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祝! 直木賞受賞 西加奈子






窓の魚』(左)『白いしるし』(右)

 先日、第152回直木賞を西加奈子さん『サラバ!』が受賞しました。

 ピースの又吉直樹さん、歌手の椎名林檎さんはじめ芸能界でもファンが多い西さん、今回の受賞作はデビュー10周年を記念した力作でした。

 テヘラン生まれ大阪育ちという異色の経歴を持ち、ユーモアや言語のセンスが抜群。選考委員のなかには「村上春樹をほうふつさせる」という意見も出たほどだとか。
 作品によって読み味が全く異なる点が西作品の魅力でもありますが、今回は新潮文庫で読める二作をご紹介。

 一冊目は驚きや衝撃を求める人に読んでほしい『窓の魚』。2組のカップルが旅先で遭遇した事件を軸に、お互いへの愛憎や疑念がじわじわと明るみになっていく不思議な作品です。静かにリアリティのある、それぞれの「孤独」が胸に沁みます。

 二冊目は恋に臆病になっている人に読んでほしい『白いしるし』。失恋ばかりの主人公・夏目ちゃんですが、それでもまたある男性に惹かれてしまい……。恋の終わりはいつだってとてもつらい。でも体当たりの恋愛の先に、何か希望があるはず――そう強く思わせてくれます。西加奈子さんの純粋な恋愛小説はこの作品が最初で最後、もう二度と書かないそうです。ぜひ、これを機にお手に取ってみてください。


窓の魚
西加奈子

温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。決して交わることなく、お互いを求め合う4人。そして翌朝、宿には一体の死体が残される──恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。

ISBN:978-4-10-134956-5 発売日:2010/12/24


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白いしるし
西加奈子

女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった──。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。

ISBN:978-4-10-134957-2 発売日:2013/06/26

書評 新潮文庫の100冊

605円(定価) 購入

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2015年01月20日   今月の1冊
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