9月1日。消費者庁が、発足した。
初代長官が元キャリア官僚でいいのか、十分な権限を持てるのか、人員は足りているか、など、問題は山積。だがいったん船出したからには、一刻も早い改善や効率アップが求められてしかるべきだろう。
これまでの消費者行政が、いかにお粗末だったのかは、ノンフィクション作家・江花優子さんの最新刊
『君は誰に殺されたのですか』に、克明に記されている。
1996年、東京・赤坂のアパートで、ひとりの青年が亡くなった。当初、警察が遺族に伝えた死因は、「病死による心臓発作」、または「心不全」「過労死」。
しかし2006年2月、母親が、たまたま東京都監察医務院にかけた電話から、本当の死因は「一酸化炭素中毒」だったことを、はじめて知る。
遺族の懸命の再捜査要請によって、判明したのは、パロマ瞬間湯沸器の欠陥。しかし、パロマ社は、不正改造によるもので製品には問題ないと、記者会見で繰り返した。
メーカーの自己保身、警察の捜査怠慢、経済産業省の監督不行き届きから、この製品で亡くなったのは、21人にものぼる。
情報を一元化して、積極的に公開しなければ、原因究明や改善に結びつかない。捜査機関や監督官庁が責任をはたさなければ、いつなんどき、命にかかわる被害に見まわれるかもわからない。そう痛感させられる迫真のノンフィクションである。
(2009年9月15日)