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とんぼの本編集室だより 2018/07/13
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もっと知りたい、未曾有の祭り
 いきなりですが問題です。京都の夏の風物詩「祇園祭」は、(1)いつ(2)どこで行われているでしょう。(1)の答えは、ご存じのとおり「7月」。正確には7月1日から31日までの1か月間だ。大通りを豪華絢爛な鉾や山がゆく山鉾巡行はつとに有名だが、じつはこの祭り、7月は毎日のようにどこかで様々な神事や行事が行われている。なので、(2)は、京都市中のいろんなところ、というのが正解。
 しかし、あの半端じゃない暑さを誇る京都の街中のいろんなところで、ひと月にわたって粛々と祭礼行事が執り行われているなんて……。いつ、どこで、なにが、なんのために行われているのだろう。どうも地元の人でも正確に把握はできていないらしいので、観光客たる私たちなどお手上げだ。聞きかじったくらいでは、なんだかよくわからないこの不思議な祭りについて、もっと知りたい。全体を把握したうえで、いつどこでなにを見るべきか、自分なりの目的をもって祇園祭を見てみたい。これがこの本をつくることになった第一の動機である。

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コンチキチンの祇園囃子に誘われて……[画像:本書より →立ち読みへ]

 それにずっと気になっていたのが、「動く美術館」と称される、山や鉾の装飾のすごさだ。円山応挙をはじめ錚々たる絵師たちの肉筆画から、中国や朝鮮の織物、ヨーロッパのタペストリー、インドの更紗、中東の絨毯など渡来の染織品まで、なんてバラエティゆたかで、鮮やかで、美しいもので飾り付けているのだろう。絵画、染織品だけではない。謡曲や中国の故事にちなんだ御神体人形あり、みごとな木彫、漆工、錺金具あり。33の山鉾が、競い合うように美をまとっている。
「目の前で世界中の美術品が一堂に見られるのだから、こんな贅沢なことはない」。ある時、古裂を扱う老舗のご主人が、小さい時から毎夏接してきた祇園祭のおかげで美の目を養ってこられたのだ、と話してくれた。では、どんな作品があって、それはどこで見られるのだろう。駅や街中で配られる祭りのパンフレットには書かれていない、祇園祭をめぐるアートについて、もっと知りたい。これが第一の動機を上回る、さらに大きな思いとなっていた。
 そうして、京都で活躍する編集プロダクション、アリカさんの力を借りて、1年以上の取材期間を経て、この本ができあがった。山鉾だけではない、熱気に満ちた神輿渡御、神の使いである稚児、祭りを支える人々、匠の技……。様々な角度から、祇園祭のほぼすべてを詰め込んだつもりである。この未曾有の祭りを見に行こうかな、となった時、手元にあれば心強い、そう思っていただける本になればと願っている。
《京都の夏が招んでいる》 一生に一度は見たい祭りを、まるごと楽しむ決定版!
 笛や太鼓の音に誘われて、そぞろ歩きを楽しむ宵山。夏座敷に秘蔵のお宝が披露される屏風祭。古今東西のアートを飾りつけ都大路を進む山鉾巡行。熱気あふれる神輿渡御……。千百有余年、京の夏を彩ってきた祇園祭は、いつの時代も私たちの心を惹きつけてやまない。町衆の願いがこもった伝統のお祭り、ぜひ一度はその場で雰囲気を味わいたいという方も多いだろう。
 本書は、7月の1か月にわたって様々な神事や行事が行われるこの稀有な祭りを、関係各所の全面的な協力を得て、徹底取材。意外に知らないそのルーツや歴史はもちろんのこと、染織、絵画、彫刻、金工などの名品や、祭りを担う人々の仕事や技、山鉾全33基の詳細まで、見どころをたっぷり紹介。この一冊で祇園祭の魅力のすべてがわかる完全保存版だ。
《日本初の画期的ガイド!》素顔のイタリアが見つかる、美しい村20
