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[長野まゆみ『カルトローレ』刊行記念インタビュー]

波 2008年5月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/04/27

発売日 2008/04/27
JANコード 4910068230584
定価 105円(税込)

[長野まゆみ『カルトローレ』刊行記念インタビュー]
長野まゆみ/どこまでも続く巻き物のような物語を

佐野洋子『シズコさん』
角田光代/ゆるされ、ゆるす

諸田玲子『遊女のあと』
安田文吉/宗春公異聞

特集[新潮新書創刊5周年記念]
【対談】与謝野 馨×福田和也/政治と教養をめぐって

岡田斗司夫『オタクはすでに死んでいる』
岡田斗司夫/一億総コドモ社会とオタク

小林信彦『定本 日本の喜劇人―喜劇人篇・エンタテイナー篇―(2冊セット)』
中野 翠/幻のコラムがついに

宮脇俊三『「最長片道切符の旅」取材ノート』『最長片道切符の旅』(復刻版)
酒井順子/まるで一緒に乗っているような

池内 紀『出ふるさと記』
関川夏央/捨てるためにもある「ふるさと」

ねじめ正一『落合博満 変人の研究』
南 伸坊/いきなりおもしろい

櫻井よしこ『異形の大国 中国―彼らに心を許してはならない―』
富坂 聰/敵も認める実力

西村公朝『仏の道に救いはあるか―迷僧公朝のひとりごと―』
大成栄子/父・公朝の遺稿が発見されるまで

重松 清・編著『ありがとう、ごめんね、そしてさようなら―家族からのラブレター―』
白井敏雄/「マイ・ストーリー」というニッポンの財産

佐藤 健『緩和ケアでがんと共に生きる―ホスピスは「もう一つのあなたの家」―』
山崎章郎/人生の本質に寄り添う医師の試み

レドモンド・オハンロン『コンゴ・ジャーニー』(上・下)
土屋政雄/コンゴ奥地の湖に幻の恐竜を探して

千住文子『千住家にストラディヴァリウスが来た日』(新潮文庫)
重松 清/わが家にとてもたいせつなものが来た日

泡坂妻夫『卍の魔力、巴の呪力―家紋おもしろ語り―』(新潮選書)
泡坂妻夫/素朴な祈りと遊び心

コラム
「考える人」-長篇小説の評価を決める三つの基準について
とんぼの本編集部通信
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(9)
松久 淳+田中 渉/あの夏を泳ぐ 天国の本屋 第8回
桶谷秀昭/素人の読む『資本論』 第4回
宮城谷昌光/古城の風景 第59回 三枚橋城
池谷伊佐夫/古本つれづれ草 第11回
鹿島 茂/パリの日本人 第3回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第17回
西村 淳/身近な物で生き残れ! 第9回
秋山 駿/忠臣蔵 第8回
保阪正康/即位と崩御 第17回
東 直子/薬屋のタバサ 第9回

編集室だより 新潮社の新刊案内

編集長から

◇迷子の赤ん坊ゴリラを抱いてほほえむ表紙の人物は、英国を代表する旅行記作家、レドモンド・オハンロン氏です。今月三十日、カズオ・イシグロも絶賛したアフリカ探検記『コンゴ・ジャーニー』(上下)が刊行になります。オハンロンは、コンゴ奥地の湖に太古の昔から恐竜が棲むという言い伝えに誘われて、全財産をなげうつ旅にでました。アメリカ人動物行動学者と、コンゴ人生物学者を道連れにしてのその旅は、著者の夢みがちな空想を打ち壊す、苦難と笑いの連続になってゆきます。下痢や呪術で死ぬ目にあっても、ワイロをむしりとられても、奥地へ、奥地へ――。読みはじめたら最後、この酔狂な英国人の魅力に誰もがとりつかれてしまうでしょう。
◇今年の本屋大賞は、伊坂幸太郎氏の『ゴールデンスランバー』に決定いたしました。二位は近藤史恵氏の『サクリファイス』。いずれも小社刊行の単行本で、書店のみなさんのご声援とご支持に、厚く御礼申し上げます。
 その発表会の二日後の四月十日に、小説新潮別冊「Story Seller」が発売されたのはご存知でしょうか。短編よりは少し長い中編小説で構成された雑誌で、物語を売る、という誌名の通り、小説しか掲載されていません。執筆者は、有川浩、伊坂幸太郎、近藤史恵、佐藤友哉、本多孝好、道尾秀介、米澤穂信の各氏。伊坂作品は「本屋大賞受賞第一作」、近藤作品は、二位『サクリファイス』の外伝になっています。通常の短編の倍以上の長さがあるため、ボリューム感はたっぷりで、短編のようにさらっと読めてしまうのに、読み応えは長編並と自負しています。本屋大賞の単行本はもちろん、こちらも合わせてお楽しみいただければ幸いです。
◇第二回大江健三郎賞を岡田利規氏の『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(新潮社刊)が受賞しました。
◇日高敏隆氏の連載「猫の目草」は休載します。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。