ホーム > 書籍詳細:笑福亭鶴瓶論

スケベで奥深い。テレビじゃ絶対語らない、運と縁を引き寄せる、「国民的芸人」の人生哲学。

笑福亭鶴瓶論

戸部田誠(てれびのスキマ)/著

886円(税込)

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発売日:2017/08/10

読み仮名 ショウフクテイツルベロン 
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 270ページ
ISBN 978-4-10-610728-3
C-CODE 0276
整理番号 728
ジャンル ノンフィクション
定価 886円
電子書籍 価格 886円
電子書籍 配信開始日 2017/08/25

鶴瓶こそが“最強”の芸人である――。大物と対等にわたりあう一方で、後輩にはボロクソにイジられる。全国を訪ねて地元の人々と交流した翌日には、大ホールで落語を一席。かくも老若男女に愛される「国民的芸人」の原動力とは何か。生い立ちから結婚、反骨の若手時代、「BIG3」との交遊、人気番組「家族に乾杯」秘話まで、その長く曲がりくねった芸人人生をたどり、運と縁を引き寄せるスケベで奥深い人生哲学に迫る。

著者プロフィール

戸部田誠(てれびのスキマ) トベタ・マコト

1978(昭和53)年生まれ。ライター。ペンネームは「てれびのスキマ」。「週刊文春」「水道橋博士のメルマ旬報」などで連載中。著書に『タモリ学』『コントに捧げた内村光良の怒り』『1989年のテレビっ子』『人生でムダなことばかり、みんなテレビに教わった』など。

目次

はじめに――鶴瓶最強説
第一章 スケベな男
(1)鶴瓶とは“スケベ”である
「どこがおもろいねん」/人見知り、時間見知り、場所見知りしない
(2)日本で一番サインをしている男
最初のファン/一家に一つサイン/一つの実験
(3)嫌いな人がいない男
災いに向かう性分/イヤだから近づく
(4)本当は“悪い”鶴瓶
えびす顔の悪魔/さんまがネタにした悪い鶴瓶/40年近く偽善を続けるとどうなるのか
(5)あこがれられない男
「もっとおもろなりたい!」/最高の状態でナメさせる男/遊ばれているのではなく、遊ばせている
(6)“神”になった男
鶴瓶の神画像/贈り物の値段すらオモロい/美意の案配/前向きのさらに先
第二章 スケベな芸人人生
(7)ケンカ人生
名作ドラマ『赤めだか』の仕掛け人/松鶴の激昂/「俺は俺の人生じゃ」/トゲだらけの人生
(8)チンポ丸出しの人生
きっかけはいつもチンポ/生放送での露出事件/反骨心の“シンボル”
(9)髪型に宿る反骨心
アフロヘアーの落語家/落語家のイメージを壊してやる/いきなりの断髪/円形脱毛症
(10)絶対に必要な反抗
名古屋からスタートした芸能人生/リスナーの親と生放送で大ゲンカ/大人の論理に必死に抗った中学生たちのように
(11)鶴瓶の弟子入り
師匠の毛づくろい/渥美清への弟子志願/松鶴の衝撃/鶴瓶の計略
(12)自問自答の修業時代
紅茶事件/松鶴の配慮/「あんまりいじくりまわさんほうがええ」/自分なりの答えを出すのが修業
第三章 スケベな家族
(13)オモロイ家族のオモロイ思い出
四軒長屋の末っ子/笑いの目覚め/うちのクリスマスツリー/神さんみたいな子/長屋で生まれるオモロイ日常
(14)若き笑福亭鶴瓶の純情
恋に落ちた日/再会/二人の純愛
(15)鶴瓶のプロポーズ
運命の事件/約束の日/玲子のウソ
(16)狂乱の結婚式
義父からの手紙/二人の手紙/裸踊り
(17)フツーの生活
「30までは俺を自由にせい」/厳しかった子供へのしつけ/フツーでいるための努力
第四章 スケベな縁
(18)明石家さんまとのイタズラ
果てしない悪ふざけ/引き込んでいくさんまと、下りていく鶴瓶/「幼稚」な二人
(19)新野新という“ぬかるみ”
魔の館/テレビを取るか、ラジオを取るか/新世界ツアー事件/二人の「おばん」
(20)上岡龍太郎への悪口
むく男、むかない男/雑談の名手・上岡龍太郎/正反対の「正直さ」
(21)ビートたけしの罵倒
テレビの中でもがいていた鶴瓶/脱糞/「たけしをつぶす男」/「一本釣り」
(22)タモリという「テレビの師匠」
東京進出の足がかり/タモリからの慰留/興味の対象が正反対の二人/千秋楽に現れた不審な男
(23)中村勘三郎の助言
異例のカーテンコール/親友/古典回帰/線香をあげにきた骨
(24)偽善の役者
三足目の草鞋/緒形拳の現場づくり/吉永小百合の寵愛
(25)中居正広の“悪態”と“親愛”
「くる派」と「くらない派」/中居の父への見舞い/被災地での鶴瓶噺/芸能人の本懐
第五章 スケベな哲学
(26)『家族に乾杯』が体現する鶴瓶の思想
出会いの天才/即席のコンサート/奇跡のような出会い/縁は努力
(27)鶴瓶噺と私落語と古典落語
「日常家」/時代と一緒に生きる/完成しないもの
(28)生も死も日常
自分に一番影響を与えるのは自分/愛される人間/主流なんて嫌
おわりに
【引用・出典一覧】

