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【インタビュー】「Yonda?の生まれる場所」(100%ORANGE 及川賢治さん)

 Yonda?Mail購読者の皆さん、こんにちは。

 ジャイアントパンダが生まれるのは、中国の山奥か動物園のパンダ舎。さて、それでは皆さまお馴染みのYonda?くんは、いったいどこで生まれるのでしょう? 印刷工場? 新潮社の会議室? いえいえ、どちらも違います。


 Yonda?が生まれる場所は、まさしくこの机の上です。

 今回のYonda?Mailは、2003年からYonda?のイラストを担当する100%ORANGE(ひゃくぱーせんとおれんじ)の及川賢治さんのアトリエにお伺いしました。及川さんには10年近くなるYonda?との関わりと、「思い入れのYonda?」ベスト3を語っていただきました。さらにはYonda?がこの世に生まれる瞬間まで見せていただけるとは!

 Yonda?ファン、100%ORANGEファンならずとも、必読のインタビューです。


及川賢治さんが高校時代の同級生竹内繭子さんと100%ORANGEを結成したのは1996年ごろ

 当時は大学生だったのですが、ヒマでやることがなくて。最初はポストカードを作りました。あの頃はパソコンとかプリンターもなかったので、「プリントゴッコ」でポストカードを作り、渋谷とか原宿の雑貨屋さんで売ってもらいました。でも150円で売ると儲けがほとんどないんです。ただ何かをやりたくて始めたような感じで。絵を見てもらえるってのはあったけど、いま思えば何でそんなことしてたんでしょうかね。

その後、会社に就職してもポストカード作りを続けていた及川さん

 それをデザイナーの人とかが見てくれて、仕事が来るようになったのです。それで食えるほどではないですが、ぼちぼち来るようになりました。
 ポストカードを見たパルコのアートディレクターを当時されていた佐野研二郎さんから、大きな仕事が入って来たのが2002年です。そのときはまだ会社員でしたが、そろそろ会社を辞めてイラストレーターを本業にしようと決めました。

2002年の年末に、Yonda?のアートディレクター大貫卓也さんから留守電が

 学生のころ広告の勉強をしていた自分にとって、大貫卓也といえば巨匠中の巨匠、雲の上の存在でした。だから留守電に「大貫です」なんて入っていて、本当にびっくりしてしまって。巨人ファンのところへいきなり「長嶋です」と電話があったくらいびっくりしました。大貫さんの仕事が大好きすぎて、うれしいというより、怖ろしいと思ってしまいました。あまりに緊張したので、会いたくなかったくらいです。

 大貫さんに会って初めて、Yonda?の仕事だと分かりました。それまでのYonda?をもちろん好きだったので、えーっ僕でいいのかなあと思いましたよ。もともとのYonda?が好きな人もいるし、リニューアルすると「前の方が良かった」と言われることもあるので、すごく不安になりました。僕も前のYonda?が好きだっただけに、もの凄く心配でした。

Yonda?に取り組む

 それまでのYonda?はデザインっぽいというか、マークっぽい感じでした。でも自分がやるなら、そこにストーリーとまでは言いませんが、若干の奥行きというか性格のようなものをつけられたらなあと思いました。

 でもパンダって意外と表情が難しいんですよ。人間だったら目で表情ができるのですが、パンダは周りが黒くて目が見えなくて、何を考えているのか分からないのです。だから微妙に形を変えて表情を出そうとしましたが、中々かわいい案が描けなくて。大貫さんの事務所へ通いつめて、いっぱい描きましたが全然OKもらえなくて。何でウチに頼んだのだろうと思うほどOKが出ませんでした。

最初に形になったのが2003年、Yonda?CLUBのキャラクター人形


 形とかプロポーション、首が回る仕様は大貫さんのデザインです。で、人形の真っ白な素地が、大貫さんの事務所に大量に置いてありました。そこに黒の絵の具で、こけしみたいに絵付けしたんです。それを並べて一つ一つ大貫さんがチェックして、「だめ、だめ、だめ…」みたいな感じで。
 もの凄い量を無駄にして作られた3個がこの人形です。立体ってそれまで作ったことがなかったので、この人形が「思い入れのあるYonda?」ナンバーワンかもしれません。最初だったし、出来上がりを見てすごくうれしくなりました。

