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当たり前だけど気がつかなかった大事なこと

 新年度です。ご自分の仕事や働き方を考える機会にしたいと考えている人は多いのではないでしょうか。そんなときにちょうどいい本があります。49歳で大企業を左遷され、60歳で起業したライフネット生命の出口治明さんの著書『「働き方」の教科書―人生と仕事とお金の基本―』です。

 出口さんのかねてからの主張は、仕事は人生の3割にすぎないというもの。人間が与えられた時間は1年間=8760時間ですが、日本人の労働時間の平均は約2000時間と言われています。自宅に仕事を持ち帰ったり、休んでいるように見えて仕事のことを考えている時間を入れても3割を超えることはないのです。そして仕事よりもずっと大事なのが、パートナーや友人たちと過ごす残りの時間。出口さんはこう書きます。「『デートと残業とどちらが大事なんだ』そんな言葉で上司に怒られたことのある人もいるでしょう。僕に言わせれば100パーセント、デートに決まっています。比較するのもおこがましい。」

 ちょっと目から鱗が落ちるような気がしませんか。たしかに一人の長時間労働が消費を冷え込ませ、一緒に子育てをするパートナーの時間を縛るのです。みなが法定時間の8時間を集中して働き、そのあとは家族や友人と思い切り遊べば、もっと経済効率も高まるのです。本書にはこんな「当たり前だけど気がつかなかった大事なこと」がたくさん書かれています。

 また、巻末には就職活動中の学生たちの葛藤を描いた『何者』で直木賞を受けた朝井リョウさんとの対談も文庫版だけの特別附録として収録されています。こちらも読み応えたっぷり。ぜひ手にとってみて下さい。(編集担当K)

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2017年04月14日   お知らせ / 今月の1冊
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