人工知能って彼か彼女か、どっちだろうね? というようなことを編集会議で雑談しながら、今回の連続特集「生きづらい私のための人工知能」は始まりました。性とはつまり一種の枠組みで、枠組みからは主体が生まれ、それはどこかで私たち人間各自の「個」につながるのだろうと思うのですが、では人工知能はそうした「個」を有するものなのか? あるいはまったく別の姿をしているのか?
人工知能に奪われるのはこの仕事、というようなアプローチも興味深くはあるものの、本誌では人の「心」の将来に、人工知能という新たな隣人がどのような変化をもたらすのかを考えていきます。
第1回の今号は、スクウェア・エニックスでゲームAIの開発に取り組む三宅陽一郎氏が人工知能の「生きづらさ(生きにくさ)を低減する役割」について考えた「生きにくさのブレイクスルー ~人工知能による未来のアプローチ~」ほか、人型ロボットPepperくんを相方にした漫才師・金子竣さんへのインタビューをお届けします。
第2特集は、「キャラクターとミステリの交差点」です。去る7月8日、
新潮文庫nex四周年を記念して、講談社の小説レーベル「タイガ」との合同イベントが開催されました。東大、京大、慶應、早稲田の四大学ミステリー研究会ビブリオ対決が第1部、
知念実希人さん×青崎有吾さんの公開対談を第2部として、白熱の議論が展開。今号に掲載したのは、その知念×青崎対談〈「ホームズ/クィーン」から「
天久鷹央/輪堂鴉夜」へ〉に加え、審査員としてイベントにも参加してくださった評論家・
千街晶之さんによる論考、女優・飯豊まりえさんへのインタビューです。“新本格”以降のミステリに宿る熱気を感じてい
新連載は、先頃『神様の住所』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した九螺ささらさんが「きえもの」を執筆開始。同作は、短歌とショートストーリーの融合が創り出す不思議な物語世界です。
恒川光太郎さんが多摩川流域の民俗伝承を訪ね歩く「多摩川異聞録」も始まりました。両者ともに、日常の風景がふとしたきっかけから一変するダイナミズムを堪能できる内容です。
乾緑郎さんの大好評「
機巧のイヴ」シリーズは、第3章「如洲望郷篇」が始まりました。美しき機巧人形・イヴが姿を現したのは、浪漫の花咲く1918年の天府――。
いまもっとも勢いのあるジャンル、「2.5次元」で活躍するキャストたちの素顔をお届けする連続企画「そして、僕たちは舞台に立っている。」。第4回の今回は米原幸佑さんインタビューです。「なんでやろ、俺やで」という戸惑いから始まった芸能界での生活の中から、米原さんが掴んだ、ある確信とは……。
辻村深月さんの「
ツナグ2」、
垣谷美雨さんの「良縁お祈り申し上げます」が、最終回を迎えました。長期間のご愛読をありがとうございます。いずれも当社から単行本化されますので、楽しみにお待ち下さい。