その次の「思い入れのYonda?」は


 この「Yonda?絵本“z.z.zoo”」ですね。お気に入りというより大変だったので。僕はイラストレーターですが、ふだんから絵本も描いています。大貫さんも絵本が大変好きらしくて、元々「絵本やりたいね」ってずっと言っていたのです。

 絵本って、基本、子ども向けのものじゃないですか。でもYonda?CLUBに応募する人はほとんど大人でしょう。で、どうやったら大人の絵本にできるかなって、大貫さんと二人で考えました。最初は言葉入りの絵本を考えましたが、何かしっくりこなくて。それで言葉をなくして、絵だけでやったらそんなに子どもっぽくならないのではと。言葉をなくしたら、急に大人の絵本として定着した感じになりました。

 本としてはこれはかなりデラックスな仕様で、定価をつけるとたぶん2千円を超えるんじゃないでしょうか。7色刷りですし、紙も福音館の絵本と同じものを使わせてもらっているんです。

三番目の「思い入れのYonda?」は


 2005年にYonda?CLUBの目玉として作ったのがDVD「Yonda?アニメーション“Yonda?NONSTOP”」です。最近は家のパソコンでもアニメは作れるんですよ。別の仕事でアニメを作るソフトを買い、作れるようになったので、その作品を大貫さんに送りつけたりしていたら、「及川くん、アニメ作れるならYonda?でやろうよ」という話になったのです。
 すごく短い、ショートショートなアニメがいっぱい入っているんですけど、1本作るたびに大貫さんに見てもらいました。仕事の合間に少しずつ作っていって、結局半年ぐらいかかったかなあ。でも遅れに遅れちゃって、応募が来てるのにまだ出来てなくて。ほんとうにごめんなさいでした。

 これ、音楽はジャズっぽいものが付いていて、格好いいんですよ。最初は僕の絵に合わせて、何かトイ・ポップというか、かわいらしい感じの音楽を大貫さんも考えていたようです。でも子どもっぽいねってなって、大貫さんがこの映像を見ているときにかかったジャズが偶然すごく合うということになったのです。絵本が言葉を取った瞬間、よく定着したのと同じで、ジャズを合わせたら急に大人のものでも子どものものでもない、いい感じに落ち着いたって大貫さんが言っていました。

コンテンツをご覧になるにはバージョン8以上のMacromedia Flash Playerプラグインが必要となります

※Yonda?アニメーションDVDサンプル動画


 この三つのYonda?が思い入れの三つというか、難産のYonda?ですね。おかげで白髪も増えちゃって。でもほんとに気に入っているんです。自分の仕事として、皆さんにもっと見て欲しいです。

そうですか。では、もう一つ、皆さんに見ていただくYonda?を描いていただけますか

 分かりました。


100%ORANGE
及川賢治さんと竹内繭子さんのユニット。2003年からYonda?のイラストレーションを担当。イラストレーションだけでなく、絵本、漫画、アニメでも大活躍。「第13回日本絵本賞大賞」を『よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし』(岩崎書店)で受賞。

「ウェブ平凡」 http://webheibon.jp/ にて「SUNAO SUNAO」を連載中。
100%ORANGE ホームページ http://www.100orange.net/


※文中に登場する2003年のYonda?キャラクター人形は現行の賞品ではございません。「Yonda?絵本“z.z.zoo”」と「Yonda?アニメーション“Yonda?NONSTOP”」は現在もYonda?CLUBの応募賞品です。Yonda?CLUBのページをお読みの上、奮ってご応募ください。





Yonda?Mail購読者の皆さまへ。
100%ORANGEの及川さんが描いたこのYonda?の原画を、抽選の上1名さまにプレゼントいたします。応募期間は8月20日(月)~9月19日(水)まで。プレゼントの当選は発送もってかえさせていただきます。
●応募受付は終了いたしました。

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2012年08月20日   インタビュー
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