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波 2006年12月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2006/11/25

発売日 2006/11/25
JANコード 4910068231260
定価 105円(税込)

『腐蝕生保』刊行記念特別インタビュー
高杉 良/なぜ今、生保なのか

吉村 昭『死顔』
関川夏央/吉村昭が愛した短編小説

辻原 登『夢からの手紙』
重里徹也/この庭、俺、行ったことがあるよ

多和田葉子『海に落とした名前』
管 啓次郎/「無身」の作者の生産機械

加藤幸子『家のロマンス』
梨木香歩/まとめ上げ、醸し、解体する

上橋菜穂子『狐笛のかなた』(新潮文庫)
上橋菜穂子/獣と人が恋する話

鈴木由紀子『大奥の奥』(新潮新書)
鈴木由紀子/ミステリアスな江戸城大奥

宮城谷昌光『風は山河より』刊行記念特集
【再録対談】宮城谷昌光×諸田玲子/ずっと日本を書きたかった

刊行記念エッセイ
宮城谷聖枝/旅と空模様

仁木英之『僕僕先生』(第18回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作)
荒俣 宏/『僕僕先生』讃

堀川アサコ『闇鏡』(第18回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作)
山之口 洋/駐平成室町大使に任命します

『中庭の出来事』刊行記念インタビュー
恩田 陸/虚構と謎をめぐる物語

宇野千代・小林庸浩ほか『宇野千代 女の一生』(とんぼの本)
香山リカ/“あなた色”に染められる、というすごさ

一志治夫『失われゆく鮨をもとめて』
尾崎亜美/「田の月」――目黒の親方・衛司さんのこと

読売新聞政治部『検証 国家戦略なき日本』
大久保好男/真の脅威は「目に見えない危機」

宮脇 昭『木を植えよ!』(新潮選書)
岸井成格/植林の小さな巨人

新潮文庫の海外エンタテインメント
『みぃつけた』
とんぼの本編集部通信 コラム

連載
北原亞以子/父の戦地 第3回
佐野洋子/シズコさん 第12回
木田 元/反哲学入門 第7回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第21回
宮城谷昌光/古城の風景 第42回 田中城
大平 健/治療するとカワイクなります。 第5回
日高敏隆/猫の目草-同期会
山本一力/研ぎ師太吉 第23回

●編集室だより ●新潮社の新刊案内

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、『晏子』『楽毅』など、中国歴史小説でベストセラーを多数著し、この秋、紫綬褒章を受章した宮城谷昌光氏。その宮城谷氏が、構想三十余年、満を持して描いた、初めての日本・戦国時代を舞台にした歴史小説『風は山河より』(全五巻)の刊行が、この十二月一日より、開始します。まず、第一巻・第二巻が刊行され、一月末に第三巻、二月末に第四巻、そして最終巻の第五巻が三月末に刊行されます。
 本文四十九頁より、『風は山河より』の特集を掲載しています。詳しい内容などはそちらを御覧ください。
 本誌連載中の「古城の風景」は、宮城谷氏が、まさに『風は山河より』の舞台の古城を巡り歩いた歴史紀行。『風は山河より』の世界をより深く知るためには必読の書です。現在、「1 菅沼の城 奥平の城」「2 松平の城」「3 一向一揆の城」の三冊が刊行されています。
 表紙の写真の撮影場所は、静岡県浜松市にある、宮城谷氏の仕事場の一室。中央の机の上に置かれているのは、本誌連載中の「古城の風景」の生原稿。万年筆はペリカン。写真上におかれているファイルはすべて、執筆用の資料で、様々な書籍・史料から必要な部分を、氏自らが切り張りしたものです。
『風は山河より』の刊行を記念して、宮城谷昌光氏のサイン会が、東京堂書店神田本店で、十二月九日(土)に開催されます。詳しくは、最終頁を御覧ください。
 この十一月、遺作短編集『死顔』が刊行された吉村昭氏。来る一月十三日(土)午後二時より、氏を偲ぶ講演と鼎談の会「吉村昭を語る」が、氏が生まれ育った東京都荒川区のサンパール荒川大ホールで開催されます。第一部が、瀬戸内寂聴氏の基調講演、第二部が、津村節子、大河内昭爾、瀬戸内寂聴の各氏による鼎談。定員は一〇〇〇名で、申し込みの締切りは、十二月八日(金)です。詳しくは、荒川区教育委員会事務局社会教育課(〇三‐三八〇二‐三一一一 内線三三五九)までお問い合わせください。
 高村薫氏の『新リア王』(上・下)が、第四回親鸞賞(主催・財団法人本願寺維持財団)を受賞しました。また、中原昌也氏の『名もなき孤児たちの墓』が、第二十八回野間文芸新人賞を受賞しました。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。