芸術新潮


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※本特集ではエロティックな要素の強い作品を多数紹介しており、本ホームページで紹介する誌面にも、一部に性的描写が含まれております。その点をご理解の上、閲覧していただきますようお願い致します。



歌麿・北斎・清長・春信……あまたの偉大なるエロティック・ペインターを擁する日本は、こと春画に関してはダントツの強豪国。もし春画ワールドカップが開催されるなら、優勝候補の筆頭に挙げられるでしょう。さはさりながら世界は広い。性をめぐる観念や表現は、時代により、ところにより、驚くほど多様であるのも確かです。
この特集では、歌麿の傑作『歌満くら』をはじめ、浮世絵春画の名品珍品をたっぷり御覧に入れつつ、世界各地の性表現を探ります。隣国でありながら日本とは全く異なるエロスへのアプローチを見せる中国春画、性的な儀礼のうちに死の国へ旅立った古代ペルーの貴族たち、抑圧と開放の間でオブセッショナルに揺れるヨーロッパ――世界の性表現を知れば、浮世絵春画の特質もまた明らかになるに違いありません。



[右]花笠文京作、歌川国芳画『枕辺深閨梅(ちんぺんしんけいばい)』より。純愛カップルのいい感じのキスシーンかと思いきや、この啓十郎と阿蓮の二人じつは大変なワルなのでして。
天保9年(1838)
色摺半紙本三冊 浦上満氏蔵

[左]愛の女神ウェヌスが、火と鍛冶の神である夫ウルカヌスの目を盗んで、軍神マルスと密通。怒った夫は、目に見えない鎖の網をベッドに仕掛けて、不倫の現場を押さえる――という、オウィディウス『変身譚』などにある逸話を絵画化している。男神たちの修羅場も知らぬげに、あっはんうっふん状態を維持するこのロココ女(神)につける薬はあるのか。
部分 1754年 油彩、カンヴァス 166×85cm
ロンドン、ウォーレス・コレクション蔵
©By kind permission of the Trustees of the Wallace Collection, London


[右]男性が女性の身体を持ち上げつつ交わる、いわゆる“駅弁”の図。それはそれとして、赤裸々というも愚かなこの性愛場面、見ているうちにむしろ厳粛な気分になってくるのはなぜ。1911年刊 エッチング
18.8×14.3cm 田中雅志氏蔵

[左]インドは春画も優れているが、官能超大国の実力が真に発揮されたのは彫刻においてだった。「馬鹿夫婦春画を真似て手をくじき」という江戸時代の川柳があるが、インド彫刻の場合、真似すると死にます。撮影=森雅秀


古代ペルーが生んだ衝撃の造形。フェラチオする女性の頭部は可動式になっている! エロティック土器が制作された理由を知りたい人は本誌の本文を読まれよ。
モチェ中期(3~6世紀) 月の神殿出土 高20.6cm
国立トルヒーヨ大学付属考古人類歴史博物館蔵
撮影=義井豊

Team Japan
鹿島茂、
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【鼎談】
〈ゲスト〉鹿島茂+山本ゆかり
〈亭主〉浦上満


中国の古陶磁器にかけては有数の目利きたる亭主が、十数年来、新たな情熱で蒐めてきた浮世絵春画の精髄を御披露いたします。こなたゲストは、フランス文学者にしてフランス挿絵本の大コレクターでもある鹿島茂氏と、上方風俗画を専門とする山本ゆかり氏。春画の別名「笑い絵」そのままに、笑いの花を咲かせましょうぞ。


[右]浦上満春画コレクションの威容をご覧あれ。ただし、積んであるのは和綴本のみで、『歌満くら』など折帖や一枚物の春画は含まれていません。浦上蒼穹堂にて。撮影=広瀬達郎[本誌]

[左]喜多川歌麿『歌満くら』第一図
天明8年(1788) 折帖一冊 大錦十二枚組物


馬上の性愛は中国春画のおはこ。猿が馬上でアクロバットを演じる「みるみる栄達」の意味の吉祥画が変容したものとか。
19世紀中頃 絹本着色 30×29.5cm
The Bertholet Collection蔵


ここはトルコ式蒸し風呂「ハマム」の一室。体を拭く若い母親、バスタオルを手にちょこまか歩きする娘。現代日本にもいくらでもありそうな光景だ。彼の地の初期洋風画の代表作。平賀源内や司馬江漢がヌードを描いていればこんな感じだったか。
ラパイェル・マナス《ハマムの母娘》 18世紀 グワッシュ、厚紙
イスタンブル、トプカプ宮殿博物館蔵(H.1918) Photo: Topkapi Palace Museum

(続きは本誌でお楽しみください)


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