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[宮尾登美子『湿地帯』刊行記念インタビュー]

波 2007年9月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/08/27

発売日 2007/08/27
JANコード 4910068230973
定価 105円(税込)

【特集】
[宮尾登美子『湿地帯』刊行記念インタビュー]
宮尾登美子/若き日のあしあとを記した、幻の一冊
[島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』刊行記念対談]
松田哲夫×島本理生/生きていくための物語を
[乃南アサ『いつか陽のあたる場所で』刊行記念インタビュー]
乃南アサ/「犯罪を犯した後の人生を書いてみたかった」

【新連載】東 直子/薬屋のタバサ

山下 篤『漁師志願!』
井上荒野/朗々とした歌声のような

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ『チェーホフ・ユモレスカII』
辻原 登/朗読で再発見する宝物

北村 薫『1950年のバックトス』
桜庭一樹/2007年の巴投げ

柴田よしき『やってられない月曜日』
瀧井朝世/働く独身女性の本音はコレです。

本岡 類『愛の挨拶』
池上冬樹/亡くなってはじめて知る妻への愛

近藤史恵『サクリファイス』
別府 始/ロードレースの魅力を余すところなく

志水辰夫『ラストドリーム』(新潮文庫)
香山二三郎/鉱山と挽歌

【特集】
[〈新潮クレスト・ブックス〉9周年記念]
【座談会】小池昌代×堀江敏幸×鴻巣友季子/短篇小説の新しい波
書評再録 06年夏~07年夏
アンケート《私の好きなクレスト・ブックス》
ジョン・バンヴィル『海に帰る日』(新潮クレスト・ブックス)
児玉 清/人生の時間、降り積もる過去
2007新潮クレスト・ブックス ベスト・セレクション

[映画「Life 天国で君に逢えたら」公開記念]
岩崎 真/全てを受け入れた飯島夏樹
西村雄一郎『黒澤明 封印された十年』
船瀬俊介/志ありや、なしや?

熊谷 徹『顔のない男―東ドイツ最強スパイの栄光と挫折―』
佐藤 優/秀逸なインテリジェンス論

山本 浩『メキシコの青い空―実況席のサッカー20年―』
金子達仁/彼がサッカーファンから愛される理由

佐藤健志『本格保守宣言』(新潮新書)
佐藤健志/泡沫候補と政局

松井孝典『地球システムの崩壊』(新潮選書)
長谷川眞理子/「浮世」を見晴らす客観的な洞察

小林照幸『野の鳥は野に―評伝・中西悟堂―』(新潮選書)
今森光彦/野鳥を通して伝えたかったこと

コラム
新潮文庫の海外エンターテインメント

連載
【新連載】佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(1)
西村 淳/身近な物で生き残れ!
花村萬月/百万遍 流転旋転 第9回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 最終回
宮城谷昌光/古城の風景 第51回 今川館
池谷伊佐夫/古本つれづれ草 第3回
日高敏隆/猫の目草-またクマゼミのこと
保阪正康/即位と崩御 第9回
北原亞以子/父の戦地 第12回
佐野洋子/シズコさん 第21回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第14回
安住洋子/日無坂 第9回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、長編小説『湿地帯』を刊行した宮尾登美子氏。昭和三十七年に短編「連」で女流新人賞を受賞した二年後、高知新聞に連載されたこの作品は、その後四十三年間人目に触れることなく封印されていました。若き日に書かれた幻の長編が、今、瑞々しい迫力で甦ります。表紙の写真は、前田博史氏の撮影です(高知新聞社刊『四万十川 水の生いたち』より)。
 今月号からの新連載小説「薬屋のタバサ」。著者の東直子さんは一九九六年に「草かんむりの訪問者」で第七回歌壇賞を受賞し、穂村弘さんと沢田康彦さんとのFAX短歌会「猫又」、共著『短歌があるじゃないか。』などで人気の歌人です。去年、初めての小説集『長崎くんの指』(マガジンハウス)で話題を集め、二作目の『とりつくしま』(筑摩書房)は「なんでこの人はいままで短歌しか書かなかったんだろう(略)。それくらい、この人は短篇がうまい」(金原瑞人氏)と評される新鋭作家でもあります。「薬屋のタバサ」は、都会のなかにエアポケットのように残る商店街とその突き当たりにある、むかしながらの薬屋が舞台。独り身の薬剤師とそこへ転がり込んでくる、どうもワケありそうな女性、それに商店街の住人が綾なすドラマが、研ぎ澄まされていながら、どこか懐かしい言葉で紡がれてゆきます。本作は著者初となる長篇小説。どうかご愛読くださいますよう。
 今月号の新連載はあと二つ。現役海上保安官であり、南極観測隊に参加して二度の越冬体験を持つ、西村淳氏の「身近な物で生き残れ!」。九月一日は防災の日。イザというときは、準備も大切だが、本当に必要なのは現場での創意工夫。西村氏の南極観測隊流のサバイバルの知恵は、絶対役にたちます。舞台「櫻の園」などで女優としても活躍中、写真集「PORTRAIT」も話題のアイドル佐藤寛子さんの読書日記も始まりました。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。