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金正恩―恐怖と不条理の統治構造―

朴斗鎮/著

858円(税込)

発売日:2018/03/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

性格:粗暴、キレやすい、誇大妄想的。家族:母は元在日、兄は暗殺、妹を信頼……。「首領絶対独裁」のロジックを解く!

米朝軍事衝突のリスクが日を追って高まる中、いったい、いかなるシナリオのもとに金正恩の北朝鮮は強硬路線を突き進むのか。粛清相次ぐ恐怖政治、破綻した経済構造、疲弊する民心―金正恩を生い立ち、性格、家族、指導者としての能力、経済政策など全角度から徹底分析。首領絶対独裁という異様な統治構造とその内実をひもとき、無法者国家のロジックを解き明かす。

目次
まえがき
第一章 未熟な資質と絶対権力
首領絶対独裁体制/問題だらけの性格/身分を秘めたスイス暮らし/暴力的で誇大妄想的/論理性の欠如と気まぐれ/思いつき現地指導と朝令暮改/先々代、先代に対する劣等感/中学時代の凡庸な成績/コンプレックスと猜疑心/偶像化できない母とその家系/日本に残る高ヨンヒの経歴/「成分」の悪い母方の家族/荒唐無稽な偉大性宣伝
第二章 人事権の乱用と党・軍の弱体化
党組織と党生活を知らない首領/めまぐるしい指導部の首のすげ替え/金正日時代の幹部たちが大量脱落/エレベーター人事の象徴、崔龍海/党の中の党、組織指導部の大きな権限/軋み始めた組織指導部/頻繁すぎる人事で軍が弱体化/人事権で弄ばれる人民軍/噴出する世代間対立
第三章 恐怖政治と暗殺への怯え
張成沢処刑に始まった粛清の嵐/グループ根絶と金正男暗殺/兄弟・肉親を排除する「枝削ぎ論」/粛清史を塗り替える異常さ/側近でさえ問答無用で処刑/諫言の副首相、教育相まで/スッポン工場支配人や楽団員も憂き目に/急増する高位幹部の脱北/暗殺への恐怖と警護負担の増大/大幅に強化された盗聴と個人監視/「直属親衛隊」新設、装甲車一〇〇台配備、警護人員に一二万人/明らかになった金正恩暗殺未遂
第四章 核ミサイル開発と経済構造の破綻
表面だけの経済再建アピール/核と経済の「並進路線」という妄想/核ミサイルで経済も再建?/「電力も石炭も水も極力節約」/軍需優先で再生産構造が機能不全/無用の長物と化したCNC設備/一向に進まないネットの活用/最も深刻なのは電力不足/連帯責任で節電を強要/電力不足のため劣悪な水事情/「計画経済」から「統制経済」ヘ/貿易縮小と外資導入の途絶
第五章 私経済の急拡大と国民の意識変化
「金主」と呼ばれる富裕層/消費財、生産財、金融、労働、不動産の「五大市場」/全国四三六カ所の「市場」/金主の急成長と貧富の格差/平壌リニューアルへの誤解/住民意識の大きな変化/「市場」「韓流」「携帯電話」の結合/崩れつつある情報遮断システム/エリート党員に広がる面従腹背/高位幹部の深刻な動揺/若者世代の離反、刑法の厳罰化
第六章 核兵器を活用した半島統一戦略
北朝鮮が考える統一戦略/騙され続けた歴代の米政権/騙し続けた金日成と金正日/トランプ政権の大きな政策転換/強力な軍事的圧力/国連安保理による制裁強化/軍事的色彩を帯びる制裁決議/中国に対する米国のアメとムチ
第七章 米朝軍事衝突の危機と文政権の従北派
首領独裁と民主主義の衝突/軍事力行使への準備態勢/米軍が予備役動員を準備/北朝鮮が全面戦争できない五つの理由/最後のカードは文政権の従北派/米国の対北圧迫を妨げる対中「四原則合意」/文在寅の面従腹背
【資料・北朝鮮の指導部入れ替えの変遷(二〇一〇~二〇一七)】

書誌情報

読み仮名 キムジョンウンキョウフトフジョウリノトウチコウゾウ 
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 240ページ
ISBN 978-4-10-610759-7
C-CODE 0231
整理番号 759
ジャンル 政治・社会
定価 858円
電子書籍 価格 858円
電子書籍 配信開始日 2018/03/23

担当編集者のひとこと

半島情勢を読むための基礎知識

 昨年来相次ぐ北朝鮮によるICBM発射と核実験、アメリカはじめ国際社会による制裁、軍事衝突待ったなしを思わせる国のトップ同士の罵り合い、そして俄かな対話と融和の動き――日米韓中露など変数だらけの半島情勢はまさに予測不能ですが、いかなる事態の展開も、常に北朝鮮の動向が軸となっているのは明らかです。
 本書では、この無法者国家の内実を首領絶対独裁という統治構造からひもとき、金正恩を中心とする「彼ら」のロジック、存亡を賭けたシナリオを解き明かします。日本人にとっても他人事ではいられない脅威を前に、日々のニュースに一喜一憂するばかりでなく、朝鮮半島情勢を理解し、変化の流れを読むための基礎知識です。

2018/03/23

著者プロフィール

朴斗鎮

パク・トゥジン

1941年大阪市生まれ。大阪府立生野高校、朝鮮大学校政治経済学部卒。同経済学部教員などを経て、2006年よりコリア国際研究所所長。デイリーNK顧問を務める。著書に『北朝鮮 その世襲的個人崇拝思想』『朝鮮総連』『揺れる北朝鮮』などがある。

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