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辻邦生全集 19 音楽・美術・映画をめぐるエッセー

辻邦生/著

7,700円(税込)

発売日:2005/12/21

  • 書籍

辻邦生の遺した豊饒な物語世界――。その全容を明らかにする初の本格的全集。

文学と渾然一体となり、文学的創造の源泉でもあった音楽と美術――生命の高まりとしての〈美〉を論じるエッセー集。中条省平が独自の視点で精選したシネフィル辻邦生の〈映画クロニクル〉を収録。

目次
音楽
わが音楽遍歴の風景
 ロッテ・レーマンに魅了されて
 文学と音楽の間で
 ドイツ――宿命的に音楽的な……
 なによりもまず音楽を
 魔神の棲み家で
 失われた心を求めて8
 なぜ「第九」なのか
 雨の掟地の掟
 荒々しい魔術へ
 生の息吹きの下で
 “拒絶する楽園”の意味
 『バロック協奏曲』の時間
 ある幻想交響曲
 救済するものとして
 生と死の深淵から
 〈美〉を通して〈永遠〉へ
 バッハのなかに響くもの
 バッハの神に沿って
 ある転換期の芸術家の肖像
 生活気分としての“ロマン派”
 モーツァルト断章
 十八世紀の復権
 オルフォイスの鎮魂
 時を奪還するものとしての「指輪」
 始原の歌を追って
 私の好きなクラシック・ベスト3
美術
I 音楽と絵画の出会う場所
 クロード・モネの世界
 風と光と影と
 モネの言葉
 バロックの詩と真実
 回想のなかのゴシック
 シャガールのなかの「聖書」の風景
 美に到る道
 美の山河を越えて
 プッサンの遺言(テスタマン)
 雲とNicolas Poussinと
 ある悲劇の相貌
 変幻する雲の魅惑
 intimite(アンティミテ)について
 現代芸術の誕生を見る感動
 新しいルーヴルから
 パリのプッサン展から
 プッサン展の「自画像」など
 歴史と画家

II 「鳥獣戯画」との出会い
 明恵上人像
 東洋の美・西洋の美
 大雅の道
 孤高の行方
 太虚のなかに在ること
 美に酔う構図
 未だ書かれざる小説の余白に
 修学院への道
 実のなかの虚、虚のなかの実
辻邦生映画クロニクル――中条省平編
  1979
 「木靴の樹」の眼ざし
  1980
 〈歪んだ鏡〉のなかで……――ルナ
 歴史のなかを吹く追憶の風――鏡
  1981
 ヴィスコンティを解く鍵――ベリッシマ
 危機への戦慄――ストーカー
  1983
 マルセル・カルネ会見記――この道を過ぎて
 フランスからの帰りに見た小津作品――秋刀魚の味
  1984
 映画「ノスタルジア」の世界
 私の映画遍歴の始まり
 タルコフスキーの背景にあるもの
  1985
 初めにまず小箱があって
 映画は音楽で縫いとりされる
 私の好きな映画・監督・俳優
 サスペンスの花盛りの下で
 大人になること――海辺のポーリーヌ
 映画がまだ喋らなかった頃……
 絶望をくぐりぬけた喜劇――そして船は行く
  1986
 空虚な空間の示す意味――やさしい女
 ペネロペの織――シテール島への船出
  1987
 ある終末論の告知――タルコフスキー
 あるロシアの映画監督の死――タルコフスキー
 「鏡」そしてこの孤独なロシア人について――タルコフスキー
 人間の救済にかかわる“美”――サクリファイス
 “浄福”の虚像と実像について――テレーズ
 川合勘助と「人情紙風船」
 幸福の佇む風景から――グッドモーニング・バビロン!/イントレランス
 「サクリファイス」が語りかけるもの――サクリファイス
 「カラヴァッジオ」その反転の美学――カラヴァッジオ
 ある告白的“岩波ホール”論
  1988
 ある貴族へのレクイエム――ルキノ・ヴィスコンティ
 〈地上に在ること〉への讃歌――ベルリン・天使の詩
 故郷喪失者(ハイマートロス)の郷愁――ノスタルジア
 マイベスト10と好きな映画人
 青春を横切った映画たち
 トリュフォー、その軽やかな偉大さ――アメリカの夜
  1989
 天使たちのフルコース――バベットの晩餐会
 山中貞雄の澄んだ視線――人情紙風船
 芸術家であることの意味――タルコフスキー・ファイルIN「サクリファイス」
 夢と現実(うつつ)の掛け橋――女優岩下志麻の魔術について
 冒険(アヴァンチュール)の向う側、こちら側――レネットとミラベル 四つの冒険
 映画の中の読書、読書の中の女――読書する女
  1990
 地上へ愛をこめて――ニュー・シネマ・パラダイス
 生きること、詩を読むこと――いまを生きる
  1991
 横長画面(シネスコ)の鮮烈な構図――三隅研次の回顧上映
 聖なる旅と孤独な死と――冬の旅
  1992
 映像の幸福、モードの幸福――都市とモードのビデオノート
 懐かしい地球へのラヴ・コール――ナイト・オン・ザ・プラネット
 信州の森のなかで――サクリファイス
  1993
 〈信じる〉ことの周辺――冬物語 トラスト・ミー パワー・オブ・ワン
 生きる「時間」の愛しさ――マルメロの陽光
 「人生の階段」を見る楽しみ
 映画とは〈詩〉と〈面白さ〉についての物語――ノン・ジャンル・ベスト50
 悲しみをこめて振り返れ――クルーゾ、カイヤット、グレミヨンをめぐって
 森のなかの生活から――リバー・ランズ・スルー・イット
  1994
 青いレクイエム――BLUE
 愛欲劇に「世界構造」を映す――ピアノ・レッスン
 香わしい時間の至福――青いパパイヤの香り
  1995
 過ぎゆく時の陶酔――アブラハム渓谷
 一九三六年の夏の一日――太陽に灼かれて
 悦楽と苦悩と創造と――ジェリコー・マゼッパ伝説
  1996
 ネルーダと郵便配達人――イル・ポスティーノ
  1997
 神の不在と奇跡の意味――奇跡の海
 生のいとおしさ――ヴィルコの娘たち
 名と物が切り裂かれるとき――ピーター・グリーナウェイの枕草子
 幸福までの長い距離
  1998
 パリの黒澤監督
  1999
 「永遠と一日」
解題

書誌情報

読み仮名 ツジクニオゼンシュウ19オンガクビジュツエイガヲメグルエッセー
シリーズ名 全集・著作集
全集双書名 辻邦生全集
発行形態 書籍
判型 菊判
頁数 496ページ
ISBN 978-4-10-646919-0
C-CODE 0395
ジャンル 全集・選書
定価 7,700円

著者プロフィール

辻邦生

ツジ・クニオ

(1925-1999)東京生れ。1957(昭和32)年から1961年までフランスに留学。1963年、長篇『廻廊にて』を上梓し、近代文学賞を受賞。この後、芸術選奨新人賞を得た1968年の『安土往還記』や1972年に毎日芸術賞を受けた『背教者ユリアヌス』等、独自の歴史小説を次々と発表。1995(平成7)年には『西行花伝』により谷崎潤一郎賞受賞。他の作品に『嵯峨野明月記』『春の戴冠』等。

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