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特集 谷川俊太郎 洗いざらしのTシャツみたいに

考える人 2016年夏号

(季刊誌 年4回発売)

980円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/07/04

発売日 2016/07/04
JANコード 4910123050867
価格 980円(税込)

特集
谷川俊太郎


グラビア
北軽井沢の、ひとり暮らし。


一人称
歩いているだけ

ロングインタビュー
洗いざらしのTシャツみたいに 聞き手:尾崎真理子

対談
谷川俊太郎×望月通陽
魂だけです、さまよっているのは。


小特集
漱石を読もう!

対談
町田康×都甲幸治
『吾輩は猫である』を読む

アンケート
私の漱石ベスト3

特別企画
対談
山本貴光×吉川浩満
生き延びるための人文2
人文の「理想」と「現実」

橋本麻里 想像力をかき立てる和菓子
対談
小川洋子×山極寿一 屋久島の森の中で

新連載
細野晴臣 地球の音
養老孟司 森の残響を聴く
村井理子 村井さんちの生活

【第4回】
河合隼雄物語賞・学芸賞決定発表

選評・受賞のことば
いしいしんじ
武井弘一

コラム
考える夏 北村浩子

連載
graphic special
都築響一 圏外写真家
田原桂一 光の意志

high thinking
石川直樹 いまヒマラヤに登ること
安藤忠雄 だから私は木を植える
若松英輔 岡倉天心 日本近代絵画を創った描かぬ巨匠
糸井重里 いまさらだけど、マンガっていいなぁ。
池澤夏樹 科学する心
杉本圭司 小林秀雄の時 ある冬の夜のモオツァルト
向井万起男のどんな本、こんな本
苅部直 「文明」との遭遇
マイケル・エメリック 行ったり来たり
宮沢章夫 牛でいきましょう

plain living
三宮麻由子 暮らしのサウンドスケイプ
平松洋子 日本のすごい味(最終回)
是枝裕和 空の虫かご
近藤雄生 ここがぼくらのホームタウン


○「しつもん、考える人」は今号休載いたします。

この号の誌面

編集部の手帖

 春号で雑誌のリニューアルをいたしましたが、おかげさまで多くの皆様のご支持をいただくことができました。書店での売行きも、定期購読の新規お申し込みも、私たちの当初の予想を大きく上回りました。厚く御礼申し上げます。
 雑誌はつねに変化を遂げていく生きものです。時代の空気を吸いながら、新しい刺激を取り入れ、生成を繰り返します。それとともに、私たちは守るべき価値観、核とする編集理念を見失わないようにしなければなりません。開かれていて閉じられている細胞のように、誌面のリフレッシュを続けていきたいと思います。引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。
 さて、前号で非常に好評だった武政諒さんのスニーカーのイラストとは打って変わって、今号の表紙は、藤本将さんに夏らしい作品を描いていただきました。谷川俊太郎さんの特集ページについては、担当者から次に報告してもらいますが、昨夏より準備を進めてきた企画です。今夏は猛暑になるという予想が出ていますが、ページを開いただけで、自分が北軽井沢の別荘にいるような清涼な空気を感じます。処女詩集から六十四年、近年ますます注目を浴びる詩人の生活と意見をご味読下さい。
「いつもは聞かれる側だけれども、一度作家を自分のホームグラウンドにお招きして、こちらからいろいろ質問をぶつけてみたい」という山極寿一さんの呼びかけから、小川洋子さんとの屋久島での対談が実現しました。野生のサルやシカに出会いながら、若き日の山極さんが分け入った豊かな森の中へ――。養老孟司さんの新連載「森の残響を聴く」の訪問先、徳島県祖谷地方の山の景観とともに、知と視覚の旅を満喫していただければ幸いです。
 ながらく連載していただきました平松洋子さんの「日本のすごい味」は今回が最終回です。細野晴臣さん、村井理子さんの新連載が始まりました。どうぞご期待下さい。(和)

