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「理」を「文」に通訳する達人~文系でもよく分かるサイエンス本7冊~



 数学と聞いただけで逃げ出したくなる貴女も、物理と聞いただけでトラウマが蘇る貴兄も。「社会に出てから加減乗除以外使ったことはない」と強がってはいても、心のどこかで自分も理系脳だったらなあと思ったことはありませんか?

 ヒッグス粒子ABC予想iPS細胞MERS等々。新聞記事を読んでも分からず、何が分からないかもよく分からない。いや、たぶん記事を書いてる記者だって、完全には分かってないのでしょう。
 かといって理系の人の言葉は専門家同士の符丁に満ちていて、そもそも文系に分かってもらおうとしていない。まるで理系と文系の間には深くて暗い川があるかのようです。

 そんな川に我々が舟を漕ぎ出さなくとも、橋を架け、向こう岸へ渡らせてくれる人たちがいます。文学に名訳者がいるように、「理」を「文」に通訳できる達人が、ごく稀にいるのです。

 深く理解した「理」の世界を、平易な言葉で「文」の民に伝える。本当に分かっているから彼らの言葉は明快だし、ジャーゴン(専門用語)に頼ることもない。そんな素敵な“通訳者”たちが新潮文庫には揃っています。理系に対するコンプレックスをしばし忘れ、読み進めれば思わず「エウレカ!」と叫びたくなる新潮文庫のラインナップです。



『博士の愛した数式』副読本。「数学者たちが生涯を賭けて求めたのは、たった一行の真理だった」小川洋子さん推薦。

17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが――。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション!

●サイモン・シン 青木薫『フェルマーの最終定理

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『フェルマーの最終定理』の次は暗号の謎! 古代から、いまなお続く暗号作成者と解読者の攻防、天才たちの人間ドラマ。

文字を入れ換える。表を使う。古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを破ってきた。密書を解読され処刑された女王。莫大な宝をいまも守る謎の暗号文。鉄仮面の正体を記した文書の解読秘話……。カエサル暗号から未来の量子暗号に到る暗号の進化史を、『フェルマーの最終定理』の著者が豊富なエピソードとともに描き出す。知的興奮に満ちた、天才たちのドラマ!

●サイモン・シン 青木薫『暗号解読〔上・下〕

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『フェルマーの最終定理』『暗号解読』のサイモン・シン、王道の最高傑作。最大の謎に挑む天才たちのドラマ。

宇宙はいつ、どのように始まったのか? 人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。ビッグバン・モデル。もはや「旧聞」の感さえあるこの概念には、実は古代から20世紀末の大発見へと到る意外なエピソードと人間ドラマが満ちていた――。有名無名の天才たちの挑戦と挫折、人類の夢と苦闘を描き出す傑作科学ノンフィクション。『ビッグバン宇宙論』改題。

●サイモン・シン 青木薫『宇宙創成〔上・下〕

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オトナになっても脳は育つ! 『キッパリ!』の上大岡トメさん大絶賛。

脳と記憶に関する、目からウロコの集中対談。いわく、「『もの忘れは老化のせい』は間違い」「30歳を過ぎてから頭は爆発的によくなる」――。記憶を司る部位である「海馬」をめぐる脳科学者・池谷裕二のユニークな発想と実証を、縦横無尽に広げていく糸井重里の見事なアプローチ。脳に対する知的好奇心を満たしつつ、むしろオトナの読者に生きる力を与えてくれる、人間賛歌に満ちた科学書。

●池谷裕二 糸井重里『海馬―脳は疲れない―

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「風邪は薬では治りません。免疫が治すのです」

病気の原因になる細菌が体内に侵入すると、体はそれらを攻撃する抗体を作る。そのしくみを利用したのが、ジェンナーの種痘。研究者達の奮闘はその後も続くが、やがて素朴な疑問にぶつかる。自分と他人はどうやって区別するのか? そもそも自分とは何か? 免疫学の歴史、研究室でやっているコト、そしてエイズ治療など最先端の研究をやさしく楽しく勉強できる、人気シリーズ第2弾!

●多田富雄 南伸坊『免疫学個人授業


より良い子孫を残そうと、生き物たちは日々考えています。第一人者が解き明かす自然の知恵。

ホタルが光り、蝉が鳴き、蚊柱が立つのはなぜ?──すべて、より効率的に配偶者と出会おうとする、彼らの合理的で賢い戦略なのです。生き物は皆、生き延びて子孫を残すというのが人生の大目標。動物行動学の第一人者が、一見不思議に見える自然界の営みを、ユーモアたっぷりに解き明かします。私たち人間も、しっかり自然を見据えれば、本当の生き方が見えてくるかもしれません。

●日高敏隆『人間はどこまで動物か

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代表作、文庫化。気鋭の脳科学者が解く脳と心の不思議。小林秀雄賞受賞作。

「ねえ、サンタさんていると思う?」歳末の空港に響いたひとりの少女の声。数量化できない微妙な質感=クオリアを出発点として、物質である脳になぜ心というものが宿るのかを研究し続けてきた著者は、その少女の言葉をきっかけに「仮想」の不思議さに取り憑かれる。近代科学の到達点と限界点を明らかにしつつ、気鋭の論客が辿りついた現実と仮想、脳と心の見取り図とは。画期的論考。

●茂木健一郎『脳と仮想

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2013年06月20日   文庫セレクト
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