじみのこうした記事ですが、少し前までは、新聞社ではあまり評価されていなかったようです。『フェイクニュースの見分け方』の著者、烏賀陽弘道さんは朝日新聞記者時代に、「識者のコメントを取材して載せるくらいなら、その内容を証明するような事実を取材して書け」と教えられたそうです。こうした文化は、会社の業績が下り坂になったころから、だんだん消えていったとのことです。
 烏賀陽さんは、新聞社(や媒体)が言いたいことを言ってくれる話者のことを「代理話者」と呼んでいます。そして、代理話者の登場する記事は、単に取材不足の可能性がある、と指摘しています。そう言われると、あらゆるメディアに代理話者がいることに気づかされます。

掲載:2017年6月23日

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