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波 2007年4月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/03/25

発売日 2007/03/25
JANコード 4910068230478
定価 105円(税込)

特集[最相葉月『星新一 一〇〇一話をつくった人』刊行記念]
〔著者インタビュー〕最相葉月/星新一への鎮魂歌
後藤正治/宿命と形質の相克の物語

佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』
池上冬樹/小説のありかたをめぐる物語

富岡多惠子『湖の南』
黒川 創/言葉少ない者の姿

宮城谷昌光『風は山河より』
清原康正/三段構えの緻密な構成

アリス・マンロー『林檎の木の下で』(新潮クレスト・ブックス)
小池昌代/ここに「わたし」は、なぜ在るか

平山瑞穂『冥王星パーティ』
青木千恵/十一年後に再会した彼女は

上橋菜穂子『精霊の守り人』(新潮文庫)
大森 望/日本の異世界ファンタジーを代表する名作

コラム
とんぼの本編集部通信
「考える人」―短篇小説と小説家の態度

特集[T・ハリス『ハンニバル・ライジング』刊行記念]
養老孟司×高見 浩
『ハンニバル・ライジング』を解剖する

[島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ。』刊行記念]
島本理生/二人暮らしという冒険

[ドナルド・キーン『渡辺崋山』刊行記念]
ドナルド・キーン/笑う肖像――渡辺崋山の魅力

[椎根 和『平凡パンチの三島由紀夫』刊行記念]
椎根 和/三島由紀夫は“ハナコ族の父”だった……

佐藤寛子ほか/新雑誌「yom yom vol.2」をヨムヨム

長山靖生『日本人の老後』(新潮選書)
長山靖生/成熟への覚悟

「新潮45」創刊25周年・300号に寄せて
佐藤 優/思想誌としての「新潮45」

河内 孝『新聞社―破綻したビジネスモデル―』(新潮新書)
河内 孝/淋しげな恐竜たち

連載
花村萬月/百万遍 流転旋転 第4回
佐野洋子/シズコさん 第16回
宮城谷昌光/古城の風景 第46回 馬伏塚城
木田 元/反哲学入門 第11回
安住洋子/日無坂 第4回
日高敏隆/猫の目草-フィードバック
北原亞以子/父の戦地 第7回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第9回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第25回
保阪正康/即位と崩御 第4回
山本一力/研ぎ師太吉 第27回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内 ・編集長から ・カット:水上多摩江

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、星新一氏の「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」の下書き原稿です。この下書き原稿は、ノンフィクションライターの最相葉月氏が評伝『星新一 一〇〇一話をつくった人』執筆のため、約四年にわたり星新一氏の遺品を整理するなかで発見したものです。
 本誌二頁の著者インタビューにもありますが、星氏は思いのほか、物を捨てておらず、遺品を整理した段ボールの数は百箱以上になったとか。下書き原稿を眺めると、当初は「ボッコちゃん」は「おせじをいわないボッコちゃん」、「おーい でてこーい」は「穴」というタイトルだったことがわかります。
 また、この下書きは、父星一が創業し、星氏が副社長を務めた星製薬とその関連会社の社名入りの便箋の裏面に書かれています。
 最相氏の新刊『星新一 一〇〇一話をつくった人』はこのような新発見と発掘、関係者への徹底取材によって、誰もが知っている作家の知られざる生涯と実像を描いた労作です。
 スマートでクールな語り口、奇想天外な結末のショートショートの裏に、作者自身のこんな苦渋、栄光と挫折があったのか、と圧倒されること必至です。
 奇しくも没後一〇年の今年、星新一像を一新する労作とともに、星作品の再読をおすすめします。
新潮45」は、今年で一九八二年の創刊以来三〇〇号を数え、二五周年を迎えました。皆様のご愛読ありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。
 その「新潮45」に掲載された記事が、第三回zassi.net記事大賞のニュース・報道部門賞を受賞しました。受賞した記事は、〇六年八月号に掲載された一橋文哉氏の「ライブドアと暴力団」です。
 また、同じくzassi.net記事大賞の旅行部門賞を、旅〇六年一一月号の「ため息がでる美しい風景ウンブリアへ。」が受賞しています。
 〇五年一〇月に刊行された、竹内一郎氏の新潮新書『人は見た目が9割』の発行部数が、一〇〇万部に到達しました。新潮新書のミリオンセラーは、これで養老孟司氏の『バカの壁』、藤原正彦氏の『国家の品格』に続き三冊目となりました。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。