新潮社

新潮社定期採用2018
新潮社はこんな仕事をしている

営業&映像化担当者が語る
『何者』文庫 映画化パブリシティ大作戦

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朝井リョウが、平成生まれの作家として初めて直木賞を受賞した『何者』。映画化を機会に、1人でも多くの読者にこの作品を届けたい! そんな願いから、営業部・広報宣伝部タッグチームの作戦が始まります。キーパーソンとなったのは入社5年目の営業部社員でした。

『何者』との出会い

――『何者』は2012年11月に単行本として刊行され、翌年の1月に直木賞を受賞しています。初めて読んだ時、どのように感じましたか。

松村 私が2011年に入社してから、新潮社の本で、初めて直木賞を取ったのが『何者』でした。自分の就活の時も結構厳しかったので、読みながら重ね合わせていました。朝井さんは、私より年齢がひとつ下なので、そういう人が直木賞を取るんだなって印象的でした。でもその頃、私はコミックの営業担当だったので、『何者』に関わることになるとは思ってもいませんでした。
古澤 『何者』を読んで、今の就活はここまですごいのかと驚きました。ネット、SNSを使って情報交換と情報共有をする、一方でその裏にある個人の気持ちも、直接的な対話ではなくてSNSを通じて表現するというのが、ああ、時代が変わってきているなって。
橋本 お二人と違って、はるか昔のことですが、僕の就活は大学4年になってからでした。全く一人でやっていたので、『何者』の世界ではみんなで情報交換しているのが新鮮でした。また、登場人物たちが相手の気持ちを慮るあまり縛られていくようなところは、今の若い人も大変なんだなあと感じました。

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――就職活動の1年くらいが、学生の全人格が試される時期のようになっている。そのなかで、お互いに一緒に戦っているように見せながら実はライバルだったりして、時にはここまでやるかというほど、足を引っ張りあったりしているんですね。

松村 私はそこがすごく共感できる部分だったんです。友達に先に内定が出た時には焦りが出てくる。それだけ枠が減っていく。何であの子がって。業界が違っていても、私だってそちらを志望していれば上手くいったのではというのも込みで嫉妬してしまう自分がいて、自分がイヤになってしまったり。ですから『何者』にはすごいリアルを感じました。
古澤 学生の悩みは、今も昔も変わらないと思うのです。自分が何に向いているのか、どうなのかとか。しかし『何者』に描かれたプロセスが、今の若者たちのリアリティを表しているのでしょうね。

映画化が始動する 2015年冬

――映画化のオファーはいつ頃から?

橋本 直木賞を受賞してすぐ、各社からいろいろなオファーをいただいて、最終的には東宝に決まりました。しかし、映画は関わっている人の数が多く、各方面への影響も大きいのでなかなか情報が外に出てきません。映像化が決まりました、と社内で初めて情報が共有されたのは、2015年の初頭ぐらいだったと記憶しています。

――『何者』の文庫化が近づいている時期ですね。営業部は、映画化と文庫化とはどういう関係だと考えていたのでしょう?

古澤 単行本が刊行して2年半から3年で文庫化するので、『何者』は2015年の夏には文庫化のタイミングがきます。夏といえば「100冊フェア」の時期。この「100冊フェア」は編集部、営業部、広報宣伝部みんなが力を合わせて進めますが、その年何を押すか、また大きな映像化作品は何かを確認して書目を決めます。そこで『何者』を6月末に文庫化し、「100冊フェア」の新刊として打ち出すことになりました。
橋本 でもこの時期にはまだ『何者』の映画化は公表することができなかった。映画の情報は、とにかくあちこち調整しながら開示していかなければならないのです。

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――2015年夏の「100冊フェア」では、『何者』の映画化について社内的には知っているけど、謳えないということですね。松村さんが文庫チームに加わったのはこの頃でしたか。

松村 その年の6月に、コミック営業から文庫営業に異動し、映像化作品の担当になりました。そして10月に『何者』が正式に映画になることを社内で知らされました。映画化について最初の情報が公表されたのは12月です。
橋本 東宝のラインナップ発表会で「朝井リョウ『何者』が映画化。監督は三浦大輔」という情報が出されたのです。そのあとの東宝さんとの打ち合わせでは、翌年の2月から3月くらいにかけて撮影して、秋前後に公開という話でした。

――そこで営業部の作戦は?

松村 とにかく大きい映画になるぞという話を聞いてすぐ、『何者』の文庫をここからどう展開するかという議論になって、「夏の100冊」に続いて年末年始フェアにも入れることになりました。年末年始フェアも大きなフェアなのです。12月の映画情報解禁で、数字が1.3倍くらい上がりました。注目度が上がって話題になっていると感じました。

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――いよいよ情報が公開された。次に気になるのはキャストですね。

橋本 撮影時期も決まったので、当然キャストも決まってはいたのですが、このタイミングではキャスト情報はまだ出すことはできませんでした。
松村 私もキャストについては聞いていました。佐藤健さん、岡田将生さん、有村架純さんに加えて、auのCMの「鬼ちゃん」で話題の菅田将暉さんもいると聞いて、これはすごいなと。翌年の「100冊フェア」の時には絶対ビジュアルを入れた帯を『何者』にかけたい! と思いました。

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