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波 2007年8月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/07/27

発売日 2007/07/27
JANコード 4910068230874
定価 105円(税込)

[帚木蓬生『聖灰の暗号』刊行記念]
【対談】児玉 清×帚木蓬生/ヴァチカンの歴史的大罪を問う

小池昌代『タタド』
野崎 歓/不思議な縁をはぐくむ男女

重松 清『青い鳥』
吉田伸子/読み手の胸で生き続ける一人の教師

特集[発掘 終わらない戦争]
池谷 薫『蟻の兵隊―日本兵2600人山西省残留の真相―』
「蟻」たちの執念が暴く歴史の闇

水口文乃『知覧からの手紙』
婚約者が語る特攻隊員の“未練”

吉田紗知『8月15日の特攻隊員』
「私」の“おじいちゃん”は最後の特攻隊!

福澤徹三『黒本―平成怪談実録―』(新潮文庫)
東 雅夫/寝ても覚めても怪異とともに

中森明夫/世界を変えるパンダの表紙

石原千秋『秘伝 大学受験の国語力』(新潮選書)
竹内 洋/著者ならではの攻略法

特集[宮本 輝『花の回廊―流転の海 第五部―』刊行記念]
宮本 輝・作家生活30年と大河小説「流転の海」
【著者インタビュー】宝物のような時代
『花の回廊』に見る昭和32年
流転の海 第一部~第四部 熊吾・房江・伸仁の軌跡

[『日本人の矜持―九人との対話―』刊行記念インタビュー]
藤原正彦/誇りある日本人であるために

イーユン・リー『千年の祈り』(新潮クレスト・ブックス)
堀江敏幸/ここに、わたしたちがたどりつくために

椹木野衣『なんにもないところから芸術がはじまる』
宇川直宏/滲有無(にじうむ)。

長山靖生『大帝没後―大正という時代を考える―』(新潮新書)
長山靖生/歴史は繰り返す、のか

【飯島寛子『Life パパは心の中にいる』刊行記念】
大沢たかお/飯島家の笑顔の理由

中村 計『甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―』
最相葉月/「野球観」と「高校野球観」の相克

コラム
新潮文庫の海外エンターテインメント
「考える人」─本と掃除と芸術と
とんぼの本編集部通信

連載
宮城谷昌光/古城の風景 第50回 持舟城
北原亞以子/父の戦地 第11回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第29回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第8回
佐野洋子/シズコさん 第20回
池谷伊佐夫/古本つれづれ草 第2回
日高敏隆/猫の目草-玉になる虫、ダンゴムシ
木田 元/反哲学入門 最終回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第13回
保阪正康/即位と崩御 第8回
安住洋子/日無坂 第8回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内 ・編集長から ・カット:水上多摩江

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、大河小説「流転の海」の新作『花の回廊』を刊行した宮本輝氏。
 宮本氏は、普段はメールやネットにパソコンを愛用していますが、原稿を書くときは今でも原稿用紙に万年筆とインクです。そのインクはイタリアのOMAS社製で、色はセピア。以前は青や黒でしたが、目にやさしい色を探して、時にはグリーンのインクも試し、結局このセピア色に落ち着いたそうです。万年筆はセーラーの一番太いもの。原稿用紙はオリジナル。今年作家生活三十年を迎えた宮本氏が、そのほとんどを費やして書き続けている大河小説「流転の海」、その新作『花の回廊』も、このセピア色のインクで書かれました。
 没後十年、星新一の生涯を関係者一三四人の取材と膨大な遺品からたどった、最相葉月氏のノンフィクション『星新一 一〇〇一話をつくった人』が第二十九回講談社ノンフィクション賞を、あらゆる「渋滞」の謎に迫る、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻助教授・西成活裕氏の『渋滞学』(新潮選書)が、第二十三回講談社科学出版賞を、それぞれ受賞しました。
 第十九回日本ファンタジーノベル大賞(主催/読売新聞社・清水建設 後援/新潮社)の最終候補作四作が決定しました(詳しくは現在発売中の「小説新潮」八月号を御覧ください)。四五六編の応募作から勝ち残った、いずれも力作ぞろいです。
 今回は惜しくも受賞をのがしましたが、直木賞の候補となった、畠中恵、森見登美彦の両氏は日本ファンタジーノベル大賞の出身者。森見氏は第二十回の山本周五郎賞を受賞しています。また、山本賞を森見氏と同時受賞した恩田陸氏も、日本ファンタジーノベル大賞に応募し最終候補に残った作品がデビュー作です。今、最も旬の作家を生み出し続けている日本ファンタジーノベル大賞。最終選考会は七月三十一日に開催されます。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。