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波 2007年1月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2006/12/25

発売日 2006/12/25
JANコード 4910068230171
定価 105円(税込)

特集[『ローマ人の物語』完結記念対談 塩野七生×粕谷一希]
/ローマと日本の神々のご加護で、書き続けられたのかもしれない
読者の声――『ローマ人の物語』完結によせて

絲山秋子『エスケイプ/アブセント』
豊崎由美/内面の声に耳を澄ませて

西村賢太『暗渠の宿』
桜庭一樹/屑の汗

東野圭吾『使命と魂のリミット』
村上貴史/抜群の構成と見事なピリオド

橋本 紡『空色ヒッチハイカー』
大森 望/二一世紀型のキュートな青春小説

川本三郎『言葉のなかに風景が立ち上がる』
野崎 歓/文学風景論の喜び

ニコール・クラウス『ヒストリー・オブ・ラヴ』
光野 桃/人生のどんな小さな断片にも言葉は見つけられる

小田 実『終らない旅』
吉岡 忍/小田の目に涙

アンネット・カズエ・ストゥルナート『ウィーン わが夢の町』
遠藤ふき子/情熱と優しさの人

永松真紀『私の夫はマサイ戦士』
神戸俊平/「第二夫人」の結納金は牛4頭

銀色夏生『無辺世界』(新潮文庫)
銀色夏生さんに11の質問

ゆうきとも『人はなぜ簡単に騙されるのか』(新潮新書)
ゆうきとも/ルール違反の「種明かし」

梅田望夫・平野啓一郎『ウェブ人間論』(新潮新書)
羽生善治/時代の変わり目の深い考察

新連載
花村萬月/百万遍 流転旋転
保阪正康/即位と崩御
安住洋子/日無坂

コラム
風間賢二/新潮文庫の海外エンタテインメント
「考える人」-小津安二郎が愛したもの
『醜い日本の私』を楽しむための地図

連載
佐野洋子/シズコさん 第13回
宮城谷昌光/古城の風景 第43回 朝日山城
日高敏隆/猫の目草-スクリューとホバークラフト
北原亞以子/父の戦地 第4回
木田 元/反哲学入門 第8回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第22回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第6回
山本一力/研ぎ師太吉 第24回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内 ・編集長から ・カット:水上多摩江

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、古代ローマ一千三百年の興亡を描いたシリーズ『ローマ人の物語』の最終巻『ローマ世界の終焉』が、十二月に刊行された塩野七生氏。十五年を費やした大シリーズ、最終巻ではローマ帝国の滅亡が描かれます。しかし、空前絶後の繁栄を誇った古代ローマとは果たして何であったのか、そのエッセンスは十分に盛り込まれています。「ローマ人」の世界にまだ触れていない方も、この機会に挑戦してみてはいかがでしょう。
 更にお知らせです。小社ホームページ(www.shinchosha.co.jp)内に『ローマ人の物語』ブログを開設し、最終巻の制作の舞台裏を紹介しています。読者の皆様からのご意見・ご感想も当ブログ内で募集していますので、是非ご覧下さい。
 来年は読者の皆様にもご参加いただけるようなイベントを企画しております。詳細が決まり次第、ホームページを始め各種媒体で告知いたします。今後ともご期待下さい。
 新連載が三作品はじまります。
 花村萬月氏の「流転旋転」は、自伝大河小説『百万遍』シリーズの第三部。「今日、三島が死んだ」の鮮烈な書き出しで始まる第一部『百万遍 青の時代』、自由解放区と化した70年代の京都を疾走する第二部『百万遍 古都恋情』に続き、どこから読んでも主人公吉川惟朔の早熟な生と性に魅了され、圧倒されます。安住洋子氏は時代小説界の新鋭。平成十六年、短篇集『しずり雪』(小学館)でデビューし、同作は「人間の向日性を信じ続けた山本周五郎と似た世界がある」(池上冬樹氏)と絶賛されました。長篇「日無坂」は、笊職人の倅から薬種問屋の娘婿となった父と、その息子の確執を軸に、親子のふれあいとすれちがい、ひとの世の幸不幸が細やかに描かれていきます。ベストセラー『あの戦争は何だったのか』(新潮新書)の著者で、昭和の史実を追求してきたノンフィクション作家・保阪正康氏。「即位と崩御」では、天皇家という一つのファミリーが、その代がわりによってどう変化してきたのかを具体的な史実とともに見つめて行きます。
 今月号より「波」は、増ページして今までの九十六ページから百二十八ページになりました。ますます充実した内容で皆様にお贈りする所存です。これからも「波」をよろしくお願い致します。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。