 個性豊かな小さな村で、空き家を一棟まるごと改修した「家」や、地元の人々で賑わうバールを行き来しながら、暮らすように滞在する……。イタリアで誕生した、アルベルゴ・ディフーゾ(分散した宿)と呼ばれる新しい旅のかたちに、いま注目が集まっている。
 本書では、現在イタリア全土に約150軒あるというアルベルゴ・ディフーゾの中から、著者の二人が実際に訪ね歩いた20の村や町をご案内。光あふれる南イタリアの漁村から、険しい山々に囲まれた北部の限界集落まで、ローマやミラノなどの観光都市とは一味違った魅力を紹介する。
 その他、日本のまちづくりへの示唆に富むコラムや論考も充実。読めばすぐに旅に出たくなるのはもちろん、地方創生に興味のある人も必読の、本邦初のガイドブックだ。
いま話題の展覧会の予習・復習にぴったりの8冊をご紹介します。
青春の衝撃が甦る! 竹宮ワールドの決定版、誕生!
「風と木の詩(うた)」「地球(テラ)へ…」――。少女マンガを変革する“カウンター”でありつづけて50年、竹宮惠子が万華鏡のごとき竹宮ワールドの全貌を語り尽くす。カバーは描き下ろし!
★「竹宮惠子 カレイドスコープ 50th Anniversary」三沢市寺山修司記念館 ~7月29日(日)
ミッフィーの生みの親、ブルーナさんのお仕事拝見!
ミッフィーでおなじみ、ディック・ブルーナの絵本づくりのひみつに迫ります。本の装幀、ポスター、シンボルマークなどのデザインワークも紹介。ブルーナの住むユトレヒト訪問記も。
★「シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン展」 伊丹市立美術館 ~7月29日(日)
自然と手わざが織りなす布の美の世界へ
紅型、芭蕉布、花織――。琉球王国の伝統がはぐくんだ名品90点と、注目の当代染織家5人が創る美しい布を一堂に収め、沖縄染織研究の第一人者がそれぞれの染織品の生まれた背景や歴史、特色を丁寧に解説する。
★「琉球 美の宝庫」 サントリー美術館 7月18日(水)~9月2日(日)
建築界の巨匠が語る、「日本的なるもの」とは?
日本建築界の巨匠が、出雲大社から代々木オリンピックプールまで、古代から20世紀に至る12の名建築を訪れ、その隠れた見どころ、意外な真実を語り尽くす。「これだけは見ておきたい建築遺産」案内つき。
★「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」 森美術館 ~9月17日(月)
人気画家の真の姿に迫る決定版!
スラヴ民族への祈りに満ちた畢生の大作《スラヴ叙事詩》全20点を完全掲載。最新知見も加えて、気鋭の研究者がその魅力を徹底的に解き明かす。パリ時代の傑作やチェコガイドも収録した、決定版作品集。
★「ミュシャ展 運命の女たち」 静岡市美術館 ~7月15日(日)
定番コースとはひと味ちがう、美の迷宮案内
名品中の名品から、隠れた逸品、愛らしい小品まで。見どころがわかる、美術史が見える、超厳選・八十八のお宝めぐり。定番コースとはひと味違う、美の迷宮の秘密の急所を教えます!
★「ルーヴル美術館展 肖像芸術 人は人をどう表現してきたか」 国立新美術館 ~9月3日(月)
6つのテーマで案内する最新版鑑賞ガイド
かつて開館準備室に在籍していた著者が、オルセーが誇る絵画、彫刻、装飾芸術の中から、いま見るべき傑作をテーマごとに厳選。大リニューアル後の館内も撮り下ろしで紹介します。もちろんモネも登場!
★「モネ それからの100年」 横浜美術館 7月14日(土)~9月24日(月)
西洋美術史上最大の巨人の全容をひもとく
彫刻、絵画、建築のすべてで空前絶後の作品群を創りだし、「神のごとき」と称された、西洋美術史上最大の巨人。教皇や国王と渡りあった89年の波瀾の生涯と変化と深化を続けた作品の背景をていねいに解説。
★「ミケランジェロと理想の身体」 国立西洋美術館 ~9月24日(月)
 
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