 八月末の暑い盛り。にぎわう軽井沢駅から、車で国道146号線を北上して三十分ほどのところに、北軽井沢の通称「大学村」はあります。緑の鮮やかな、鳥のさえずりだけが響く静かな集落です。小さな古いお家で、谷川さんが迎えてくださいました。
 谷川俊太郎さんの特集をやりたい、とずっと考えていました。「考える人」では、これまで何度か寄稿やインタビューをお願いしていますが、二〇一四年春号の小特集「石井桃子を読む」で子ども、ことば、本についてお話をうかがいました。聞き手は尾崎真理子さんで、わずか一時間あまりとは思えない、濃いインタビューが実現しました。
 これをきっかけに、本づくりを見すえて連続的にお話をうかがう幸運に恵まれました。回を重ねて感嘆することは、谷川さんの無類の率直さです。
 優れた文芸記者である尾崎さんは、毎回膨大な資料を読み込み、尽きない好奇心をたずさえ、いうなれば“完全武装”してインタビューに臨むのですが、どんな鋭い問いであっても谷川さんはひるむということがない。「ぼくは言葉を信じてないから」と言いながら、言葉を選ぶ手間を惜しまない。問いもどんどん深まって、ふつう「インタビューの名手」といえば聞き手を指すけれど、受ける側の名手もいるものだ、と感じ入りました。
 北軽井沢の水のせいか、お茶もコーヒーもとても美味しかった。部屋は谷川さん自身に似ていました。機能的で清潔、魅力的な暗がり、いっぱいに詰まった本棚、シングルベッド。居心地よく誰をもくつろがせ、でもひとりのときにもっとも満ち足りていそうな感じ。
 半日にわたるこのときのインタビューを中心に、特集を構成しました。収録していないお話は、いずれ「新潮」でもご紹介する予定です。
 多くの時間を割き、詩を書き下してくださった谷川俊太郎さん、対談に快く応じてくださった望月通陽さんに心からお礼申し上げます。(A記)

次号予告

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

考える人とは?

産業革命後に急速な都市化が進むロンドンで、イギリスの詩人ワーズワースは plain living, high thinking(=シンプルな暮らし、自分の頭で考える力)という言葉を書き遺しました。工業化と都市化の急速な進展のなかで、イギリス人が本来持っていたはずの plain living, high thinking を人々が失いつつあるのではないか、とワーズワースは感じ、嘆いたのです。

 ちょうどその頃、ロンドンに留学していた夏目漱石も、イギリス人が環境汚染に悩まされ、都市生活がもたらす不安とストレスにさらされる様子を見て、そこに日本人の未来像を予感していました。

 私たちの暮らしも生き方も、産業革命後の世界の上に成り立っています。さらに、IT革命という新しい大きな変革の波の上に私たちは浮遊しています。漱石の予感を上回る変化のなかで、私たちは生きているのです。

 暮らしにはモノも情報も溢れている。私たちが日々のなかで「考えている」のは、ほんとうに自分が考えたことなのか、疑い始めるとなんだか怪しくなってくることもあります。溢れる情報の何を選択し、何を捨てるのか。暮らしに大切なこと、不要なモノをどう判断すればいいのか。大きな変革の波は、私たちの生活に、頭のなかに、じわじわとしみこみ始めています。その大きな波のなかで自分の船をどのように漕ぎ出せばいいのか、途方に暮れることも少なくありません。

 ものの考え方と暮らしはウラとオモテのようなもの。暮らしぶり、生き方と無縁の「ものの考え方」はないはずですし、「ものの考え方」はその人の日常から切り離すことはできないはずです。plain living があってこその high thinking であり、high thinking あってこその plain living なのです。

 私たちは今ふたたび、ワーズワースの言葉を頼りにして、自分の頭で考える力を問い、シンプルな暮らしを考えるべき時間と場所へたどり着いたのかもしれません。

 たまにはテレビを消して、身の回りも整理して、一人の「わたし」に戻り、自分の言葉と生活を取り戻したい。溢れるモノや情報をいったんせき止めて、ひと息つきたい。思考する頭に新鮮な空気を送り込みたい。そんなあなたのために用意する、小ぶりの静かな部屋に季刊誌「考える人」はなりたい、と考えています。

創刊編集長 松家仁之(まついえ・まさし)

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞

考える人

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