8月8日に北京オリンピックが開会された。しかし、あたかも「平和の祭典」の開催を皮肉るかのように、その日の未明、グルジアの中にある親ロシアの南オセチア自治州に、グルジア軍が侵攻するという事件が勃発した。それに対して、ロシア軍がグルジアの首都トビリシへ空爆を繰り返すなど報復を開始。ロシアとグルジアは一時交戦状態に突入した。その後、フランスの仲介もあり、停戦の方向も出てきたが、予断を許さない状況だ。
一方、中国北西部に位置する新疆ウイグル自治区の地方都市クチャでも、
8月10日、警察施設など行政機関が爆弾テロに襲われた。これは、8月4日に起こった新疆ウイグル自治区カシュガルでのテロに続くものである。中国の指導部にとっては、頭の痛い事件の再発である。
ロシアとグルジアの交戦も新疆ウイグル自治区内でのテロの続発にも、背景には複雑な民族をめぐる紛争が絡んでいる。それを深く理解するには、歴史的な経緯と地理の知識が不可欠である。
冷戦後の世界各地で繰り広げられた民族紛争・対立の歴史的な背景を、実にコンパクトに読みやすくまとめた
『民族世界地図』(浅井信雄)をひもといてみることをお奨めしたい。地図を見ながら考えると、思わぬ時代の深層が見えてくるだろう。