インタビュー/対談/エッセイ

「鶴瓶というバケモノ」の正体

戸部田誠(てれびのスキマ)

 最強のお笑い芸人とは誰か――。
 戯れにそんな問いを発した時に返ってくる答えは、ビートたけし、明石家さんま、タモリといった「BIG3」やダウンタウンといったところだろう。ウッチャンナンチャンやとんねるず、爆笑問題らの名前も挙がるかもしれない。だが、誰もが知る“国民的芸人”であるにもかかわらず、笑福亭鶴瓶を選ぶ人はおそらくいない。実はそれこそが鶴瓶の強みだ。
 同世代の芸人からはもとより、後輩芸人にまでイジられ、ツッコまれ、タジタジになっている姿には、“大物感”がまったくない。時にたどたどしく冗長なトークは、短い時間でフリ・オチを完成させている今のテレビのフリートークと比べると時代遅れのようにも見える。好感度は高いが、お笑い芸人が目指すべき頂点とは別の場所にいる――僕もそんな風に思っていた。けれど、ある時気づいたのだ。実は鶴瓶こそ“最強”なのだ、と。一見、負け続けているように見えて、本当の意味では誰も勝つことができない。
 BIG3のような「天才」と称される人たちには共通点がある。それは「孤独感」だ。彼らが発する笑いの奥底には、どこか“影”のようなものがつきまとう。しかし、鶴瓶には、それが一切感じられない。間違いなく「天才」と呼べる部類の才能を持ちながら、彼にあるのは、それとは真逆の「幸福感」だけだ。芸能界でこれだけ経験を積み、才能の塊のような男が、まったく孤独感を感じさせないのは、むしろ驚異的なことだ。なぜそれが可能なのか――彼の言動を見ていくうちに僕はあるキーワードにたどり着いた。
「スケベ」だ。
 彼の生き方に通貫している「スケベ」な思想こそ、鶴瓶を鶴瓶たらしめているのではないか。誰よりも多くの人に会い、誰よりも多く時間を費やし、誰よりも多くの場所に赴く。その貪欲さで、「運」を掴み、「縁」を繋げていく。「縁は努力」だと鶴瓶は言う。
 僕たちはたけしやタモリのような生き方にあこがれる。けれど、それを真似しようとしたら、待っているのは破滅しかないだろう。彼らの生き方は、彼らの特別な才能があるからこそ実現できるものだからだ。だけど、鶴瓶のスケベな生き方は、たとえ鶴瓶ほどの才能がなかったとしても、真似をすれば、きっと人生を豊かにしてくれるものだ。
『笑福亭鶴瓶論』は評論家の視点で鶴瓶の芸論を語るものではない。そのスケベな生き方を通して、実は誰よりもパンクで最強の男「笑福亭鶴瓶というバケモノ」の正体を探っていこうというものだ。それは、現代では得難い「幸福感」を我々が掴み取るヒントになるはずだ。

(とべた・まこと ライター)
波 2017年9月号より

薀蓄倉庫

尖っていた鶴瓶さん

「アフロヘアーにオーバーオール」――。
 それが若き笑福亭鶴瓶さんの“正装”でした。
 1972年に笑福亭松鶴師匠のもとに弟子入りした鶴瓶さんは、駆け出しの若手時代、そのような落語家らしからぬ髪型、服装で活動していたのです。
 といっても、35年以上も前の話。45歳以上の人にはその記憶があるかもしれませんが、その下の世代となると、アフロヘアーにオーバーオール姿の鶴瓶さんをリアルタイムで見ていた、という人は多くないでしょう。
 なぜ鶴瓶さんは、そんな奇抜な髪型や服装をしていたのか?
 本人曰く、
「そのころ落語家っていうたら古典の堅いイメージが強くて古臭い感じがしてたんですわ。それでイメージを裏切るようなことをしたいと思って」
「落語家もちょっとバカにされてると思ったの。歳をいった人がなる職業で、若いやつがよう選びよるなみたいに思われることが嫌なんでそんな髪型にしたったんですよ」
 つまり、アフロヘアーは落語界にはびこる古臭いイメージや閉塞感を打破するため、いわば反骨心から選び取ったものだというのです。
 しかし、30歳となった1981年、あっさりアフロヘアーを“断髪”します。
 今度は、「鶴瓶=アフロヘアー」という定着したイメージが気に食わず、あるテレビの密着取材中に、いきなり髪を切り落としたのです。
 今やNHK「鶴瓶の家族に乾杯」で見られるような、老若男女に好かれる親しみやすいキャラクターの鶴瓶さんですが、若手時代は、かくも“尖っていた”ことがうかがえるエピソードです。

掲載:2017年8月25日

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