妙に、ハイテンションだったり。
謎めいたナルシストがいたり。
朝の連続テレビ小説『つばさ』には、ひとクセもふたクセもある人物が、次から次へと登場します。
だから、このご婦人が現れると、正直、ホっとします。
老舗和菓子屋を切り盛りしてきた女将にして、ヒロインの祖母・千代。
ピンと背筋を伸ばし、ダメなものはダメとはっきりさせる性格で、まさに古きよき日本の女将。古風なたたずまいの中に、一本芯の通った大和撫子です。
演ずるは、吉行和子さん。端正な演技力と、ベテランならではの貫禄で、賑やかなドラマを、扇のカナメのように、ピシっと締めています。
吉行和子さんといえば、父の吉行エイスケ、兄の吉行淳之介、妹の吉行理恵と、身内には、作家・詩人がずらり。その薫陶を受けてか、ご自身も、俳句作りにも熱心で、1984年には日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しています。
そんな文才にたけた吉行和子さんの最新エッセイ集が、
『老嬢は今日も上機嫌』です。
ドラマの方は、先週、泉鏡花の『婦系図』の市民参加芝居で、またひと騒動が起こりましたが、本書には「今はまぼろし鏡花の桜」というエッセイが収められています。
わずか1ページほどですが、移りゆく季節や過ぎ去った時間に思いをはせ、吉行さんの繊細な感性が深く胸に残るエッセイです。
(2009年7月9日)