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特集[佐々木 譲『警官の血』刊行記念]

波 2007年10月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/09/27

発売日 2007/09/27
JANコード 4910068231079
定価 105円(税込)

特集[佐々木 譲『警官の血』刊行記念]
佐々木 譲/【インタビュー】警官三代を描く警察小説の最高峰
井家上隆幸/警察の戦後史を超えて
[立松和平『二荒』刊行記念インタビュー]
立松和平/闇の中に彷徨う人を救うのは……

佐江衆一『長きこの夜』
佐江衆一/『長きこの夜』と作家展

前田司郎『グレート生活アドベンチャー』
田中和生/現代日本のテスト氏たち

垣根涼介『借金取りの王子』
大河内奈々子/主人公の手腕に惚れた!!

加藤 廣『豊かさの探求―「信長の棺」の仕事論―』(新潮文庫)
加藤 廣/本当の「豊かさ」を模索して

小谷野敦『日本売春史―遊行女婦からソープランドまで―』
本郷和人/売春史の到達点

天野 彰『六十歳から家を建てる』
見城美枝子/六十歳になるのが待ち遠しい

片野ゆか『ダイエットがやめられない―日本人のカラダを追跡する―』
角田光代/人の営みとしての

石井光太『神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く―』
佐野眞一/忘れられたイスラーム人

武村政春『脱DNA宣言―新しい生命観へ向けて―』(新潮新書)
武村政春/DNAのあとに、RNAが残った

特集[新潮社創立110周年記念出版『新潮日本語漢字辞典』刊行記念]
藤原正彦/漢字文化は日本文化である
漢和辞典・国語辞典とどう違うのか
 基本思想/字義/熟語/熟字訓/異体字/
 用例/参考欄/人名・地名/アクセス/索引

小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞決定発表

コラム
とんぼの本編集部通信
新潮文庫の海外エンターテインメント
「考える人」─アメリカのレッテルをはがしてみる

連載
【新連載】松久淳+田中渉/あの夏を泳ぐ 天国の本屋
秋山駿/忠臣蔵
北原亞以子/父の戦地 第13回
西村 淳/身近な物で生き残れ! 第2回
佐野洋子/シズコさん 第22回
東 直子/薬屋のタバサ 第2回
日高敏隆/猫の目草-文系・理系
花村萬月/百万遍 流転旋転 第10回
池谷伊佐夫/古本つれづれ草 第4回
保阪正康/即位と崩御 第10回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第15回
宮城谷昌光/古城の風景 第52回 小山城
佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(2)
安住洋子/日無坂 第10回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は去る五月二十四日に他界された大庭みな子さん。絶筆短篇ほか二作品とエッセイを収録した『風紋』が発売されました。「谷神不死」は「老子」第六章冒頭のことばで、「谷神」は女性の象徴と考えられています。脳梗塞で倒れる前に書かれた色紙を拝借しました。
 今月号からはじまる連載「あの夏を泳ぐ 天国の本屋」。著者の松久淳さんと田中渉さんはコンビ作家として活動、最新作『ラブかストーリー』(小学館)がこの八月に発売されたばかり。竹内結子さん主演で映画化された『天国の本屋』シリーズは新潮文庫に収録、根強い人気を誇っています。
 今作は『うつしいろのゆめ』『恋火』に続くシリーズ四作目となります。高校の水泳部でライバルだった麻子と朝子の二人が主人公。大人になった二人が同窓会へ向かう途中、麻子だけがなぜか不思議な本屋に迷い込んでしまいます。彼女たちはそれぞれの世界で、忘れていた当時の気持ちを少しずつ思い出してゆく……。過去と現在が交差する、心温まるじんわり感動の物語をどうぞお楽しみください。田中渉さんの筆による、ロマンティックで郷愁を誘うイラストにもご注目を。
 今月は新連載がさらにもう一作。秋山駿氏の「忠臣蔵」。元禄泰平の世に起きた赤穂浪士の事件を平成の世に映しあわせ、そのドラマの本質を追究する長篇評論です。深い洞察で史実を読み解く秋山氏の歴史批評は語り口も絶妙で、ロングセラーとなっている『信長』(新潮文庫刊)で、その魅力を堪能された方も多いと思います。国民的な物語ともなった「忠臣蔵」を独自の視点で描き出す今後の展開にご期待ください。
 新潮社創立一一〇周年記念出版として、日本初の「日本語で使われる漢字の意味が、一目で理解できる」辞典、『新潮日本語漢字辞典』が、九月二十七日に刊行されます。今までの辞典とどこが違うか、詳しくは、六十五頁からの特集を御覧ください。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。