新潮社

吉本ばなな『キッチン』刊行30周年 『キッチン』と私 思い出・エピソード大募集

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う──

あなたと『キッチン』をめぐる物語をお寄せください。
吉本ばななは、皮膚やかたちではなく、
はじめから人のこころを見ているような気がする。
糸井重里
あんなに澄んだ小説は、あとにも先にも出会ったことがない。
出てくる人みんな、一生懸命生きていて、こちらまで照らされる。
綿矢りさ
ただ生きている。
それだけの事を、こんなにも褒めてくれるのは、
この物語だけだと思う。
木村文乃

星の数ほどある本の中でわたしにとって最も特別な1冊であり、心のビタミン剤のような存在の「キッチン」。人間関係に悩んでいるとき、気付けば縋るようにしてこの本を幾度となく開いたり、みのりのように料理をしたりして乗り越えてきました。美味しいものを食べたとき、誰かに食べてほしいと強く願うような気持ち。いくつもの朝と夜を共に超え、重ねられていく思い出。そんなふうに、血縁よりも深いところで繋がっている「だれかと食事を囲む」ことを中心としたキッチンの世界に満ちた愛情は、わたしの大事な宝物です。

あお

中学3年になって間もなく盲腸で入院した私に、友だちが持ってきてくれた本が『キッチン』でした。
食べて生きること、死ぬことを間近に感じた最初の本です。
20年以上ばななさんの本を読んでいて、気持ちが苦しいときにちからをもらったり助けてもらっていますが、自分の根底にそっと流れていて、側に在るのはこの本なのかと思います。

あゆみ

本、と言うか活字が大好きな子どもだった私が、世界何とか全集とか学研偉人シリーズとかでは無く、初めて買ってもらった「大人が読むような小説」が文庫版のキッチンでした。自分でもどうしてその本が欲しいのかよく分からず、また「え、これが欲しいの?」と言うような母親の訝しげな気配もよく覚えています。それから何回読んだか覚えていないくらいで、紫と緑の表紙はすこし掠れて色褪せています。キッチンがきっかけでばななさんを知って、辛い時悲しい時楽しい時、ばななさんの小説やエッセイはこれまでずっと私の人生のあちこちに顔を出しては一緒にいてくれました。今でも海外に行く時には、よくばななさんの本をお守りみたいに持っていきます。キッチンを書いて下さって、これまでも沢山の本を残して下さって、ありがとうございます。これからもばななさんの作品を大事に楽しみにしています。

umeco

特にこれ!という思い出もエピソードもありませんが、本当に大好きでやまない「キッチン」です。吉本ばななさんがこの本が原点とおっしゃっているみたいで、あっ!本が読みたいなって思ったときに、あっ!キッチン読もう!と。
生きる力を静かに強く感じて、そんな力をもらっています。この本に出会えて良かったです。ありがとうございます。

harukon

私が『キッチン』を初めて読んだのは今から27年前の高校1年生の時でした。当時はクラスに読書する友達も決して多くはなく、しかも「吉本ばなな」さんを手にとって読むには、男子としてなかなか勇気のいるコトだったと思います。しかし、その後年月を経て、何か辛いことや悲しいことがあるたびに必ず本作を手にとり、しっかりと前を向いていこうという気持ちにさせてくれる素晴らしい作品です。何回読んでもやっぱり好きなシーンは'カツ丼'を届けるシーンですね。

おしゃべりメガネ

キッチンは兄の本棚で見つけました。小学生か中学生の1、2年の頃でした。子供向けの本しか読んだことが無かったその頃、キッチンは衝撃でした。そしてあの時あの年頃で吉本ばななさんのキッチンを読んだことが、自分の人生のターニングポイントだったと感じます。早く大人になりたかったし、独立したかった。そんな時にあの物語は、わたしの心にぐんぐん染み込んできました。そして、わたしの人生のこころの栄養として、キッチンも、その後の吉本ばななさんの本達も、わたしの人生に欠かせないものとなっています。あの、キッチンを見つけた兄の本棚のこと、キッチンを本棚から取り出した時のこと、今でもなぜか、鮮明に覚えています。運命だった。

ぽにいてえる

キッチンを初めて読んだのは中学生の頃でした。
本なんて学校でしかあまり読まず、授業で読んでいるせいか、本があまり好きではありませんでした。学校で読書週間があって、たまたま手に取ったのがキッチンでした。読んでみると、みかげの言葉や不思議な日常を綴る文章が、まるで浸透感のある水の様に頭の中に流れて、衝撃を受けました。
私は夢中になってキッチンを読みました。そして、初めて小説が面白いと感じたのです。
それからは小説を読む事が苦にならず、物語りを楽しむ様になりました。キッチンを読んで影響を受けた私は、みかげの様にキャロットケーキを作ってみたり、パイナップルの苗を探したり(無かったのでアロエを育ててました)バナナ柄のコップを探したりと、キッチンの世界を真似していたのです。
キッチンは、私にとって幼かった頃の青春の一部です。

青リンゴ

19までキッチンがなぜこんなに人気なのか全くわかりませんでした。でも大学を中退することになり、今思うと人生最初の挫折を味わった後に読んだら自分の事が書いてある!とそれからすっかりお世話になってます。キッチンに限らず、ばななさんの小説は私にとって実用書、人生の歩き方です。これからもよろしくお願いします!

あご

18歳の頃、初めてばななさんの本「キッチン」を読みました。
初めて読んだ時の、あの甘くキュンとした気持ちを今もハッキリ覚えています。自分の甘酸っぱい思い出の記憶と一緒に。
あの時付き合っていた彼と私は結婚し、41歳に。中学生になった娘が、今はキッチンを読んでいます。もうすぐ、私が経験したような甘酸っぱい体験をすることでしょう。
キッチンから始まったばななさんとのたくさんの出会いは、一生変わらない、私の宝物です。

まなみ

中学まで、読書とは無縁の生活を送ってきました。そんな私が高校の国語の模擬試験で読んだ一節、ムーンライトシャドウの冒頭部分で、試験中にもかかわらず号泣してしまいました。脳が揺れるような衝撃を今でも覚えています。最後までどうしても読みたくて探し当てたのが、キッチンでした。
キッチンも、心のいちばん深いところを抉られたみたいにとても痛くて、でもとても静かで、うまくは言えないですが、決して嫌なタイプではない涙を、だらだら流しながら読んでいました。
以来、私は読書が好きになり、ばななさんの本は全て、他の作家さんの本も読むようになりました。

つるみ

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